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甦れ!フェニックスちゃん!  作者: 神宮雅
リサ 学校編
62/95

リサ、師匠と模擬戦をする。

 3000PV達成ありがとうございます。リサちゃんの日常を投稿し始めて丁度1ヶ月が経ち、正直、こんなにも沢山の方々の目に触れるとは、思いもしませんでした。

 いいねや評価、ブックマークも数多くくださり、毎日数字を眺めては頬を緩めています。

 これからも、観測者として記録を続けますので、応援よろしくお願いいたします。


 月日が流れるのはあっという間で、シオン魔導学校に入学してからそろそろ1年。2年生進級まで後2ヶ月ほどに迫っていた。

 リサはその間、授業日には杖を使った魔法の訓練、休息日には冒険者ギルドの依頼と、休み無く動き続け、念願の攻撃魔法の習得と、冒険者ランクを星2上位に上げる事が出来た。

 攻撃魔法とは言っても、実質的には魔力操作のゴリ押しに近く、対生物に無意識に威力を弱めてしまう癖は抜けていない。

 冒険者ランクに関しては、ギルドの方から早めに星3に上げた方が良いと提言されている。それだけ、魔法士として期待されているのだろう。

 学校の他の生徒に関しては、今まで通り関わりが無いので分からないでいる。リサ自身、魔法を教えてくれる相手以外には、あまり興味が無いので話しかける事も殆ど無く、他の生徒も、リサ自身は気付いていないが、リサを避けて行動しているので、余計に話す機会を失ってしまっている。

 逆に、ビルとはよく話す。授業で分からない事があった時は、リサは必ずビルに質問を投げかけているし、ビルの方も、事ある毎にリサに話しかけていた。

 だが、この1ヶ月間ビルはフォレアスタークの指示で休学していたので、その間リサは授業中暇していた。


 そして、進級日まで後2ヶ月ということはーー進級試験が始まる時期を迎えたという事だ。

 進級試験内容は毎年同じらしく、今年も同様。その内容は3つ、魔法威力を試す的破壊。魔法精度を試す指定魔法生成。最後に、学校側が用意した魔物討伐。

 1つ目は、リサが魔法指導の際に行なっていた、石壁の破壊と殆ど同じ物だ。公平性を期す為に、クリームが的となる物を生成するとの事。

 2つ目は、教員が指示した魔法を瞬時に発動する物。男性と女性で少しだけ内容が変わるらしいが、魔法陣を使う関係上仕方の無い事だ。

 最後3つ目、コレは単純。教師が召喚した魔物を討伐するだけの物だ。但し、今回の試験では前とは少し違うらしいが、リサはその理由を知っている。


 その進級試験に向けて、生徒達が皆訓練場や訓練室で担当の教師と指導を行っている中、リサとラズリーはラズリーの研究室、もとい自室でお茶を啜っていた。


「次の休息日は久々にお休みしようかな〜。星2上位にも上がれたし、武具の補修もして貰いたいし……あとは、なんか女の子らしい事でもやろうかな」


「女の子らしい事……料理やお菓子作りですか〜?それなら試食は任せてくださいね〜!」


「違くて、服屋さんとか、雑貨屋さんを回ったりしようかなって。服は買っても意味が無いから行く気はないけど……そう考えたら、雑貨屋さんに行く理由も無いんだよね。必要な物も欲しい物も無いし。ヲルガ達がお金が余るって言ってた意味が分かるかも……」


「その考え方が、もう女の子では無いですよね〜。まぁ、私もリサさん位の年齢の時に、雑貨屋に行く事は殆どありませんでしたが〜」


「ラズリーは物じゃ無くて食べ物だもんね。気持ちは分かるけど」


 そう言いながらカップを傾けると、間抜けな腹の音が聞こえてきた。


「食べ物の話をしたらお腹が空きました〜。リサさん、購買に行くついでに、訓練場にいる他の生徒達の指導を見学してみませんか〜?よく考えたら、一度も他の生徒の指導を見学した事無いですよね〜?」


「確かに、他の人が指導を受けている間って、私も指導を受けてるし、指導が無い日は依頼を受けてたから、見た事ないや。行こ行こ!」


 リサは2人分のカップを片付け、ラズリーはローブを羽織り引き出しからお金を取り出すと、本館にある購買へ向かった。

 シオン魔導学校の購買は、生徒以外にも学内で研究をしている学者達も利用する為、どの時間帯に行っても大体客の顔がある。売られている物は飲食物以外にも、用紙や羊皮紙、墨に羽ペンなど、細かな雑貨も売られている。生徒用に黒板と白墨も売られているが、隅の方で埃を被っている。

 リサ達は、購買入り口にある飲食物販売所でサンドイッチを購入すると、その足で近くの訓練場に向かった。


 訓練場にはかなりの数の生徒がおり、中には2年生の姿も見える。2年生も、卒業試験が控えているという事もあり、各自師匠と共に模擬戦を行っていた。

 1年生の方は、石壁や氷壁に魔法を撃ち込んでいる者が殆どだ。正直言って、リサはそれに対して微塵も興味を持てなかった。


「一番大きい訓練場なだけあって、生徒の数も多いですね〜。それに、2年生の姿もありますよ?リサさんは2年生の生徒と話した事はありますか〜?」


 ラズリーは、先程買った焼き肉サンドの4分の3を既に平らげており、リサに質問し終えた後には、最後の残りを口の中に放り込み、全てを胃の中に収めてしまった。


「廊下で何度か見た事はあっても、話した事は無いかな。それに、魔法の訓練をしている所も初めて見たよ」


 氷の丸机と椅子を創り、腰を下ろしたリサの手には、まだ口の付けられていない焼き肉サンドがある。


「半分下さい」


「嫌だ」


 申し出を断られ、リサの口に消えていくサンドイッチを悲しげに見つめながら、隣に石椅子を創り出して腰を下ろす。同じ様に創り出した椅子に腰を下ろす2人だが、片や、地面から生やしただけの石の土台。片や、細かな装飾が施され、水の座布団が敷かれた氷の猫脚椅子。それを見て、近くで魔法訓練を行っていた2年生は、気まずそうな表情を浮かべて、担当の教師と共にそそくさと離れていった。

 リサは、目の前の観察対象が帰ってしまった事に不満を感じながらも、氷皿の上にサンドイッチを置くと、氷のティーセットを創り2人分のお茶を入れる。


「折角近くで見ようと思ってたのに……なんで帰っちゃうかな」


「急用でも思い出したんじゃ無いですか〜?急いでいた様ですし〜。あ、あちらの2年生は模擬戦闘を始める様ですよ〜」


 ラズリーが指差したのは、少し離れた場所に居る男性の生徒。彼はリサに何度も視線を送りながら、赤色の魔法陣を展開する。

 魔法陣の戦闘はリサにとって参考にはならないが、相手として対峙する場合を考えて、リサは身体ごとそちらを向き観戦する。

 相手である男性教員も彼を見て黄色の魔法陣を展開する。すると、男性生徒がリサ達の方に手を振り声を掛けてきた。


「そこの君〜!済まないが、戦闘の合図を出してはくれないだろうか!」


「私〜?」


「そうだ!頼めるか!?」


「分かった〜!」


 リサは二つ返事で了承すると、氷鳥と氷の硬貨を創り出して、氷鳥に氷硬貨を持たせると、彼等の居る場所に飛ばす。


「その鳥がコインを落とすから、そのコインが地面に付いたのを合図に、模擬戦を始めてね〜!」


「感謝する!」


 男性生徒は礼を述べると、リサから視線を外して前にいる教員に視線を移す。

 空を旋回する氷鳥は、その2人の間で滞空すると、翼を広げて霧散し、煌びやかに輝く氷の粒子を周囲に撒きながら、氷硬貨を地面に落とした。

 そして、地面に触れた氷硬貨が割れる瞬間に、互いの魔法陣が輝き、色にあった属性の魔法が行使される。

 まずはお互い牽制のつもりか、炎弾と石弾を放っては相殺し、幾度もそれを繰り返す。そのまま石と炎の弾合戦を繰り広げながらも、別の魔法陣を片手間に描き出し、矢や壁、球などを創り出しては飛ばし、防ぐ。

 どちらも一歩も引かない均衡した争い合戦。それを見たリサは、期待外れといった様子で、模擬戦中の2人に聞こえない様、小声でラズリーと話をする。


(何で2人とも動いて殴りに行かないの?それ以前に、何で敵の背後から魔法を撃たないんだろう)


(相手の近くに魔法陣を展開できない程、あの2人は自分の周囲を魔力で支配してるんだと思いますよ〜。だから動かないのかと〜)


(それって鑑定眼で見て分かる物なの?)


(私の鑑定眼は、生物から発せられる魔力は見えないので〜。知識として、そうなのかな〜と)


(そういう事が出来るんだ〜。って事は、ラズリーも出来るの?)


(出来ますよ〜)


(じゃあ、入学試験の時は本気のほの字も出して無かったんだね)


(試験ですからね〜。あ、彼らの戦闘が終わったら、腕試ししてみます?)


(いいの!?)


(勝った方が、購買で好きなサンドイッチ1つ奢りですよ〜?)


 リサ達が話を進めていると、模擬戦の方にも変化が現れ、教師の多段攻撃に防戦一方になっていた男性生徒が、相殺し合っていた弾の方の意識が逸れてしまい、1発撃ち落とせずに喰らってしまった。

 それを合図に2人は魔法陣を掻き消し、互いに礼をし合うと、生徒と教師が揃ってリサ達の元へ近付いてきた。


「戦闘合図ありがとう。俺と師匠の模擬戦はお気に召してくれたかな?」


 男性生徒は優雅にお辞儀をすると、自分達の戦闘についての感想を求めてきた。


「目に見えない技術って言うのかな?良い物見せてくれてありがとう!貴方達の模擬戦を見てたら、私達も手合わせしたくなっちゃったよ!」


「そうかい?であれば、次は俺が合図を出してあげようか?」


 男性の言葉は、社交辞令だった。何故、社交辞令を述べたのか。それは、普段の癖というのもあるが、何より、制服を着ていないリサの事を、何処かのお偉いさんの付き添いで来たお嬢様だと思っていたからだ。


「本当?助かるよ!ラズリーやろ〜!」


 だからこそ、その言葉を鵜呑みにして、嬉々として立ち上がった少女を見て、内心驚いた。だが、そこは顔に出さずに笑みを浮かべて少女を見詰める。


「じゃあ、お願いします〜」


 まるで、子供とその保護者だ。


「あ、椅子に座ってて良いからね〜」


 リサは彼等にそう伝えると、右側に走っていった。それを見たラズリーは、のんびりと反対側へ歩き出す。


「リサさ〜ん!」


 ラズリーは定位置に着くと、反対側のリサに呼び掛ける。


「何〜!」


「寸止めは当たり前ですが〜、当たっても怪我をしない程度の強度の攻撃でお願いしますね〜!」


「分かった〜!ねぇ!杖の代わりに剣か犬創ってからでも良い〜?」


「剣は良いですよ〜!」


 2人は規則を決め終えると、男性生徒に手を振って準備ができた事を伝える。


「では、俺が位置上げた炎弾が破裂した時が合図だ」


 そして、男性生徒は右手を掲げて魔法陣を描き出すと、空に向けて炎弾を発射した。

 リサはそれを見て氷剣を生成して右手に握ると、首元から火花を散らして戦闘態勢に入る。


 そして、炎弾が破裂音を立てて霧散したーー


 リサを覆う様に瞬時に展開された半球形の氷壁に、地面から無数の石の棘が勢い良く伸び、砕けて霧散した。


ラズリーは、自分の足元に石の板を創り出し、泥化した地面から逃れながら、上空に創り出された氷鏡目掛けて石弾を飛ばし、撃ち砕く。


 リサはそのまま氷壁の外に氷で出来た狼を2匹創り出すと、自分の意思を汲み取って自律的に動くソレをサポートする様に、障害物となる地面を物質操作で作り出し、氷狼はジグザグに走りながら地面を凍らせていく。


 ラズリーは背後から飛来する氷剣を石壁で防ぎながら、地面から石棘を勢い良く伸ばして、氷狼の胴や首に風穴を開けて霧散させ、リサの頭上に大岩を創り出してソレを落とす。


 氷壁を霧散させると、大岩を避けながら氷狼が作り出した氷の道に飛び乗り、煤爆発の爆風で推進力を得ると、そのままラズリーの方に急接近しながら、目の前に生えた石針の壁を煤で爆発させ、土煙で煙幕を作り出した。


 その中に大量の石弾を撃ち込みながら、再び生成された氷鏡を確認しては、リサの姿が無い事を一瞬で判断するとソレを石弾で撃ち砕き、砂埃から飛び出してきた氷鳥や水魚を次々と撃ち落としていく。


 土煙はすぐに晴れ、リサは姿を現すと、生成していた無数の炎弾をラズリーに向けて飛ばした。ラズリーは普段見慣れない攻撃に違和感を感じながらも、石弾で迎え撃つ。すると、石弾と正面からぶつかった炎弾は火の粉を撒き散らせながら爆発し、飛来した勢いのまま、ラズリーに降り注ぐ。


 それを見て、咄嗟に前方に半球系の石壁を創り出し、再び背後から迫り来る氷剣を防ぐ為に、後ろにも石壁を創り出した。その後、頭上と左右から石弾が飛んでくる事を確認すると、ラズリーは自分を石壁で覆い隠した。


 リサがその隙を見逃す訳も無く。無数の水球を石壁の周囲に浮かべ、その上に氷鎚を創り出すと、そのまま動きを止めた。


 その瞬間、石壁を中心に地面が逆立ち周囲に石針が勢い良く突き出され、周囲に破壊の波を広げた。


 そして、石針と石壁は同時に霧散して、その中からラズリーの姿が現れると、両手を上げてこう言った。


「こ……降参です〜……」


「やったぁ!サンドイッチゲットぉ〜!」


 リサはガッツポーズをすると氷鎚と水球を霧散させてラズリーの元へ歩み寄る。


「やっぱり近付くのは無理だな〜。どうしたら魔法相手に斬り込めるんだろう……」


「魔法には魔法。それが定番ですからね〜。格下相手なら剣でも問題ないでしょうが、均衡した相手には難しいでしょうね〜」


「だよね〜……模擬戦だから少しだけ近づけたけど、本気の戦いなら逆に距離を取らされてただろうし」


「それでも、魔法だけで私に勝ったじゃ無いですか〜。火の粉が飛んできて、焦って判断を誤ったのが勝敗の決め手でしたね〜」


「石だと壁を作ったら周りが見えないからね。正直、動揺してくれて助かったよ。……って事で、サンドイッチお願いね?」


 落ち込むラズリーを見てニヤニヤと笑みを浮かべながら、消し忘れていた氷剣を霧散させると、氷の丸机の隣に腰を下ろしている男性生徒と教員の元へ向かい、声を掛ける。


「どうだったかな?って言っても、私自身良い動きが出来なかったのは自覚してるけど……」


 男性生徒は何故か顔色を悪くしながら、徐に立ち上がると、


「じ、自覚しているなら言う事は何も無いよ。で、では、俺は用事があるからコレで失礼する」


 そう言うと、足早に寄宿棟の方へ行ってしまった。

 男性教員も立ち上がり、リサ達に軽く会釈すると、そのまま無言でどこかへ行ってしまう。


「ん〜……まぁ、いっか。じゃあラズリー、サンドイッチ買いに行こっか」


「うぅ〜……分かりましたぁ……」


 こうして、本館へ歩き出したリサとラズリーは、すぐにクリームに捕まってしまい、視界を封じた中の無差別攻撃という危険行為を行った事で、ラズリーだけ連れて行かれてその日は解散となってしまった。


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