② マイナンバーカードによる行政側の負担の増加
筆者:
①で挙げたような様々な問題が起きていることから、
健康保険証とマイナンバーカードを紐づけることに関しては不安を持っている方は多く、健康保険の資格確認証を発行する方が多いのではないか? と言われています。
そんな中、資格確認証は結局紙ベースのために地方自治体に負担がかかるのではないかと推測されています。
山井和則衆院議員は、ある自治体職員の指摘として「1万世帯の自治体で約5500件の資格確認書が必要になる」との試算を紹介。「申請受け付けや発行などの仕事が増え、過労で倒れてしまう」との懸念が職員から寄せられていると明かしています。
この様に自治体職員の方の負担も計り知れません。
確かにデジタル化に向けて一度は避けて通れない事ですし、一度やってしまえばもうやらなくてもいい事なのかもしれません。
しかし、健康保険証を無理やり廃止したり、廃止の期限を延ばさなかったりすることはあまりにも合理的でないと思われます。
しかも、資格確認証は1年更新ですし寝たきりの高齢者の方はマイナ保険証申請や資格確認証の更新も難しいと思うんです。4桁の暗証番号を覚えられない可能性もありますからね。あまりにも強硬だと思います。
それに対し、公明党などは強制的に資格確認証を送るという制度を作ろうとしていますが――それなら紙の健康保険証存続で良いんじゃね? と誰もが思うわけです。
質問者:
廃止するのは事実上の強制と言ってもおかしくは無いですからね……。
筆者:
現在、マイナ保険証に移行している人は国民の半数ちょっとと言うことになっておりまして、そこからあまり増える様子はないみたいなんですよね。
そんな中、
『保険証廃止後「1年間の猶予」実は期限バラバラ? 対応迫られる政府』という朝日新聞の23年7月12日の記事では、
『来年秋に今の健康保険証を原則廃止して「マイナ保険証」への移行を掲げる政府。情報の誤登録などに加え、廃止後も従来の保険証が使える「猶予期間」の設定で混乱する恐れが出てきた。政府は「最長1年間」とするが、医療保険ごとに保険証の有効期限はバラバラで、より短期間になる人も。厚生労働省は保険者に有効期限の延長を要請するなどの対応に迫られている。』
とあります。しかも、バラバラな期限に対していちいちマイナ保険証を発行しなくてはいけないので自治体の負担は計り知れません。
しかもまだ決まっていないと言うことですから本当に何の想定力・対応力も無いのです。場当たり的ので行き当たりばったりで政府の都合で強引にやっているようにしか見えないのです。
また、期限が近くなると「マイナ保険証に加入して下さい」という通知を国民一人一人に送る際の事務の手間、またその手数料も膨大になります。これらも各自治体の負担になるので増税で賄うことになるでしょう。
そうなると恐らく外注になると思うんですが、また中抜きと利権が絡んでくると思うんです。公金チューチューも大概にして欲しいなって本当に思いますね。
質問者:
最初からお金が狙いで色々なことを敢えて想定していないフリをしているのではないかと邪推してしまいますね……。
筆者:
また、相次ぐトラブルの発生から4割の自治体で異常が発生していることから、総点検をすることになりましたがこれも行政コストがかかります。
総点検の対象は税金、医療、児童手当や生活保護など29項目の個人情報で、自治体や健康保険組合など約3600機関が作業を担当、人海戦術による膨大な作業を強いられることになりました。
近畿地方の市長は、点検完了までの期間が短いため民間への事務委託は難しく、市職員を動員しなければならない可能性が高く「夏休み返上で作業をしてもらうことになる」と不満を示しています。
個人情報保護委員会がデジタル庁に立ち入り検査によって、総点検完了時期の後ずれとなるようですが、地方自治体などの事務負担が軽減される一方混乱の長期化も避けられないことになりました。
質問者:
こんなに行政コストがかかると本当に大変ですよね……。
筆者:
朝日新聞の記事によると、
『マイナンバーに関するトラブルの総点検をめぐり、政府は、健康保険組合などに生ずる追加費用を誰が負担するかを明らかにしていない。マイナンバーにひもづけたデータが正しいか確認するために必要なシステムへの情報照会には1件10円がかかる。少額とはいえ、組合によっては多量の件数にのぼる可能性があり、現場からは困惑の声があがっている。』
とあります。結局これらの費用は国民が“増税“によって負担することになるのでしょうから本当にお話にならない失態です。
質問者:
せめて責任者が払ってくれるか給料全額返上して欲しいですよね……。
筆者:
例えそうしても、この強硬な姿勢そのものを撤回してくれなければ、反対派の溜飲が下がることは無いでしょうけどね。
まぁ、まずそう言うことにもならないですし、そもそもそう言う制度もありませんからね。
「すいませんでしたー」って心のこもっていない謝罪だけにとどまるでしょう。
また、マイナ保険証によるオンライン資格確認が、国の言う「より良い医療の提供」につながるかどうかさえ怪しいと言われています。
「いとう王子神谷内科外科クリニック」の伊藤博道院長によると
「端的に言って、マイナ保険証やオンライン資格確認を整備して健康保険証を廃止したとしても、医療の質が向上するとは到底、思えません。
マイナ保険証によるオンライン資格確認は、CTやMRIなどの画像データをオンライン上で共有・閲覧できるようなイメージを持たれていますが、すでに画像をデジタルデータとして閲覧・共有できる別の仕組みが構築されています。薬剤情報などはお薬手帳で確認できますし、デジタル上で閲覧できてもPDFファイルなので、電子カルテに反映するには、結局、手入力に頼らざるを得ません。
オンライン資格確認は言ってしまえば、デジタルデータを使っているだけで、極めてアナログ仕様なのです。メリットがあるとすれば、被保険者番号などを入力する受付窓口の手間が減るぐらい。現行の保険証を廃止してまで強行すべきシステムなのか、あまりにも費用対効果が薄いと思います。国の言う『医療の質の向上』とは一体、何なのでしょうか」
とおっしゃっています。
結局デジタル化とは何なのか? と言う感じがします。
また、おくすり手帳の代わりのデジタルへの反映は1カ月半もかかるという話もあります。それだけ期間がかかるのならあまり意味がありません。
質問者:
全然便利になっていない上に、医療機関の負担だけが増えるってどうなってるんですか……。
筆者:
正直異常なことばかり続いていますよね。
そして、行政コストの負担増は結局のところ“増税”として国民に降りかかってくる可能性が高いのが本当にふざけた話です。
“便利になる”と言っておきながら便利になる気がしない上に監視されるとなればメリットはほとんどないと言って良いでしょう。
質問者:
あとはデジタル化となるとサイバー対策について問題になると思うのですがそれについてはどうなのですか?
筆者:ちょっと長くなりそうなのでそれについては次の項目で見て行こうと思います。
サイバーセキュリティついても懸念点は多いので、やはり何でも紐づけることは危険だと思います。