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甦れ!フェニックスちゃん!  作者: 神宮雅
リサ 学校編2
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リサ、商業ギルドに加入する。


 商業ギルドーーリサは、何度か通りかかった事のあるその建物を、態々立ち止まって眺めたのは初めてだった。


 4階建てで白茶の木製の建物は、煌びやかな装飾は無いものの、迫力があり厳かな雰囲気を醸し出している。全体的に丸みを帯びた外見は、通りの角に建てられているのが理由だろう。出っ張った入口は回転式の硝子扉になっており、1階の通りに面した壁も、全て硝子になっていた。そして、1階の外側の壁の柱は金属製になっており、その上から削った木目を貼り付けている。


 見た目はシンプル。だが、この街の店……いや、この街にある城と学校を除けば、一番金が掛かった建物だろう。リサはガルガラの全ての建物を見た訳では無いが、そう断言出来る自信があった。


 リサ達は、回転扉の右側から商業ギルドの中へ入る。

 内装に関しては、冒険者ギルドと大して変わりは無い。解体場がない分エントランスが広く、仕切られた席が幾つも用意されていた。

 入って左正面の壁には受付と、2階へ上がる為の階段が。右正面には仕切られた席が。中央には所々に丸机が置かれており、その上には墨瓶と羽ペンが置かれている。椅子は無い。

 ひし形の内装だからか、リサは受付や机の配置に違和感を感じるが、防犯面で見るのであれば“隙が無い”の一言。


「これが……商業ギルド……。正直すごい場所だね……」


「面倒だから、見惚れるのは後にしてくれ。受付へ行くぞ」


 スードラーは足早に受付へ向かい、リサもその後についていく。

 まず向かったのは登録受付。スードラーは受付の女性に自分の名前と店の名前を伝えて、リサに後を任せると、腕に抱えた布に包んだ連射魔道具を抱え直して、商標受付へと行ってしまった。


「では、お名前をお願いいたします」


「リサ」


「リサ様ですね……他のギルドの身分証をお持ちでしたら、提示いただけると登録を簡略化することが出来ますが、お持ちでしょうか?」


「うん。……はいコレ、冒険者タグ」


 リサは首から冒険者タグを外すと、受付の女性に手渡す。


「お預かりいたします。…………リサ、女性、年齢不明、出生不明……身分保証はスードラー様、と……確認いたしました。只今商業タグを発行いたしますが、此方の首鎖にお付けいたしますか?」


「う〜ん、そうだね。その方が無くさないだろうし、お願い」


「かしこまりました。少々お待ちください」


 受付の女性はその場に屈み高机から姿を消すと、カチャカチャと音を立てながら何かを取り出し、立ち上がって顔を見せる。

 そして、高机の上に銀色のプレートと金槌、刻印棒を置くと、金槌と刻印棒を持ちプレートに文字を彫っていく。

 文字を打ち終わると、最後にプレートに穴を開けて、首鎖に通すとリサに手渡した。


「商業タグをお渡しいたします。ランクは最下位のFからスタートです。ランクを上げていくと、商業ギルドからより良い商品や、ギルドが保有する物件、土地を買う事が出来ます。進級方法は、定められた金額の納入、若しくはその金額分の物品や素材の納品です。商業ギルド経由で利益を得た場合、その金額の5%を手数料としていただき、そちらも納入額に加算されます。商標使用料が得られる場合も、その金額の5%を手数料としていただき、納入額に加算されます。リサ様にはまだ先の話になるとは思いますが……」


 受付の女性は別の受付へ向かったスードラーを見ながら説明を終えると、リサに頭を下げてこう言った。


「リサ様、商業ギルドへの加入、おめでとうございます。リサ様のご活躍、期待しております」


「あはは……ありがと」


 リサは受付の女性に手を振ると、商標登録受付に居るスードラーに声を掛けて、受け取ったばかりのプレートを見せた。


「見て、スードラー。プレート貰ったよ」


「丁度良い、それを受付に渡せ。それで商標登録が済む」


「そんな簡単なんだ。数日は掛かるものだと思ってた」


 リサはそう言いながら受付の人に冒険者タグごと商業タグを手渡した。

 受付の男性はタグを見て頷くと、割とフランクにリサに話し掛けた。


「リサ様ですね。いやぁ、若い方がこの様な物を作ってくれるとなると、商業ギルドの未来も明るいですね〜!この魔道具の機構自体はよく使われる物ですが、魔法を連射する物は今まで無いんですよ。いや、どこかの村にはあるかも知れないですけど、商業ギルドでは扱っていないんですよね。正直、この魔道具を見た時に、なんで今まで誰も作って無かったんだ?って驚きましたよ!……って、失礼失礼。登録、完了しました。商標使用料が納入額に加算される事は説明されましたか?」


「うん。さっき教えてもらった」


「では、商標権の更新についてお話しいたしますね。商標権は、10年で権利を失ってしまいます。ですので、その期間中に、再び商標登録受付へ赴いていただき、ご自身の名前と商業タグを持参していただければ、更新が完了になります。今回の場合ですと、スードラー様も更新出来る様に契約したとの事ですので、お二人のプレートに商標番号の刻印を彫る事になります。ですが、まだ契約書を提出なさっていない様ですので、一旦リサ様のプレートにのみ刻印させていただきます。後……此方の商標登録用紙に血印をお願いいたします」


 受付の男性が紙を差し出すと、スードラーが「少し良いか」と割って入る。


「面倒だが……この子は体質が原因で血印を押す事が出来ない。代わりに、この子の魔力が篭ったインクで代用したい」


「血印が出来ない……?上の者に確認いたしますので少々お待ちください」


 すると、男性は受付の中にある階段を上がって行った。


「出来ないとどうなるの?」


「私が商標権所持者になり、面倒だが、私がリサの口座に使用料を振り込む形になる」


 暫くして先程の男性が降りてきて


「確認いたしました。魔力の篭ったインクでも問題無いとの事です。ですが、測魔の魔道具でリサ様の魔力とインクの魔力が同じ物か、確認させていただきます」


 そう言うと、受付の男性は高机の上に、掌に収まる大きさのVの字の魔道具を取り出す。

 その魔道具は両端には小さな盃型の台が付いており、その先の棒には刻印が刻まれている。そして、2つの刻印が交わる場所には魔法陣が描かれていた。


「片方にインクを、もう片方には指を置いて魔力を流してください。同じ魔力であれば、此方の魔法陣が輝きますので」


 リサは墨瓶の蓋を開けて、物質操作で赤墨を左の台に入れると、もう片方の台に右手の人差し指を付けて魔力を流した。すると、刻印が青白く光り、その先の魔法陣も同じ色に輝き出した。


「確認出来ました。リサ様の魔力と同じですので、使用を許可いたします。では、此方に指印を」


 リサは台に入れたインクに指を浸けて、差し出された紙に濡れた指を押し当てた。


「商標権保持者の登録が完了いたしました。では一度、契約書をお持ちいただいて総合受付までお願いいたします。そちらで第三者の契約書の確認と、御二方のタグに刻印を行います」


 男性は受付内から総合受付のある、リサ達の右手側に移動する。

 リサ達も受付の男性についていく様に移動して、総合受付へ行くと、スードラーが契約書と商業タグを高机の上に置いた。


「確認いたします……契約書に不備が無い事を確認。リサ様、スードラー様。もう一度、契約書の内容のご確認を。御二方の了承次第、契約は成立と見做し、此方の契約書は商業ギルドが責任を持って保管します。御二方にはその後、契約書の複写をお渡しいたします」


 男性から契約書を返されたリサとスードラーは、もう一度契約書に目を通すと、男性を見て頷き、契約書を渡す。


「これにて、リサ様とスードラーの間で結ばれた契約は、商業ギルド内で正式な物となりました」


 男性はその契約書を近くに居た他の受付に渡して「2枚複写して」と言うと、2人のタグに刻印を刻んでいく。


 そして、刻印を刻み終えた頃、契約書の複写も終わった様で、リサとスードラーにタグと契約書の複写が渡された。


「此方、契約書の複写と、タグの方をお返しいたします。ご利用、ありがとうございました」


 そう頭を下げた受付の男性は頭を上げると、もう話す事は無いと言いたげな笑顔をリサとスードラーに向けて、高机から一歩下がる。


 リサは首にタグを掛け直し、契約書の複写を折り畳んでポケットに仕舞うと、スードラーと共に商業ギルドを出て入口前で軽く話をする。


「一応、魔道具が完成したら見せた方が良いか?」


「ううん、スードラーに任せるよ。正直、見せられても分からないし」


「そうか。では私は店へ戻るが……何か伝え忘れは無いか?」


「あったらあったで、その時は店に行くよ。スードラーも私に何か伝える事とかある?」


「…………あぁ、忘れていたが、魔法剣の話だ。私が手伝える事は無い。故に、試作品の魔法剣も必要無い。後、個人の人口魔石について。もし金に困ったら、製法を教えるか、実物を作りに店に来るといい。言い値で買おう」


「太っ腹だね。じゃあ、本当にお金に困ったら教えに行くよ」


「そうか。その時は店で雇ってやる」


「考えとく。じゃあ、私は武器屋さんに自分の武器を取りに行くから。バイバイ」


「あぁ、また」


 リサとスードラーはゼシール魔道具店まで並んで歩くと、店の前で手を振って別れた。


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