プロローグ
初回は二話投稿します。
出来るだけ毎日21:00の更新を目指します。
宜しくお願いします。
誤字脱字・人名・名称の間違いはチマチマ修正してます。
そこは気にせずゴリ押して読み進めて下さい(笑)
「ふぅふぅ‥‥」
気が付けば、俺達が逃げ出してもう丸二日になる、あと少し行けば国境だと思われる場所だ。
何とかここまで来たが新手の追手が近くまで迫って来ていた。
任務に忠実なのか、高額な報酬を貰ったか、元奴隷2人に過分な対応。
やはり『アレ』がばれたら不味いんだろう。
「ちくしょう‥‥冗談じゃねぇぞ」
森を駆け抜ける足がもつれる、流石にきついな。俺の前を走る逃亡仲間が振り返り叫んだ。
「おそいよ! フツ!!」
「俺は人族なんだぞ、お前と比べるなっ!!」
声を掛けるのは獣族の女だ。獣族は多種多様な種族だが、アイツは猫人系。しなやかで俊敏、鋭い攻撃力。人族の俺と身体能力なんぞ比ぶべくもない。とある出来事で一緒に逃げていた。
空気を割く気配がし、複数の矢が肩先を掠める。
「伏せろっ ステト!!」
ステトは素早く伏せ転がり、岩場に身を寄せる。
俺はジグザグに蛇行しながらステトが居る岩場に滑り込んだ。
「はぁはぁ‥‥しつけーな全く、ステト何人だ!?」
「ゼンブで4人、馬に乗ってるのが2人だヨ」
「無理か!?」
「このまま逃げだけではムリ。なぁフツ、『アレ』をアンタがしたのか試してみれば?」
息も切らさず鋭利な爪を光らせて冷静にステトは言う。
「簡単に言うな! 俺もまだよく解ってねぇんだから!!」
「でもアイツらを何とかしないと、またアイツのトコに連れ戻されるよ!」
「‥‥やってみる、何も起こらなくても知らねぇからな」
俺は深く息を吸って覚悟を決めると岩場から出る。
真っ白な鎧を纏った男が2人、馬に乗って槍や剣を構えて向かって来ている。
後に続き弓矢を放ったと思われる一般兵か何かの男達が走って来た。
「《アルピジン》!!」
そう叫んだ俺の腕先から爆風と共に強い光が一直線に追手である騎馬の男達に向かった。
そして馬の足元に光が届く。
ドゴーーーーーーーン!!!!!!
それは狙った場所より手前に爆発する。
「出た」
その衝撃で隊列を組んでた前方の騎馬2人が馬共々吹っ飛び、残りの兵達は爆音と衝撃に驚いてその場に伏すと、ステトがまだ煙が残る吹っ飛ばした場所に飛び込んだ。
「殺すな!!」
ステトが腰に差してる粗悪な短剣を抜く前に俺は叫ぶ。
素早くステトはその短剣で転がってる2人を致命傷にならない様斬り付けて行く。
『ぐあっ』
『がっ』
やはり獣族と人族では速さでは勝負にならない。
俺は茫然とし伏せてる兵達の弓や剣をを蹴り飛ばし、馬に石を投げつけ遠くへやる。
「どいて! フツ!!」
彼女は兵達を殴り踏み倒してった。
「ハァハァ」
「ふうふう~」
お互いに顔を見やり頷く。
「ステト、お前女だよな!?」
「フツは雄なんだから、もうちょっと鍛えないとダメだヨ」
俺達は笑いながら一息つく。
気を失ってる兵達の懐探り、金目になりそうな物や使えそうな装備品を奪う。
なんせ逃げ出す事で背一杯だったから懐全部が寒い。
ステトが持っていた短剣を捨て、痛みで動けない騎士が持っていた切れ味鋭そうな短剣に持ち替え
手に馴染むかを確かめながら俺を見た。
「フツ、何で殺さないの!?」
俺は追手の男が持っていた干した果物を齧る、久し振りの真面な食べ物だった。
その甘さにほころぶ顔で振り返る。ステトにも同じ物を放り投げた。
「別にこの男達に直接何かされたんじゃねぇしな、それに俺は殺しは嫌いだ」
「アンタのそれって何?」
「‥‥」
そう、俺には元々こんな力は無かったし、選ばれたとか、特別な存在でも無かった。
ただあの野郎が仕出かした出来事で俺は、、、、、多分一度は死んだ。しかもこの世界ではない。
どっかの世界に飛ばされた、そしてそこで死んだんだ。
俺は【戻りし者】だ。
読んで頂き有難う御座います