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①①③子爵家の事情(悲劇の中の悲劇)

少し短めですけど何とか更新出来ました苦笑

夏休みに入る方もおられると思うので暇潰しに読んで頂けると書く意欲が湧きます~。

当時ツルギ領の院社(ヤック)に居た真階医(マーイ)が毒の『(ポーション)』を生成したらしい。

正階医(セーイ)でも無いのに可能な事なのか?


真階医(マーイ)が、ですか?」

「知識を(かじ)っていたのでしょう、無論独学も交えていたと思います」

カーラも疑問に思ったみたいで、それを察して子爵さんが答えた。


(ポーション)の生成方法なんか詳しく知る訳無いが、本当にそうならカーラが考えていた解毒薬を作らせるってのはかなり厳しい。医者にも教科書みたいな物は有るんだろう、その基本的知識に沿った方法で生成した(ポーション)ならある程度予測が付くかも知れない。でも、何でもそうだけど個人が作った物はその個人特有の何かが有る場合が殆どで、まして(ポーション)にはその効力を強くする為の【魔術】が施されている。云わば【医療的知識】と【魔術的知識】を個人の案配で重ね合わせているって事だから、その本人から聞き出さないと無理だ。

一応それを聞いてみる。


「その医者はその後も『院社(ヤック)』に?」

「私がその事を知るまでは居た様だ」

「子爵さんが気付いてからは?」

「既に本国に戻っていた」

「ばれたと思ったからですかね?」

「それは解らん、元々長く居過ぎた医者だ」

「その時医者は何歳くらいだったんです?」

「三十は超えておろう」

その時に解毒薬を作れなかったのはそれもあったのか、本国に戻られたら手出し出来ない。しかも四十年経った今は七十を過ぎているし、生きているかも怪しい。


「解毒薬は無理です、ね‥‥」

「誰が作ったのか解っても本人が居ないんじゃな」

カーラも独自の『(ポーション)』に対して解毒薬を作る事が厳しいと理解していて、俺にしてもタツ院国はもう敵になってるが乗り込むなんて事はいくら何でも出来ない。


「その(ポーション)は残ってないんですか?」

あればカーラの知り合いの正階医(セーイ)かナンコー領に囲ってる医者達に分析させ、時間は掛かっても何とかなる可能性が有る。


「残念だが無い」

「‥‥そうですか」

当然子爵さんも同じ事を考えたよな、その現物が残って無いから『(コセ・ポーション)』を飲ませ続けている。


「きっと別の解決方法が有る筈です、そう思いませんかフツさん?」

「ああ」

カーラの前向きな言葉に頷く。

そうだ、余所者の俺達に打ち明けてくれたのに諦める訳には行かない、何か方法を考えないと。

でも正直このままじゃお手上げだった。


「子爵様」

更に重苦しい空気になった時、デンボが子爵さんに声を掛ける。


「何だ?」

「私の知らない父の話とは?」

「それは‥‥‥」

子爵さんはデンボに父親(ゴチェ)の事で知らない方が良い話を聞かせると言っていたが、ここに来て少し躊躇してるみたいだ。


「子爵様」

デンボはもう一度声を掛け催促する。


「解った‥‥デンボ」

「はい」

「お前の父は今際で抵抗したのだ」

「‥‥‥」

「シマが命令したのは貴賓用以外の用意した全ての茶に(ポーション)を入れる事だった」

「それをしなかったのですか?」

「いや。ゴチェは入れている」

「では父は何を」

「一番最初に(ポーション)を入れた茶を飲んだ」

「え?どうしてそんな事を!?」

「ゴチェはお前を身籠ったワキを人質に取られたままだった、脅迫されているなど言い出せる訳も無い、だから身を持って飲むなと警告をしてくれたのであろう」

「し、しかし皆様はお飲みになりました」

「あの薬は即効性では無い、飲んだゴチェも暫くは普通にしていたのだ」

確かに次第に動きが鈍くなって意識を失ったと、ナサの従叔母のシデがその時の事を言っていた。


「結局その行為は‥‥見過ごされてしまった」

デンボの父親が毒入り茶を飲んだ直後に何か異変が現れたら誰もが茶を飲まなかったかも知れない、こんな話を聞かせたくないと思う訳だ、子爵さんの辛そうな顔を見れば解る。


「自分を投げ出されたのに」

「己の命を掛けて気付かせようと」

「無駄になっちまったのか」

小声で俺達は話す。


「あの悲壮な顔は訴えていたのだと思う、今は平気でもやがて毒が回ると。だが男達はゴチェが勢いよく茶を飲む姿を見て、それを祝いの行為だと勘違いして盛り上がり、茶を飲みを始めてしまった」

「イサナ様とマギ様も?」

「イサナとマギの披露目でもあった、2人はその盛り上がりに乗って飲み、場の流れで数人の客達も飲んだ」

「お嬢様達は?」

「近くに居た娘達はその真似をしたがり、イサナに頼んで一口飲ませて貰っていた」

「‥‥‥父の、その訴えが裏目に出たんですね」


「皮肉が過ぎるぜ」

「辛過ぎます」

「無念で御座いましょうな」

毒を入れたがそれを忠告する為に自分が先に飲んだ。飲んだは良いが効き目が遅く誰も気付かないばかりか、それが呼び水となって皆が飲む事になるなんて。


「子爵様、父がそれを飲んだって事は‥‥」

「そうだ。お前の父ゴチェは死罪では無い」

「自害になるのですね」

「何を言うか、(あれ)を飲んだ者達がどうなっているかお前も知っているだろう」

「‥‥‥え?」


またとんでもない話になって来たぞ。


土日って皆さんも忙しいでしょうから何か迷うんですよね~笑

次回更新は‥‥8/10予定にします!!

読んで頂き有難う御座います。

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