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甦れ!フェニックスちゃん!  作者: 神宮雅
リサ 学校編
56/95

リサ、宝石を見せる。

いいねと評価ありがとうございます


 後日、再びケイルに呼び出されたリサは、“臨時収入”である金貨17枚を受け取ると、ラズリーの研究室へ足を運ぶ。

 何故、突然その様な大金が手に入ったのかと言うと、先日倒した魔竜の魔結晶と核を、学校側に買い取って貰ったからだ。最初、学校側は買取では無く“回収”をする予定だったらしいが、フォレアスタークがそれでは“強奪”になると言って、適正価格での買取を申し出てくれたのだ。リサとビルはそれに対して感謝を述べ、魔竜について詳しく話を聞く為に、ビルだけ談話室に残して、リサは退室して今に至る。

 ラズリーの研究室の前に着いたリサは、扉を叩きながら室内に向かって呼び掛ける。


「ラズリー、リサだよ〜。開けて〜」


「ちょっと待ってください〜」


 中からは、遠くこもった声が聞こえて来て、暫くすると開錠と共に扉が開かれ、ラズリーが顔を出した。


「どうぞ〜」


「ごめんね、忙しかった?」


「いえいえ〜、私は教師以外の仕事は特にしていないので〜。ささ、どうぞ〜」


 促され、部屋に入る。普段通り所々本や書類で散らかった部屋の中は、ラズリーの心の内を映し出していると言って良いだろう。そして、普段通りという事は、魔竜誕生時に受けたショックは消えたと見て、問題ないかも知れない。

 リサはいつも通り丸机の隣に腰を下ろして、右手に持った、金貨の入った小さい革袋を丸机に置くと、ポケットからティーバッグを取り出してから、諸々を生成して自分の分のお茶を用意する。

 中身を啜り一息吐くと、書斎机の前に置かれた作業椅子に腰を掛けているラズリーに、先日話した魔道具店の話を切り出す。


「ラズリー、何日か前に魔道具店に行きたいって話したの覚えてる?」


「あぁ〜、言ってましたね〜。確か、素材持ち込みでオーダーメイドして貰うとかなんとか〜」


「そそ。それでさ、ガルガラにあるお勧めの魔道具店を紹介して欲しいんだけど。私、魔道具店には詳しく無いし、“ハズレ”を引いた時に対処が出来ないからさ」


 道具屋や武器屋など、全ての店に共通する事だが、良い店もあれば悪い店もある。どの店も、基本的に規定の価格で標準的な物を扱っているが、中にはお得意様を贔屓にしてくれる良い店もある。

 逆に、粗悪な物を高値で売りつけてくる店もある。その場合は、買い手の目利きが駄目だった。で話を終わらせることが出来るが、今回の様に素材持ち込みでの生産となると、素材が駄目にされたり、価値ある素材を、価値が無いと言われて安値で勝手に買い取られたりする危険もあるのだ。

 ヲルガ達と行動していた時は、3人共目利きが利いて、そう言った厄介毎に巻き込まれる事は無かったが、リサはそう言った物にはかなり疎い。普段見ることの無い魔道具に関しては尚更だ。

 一応、ギルド管轄の店もある。実際、リサがグリーブを購入したのは、ギルドの目が届いてる防具屋だ。安定を取るのであれば、そこで杖を購入しても良いのだが、安定している分、少々値が張っている。そして、あるのは複製品ばかりで、個人用に調整された物では無い。それを加味すると、少々危険を冒してでも管轄外の店で杖を購入したいのだ。

 リサはそう考えて、自分より知識があるであろうラズリーに声を掛けた。


「良いですけど〜……少し高めの店になりますよ〜?その分、魔道具生成の腕前は確かですし、魔導学校の生徒であれば話もちゃんと聞いてくれますけど〜」


「魔導学校の生徒なら……?もしかして、学校に関係あるお店なの?」


「いえ、昔の卒業生が営んでいるお店ですよ〜。私より遥かに年上なので、私が卒業生と言うのは可笑しな話ですが〜」


「そっか〜。でも、値段が高いのはちょっとなぁ……金貨2枚までなら、今まで稼いだ分って事で心置き無く使えるんだけど、どれ位の値段するの?」


「個人用に調整した杖であれば〜、私の紹介できるお店だと……金貨1枚に少しだけ色を足せば、かなり良い物が買えるかと〜。素材持ち込みで値段がどうなるかは分かりませんが〜。行って見てみるのが一番良いですね〜」


「そうなるよね。なら、今から行こうと思うんだけど、ラズリーって今日暇?」


「一緒にお出掛けですか!?良いですね〜!何食べに行きますかぁ〜?」


「ご飯を食べに行く訳じゃ……聞いてないし」


 ラズリーは軽い足取りで部屋の壁に掛かったローブを手に取り、軽く払ってからそれを羽織ると、鍵の掛かった引き出しからお金を取り出して、ローブのポケットに突っ込んだ。

 たまには外でご飯も悪く無いか。リサは丸机の上に乗った金貨袋を手に取り、ティーバッグが入っていない方のポケットに押し込むと、ソーサー毎氷のカップを持ち上げ、隅に置かれた観葉植物の鉢の中に、風味の抜けたティーバッグを置くと、氷のティーセットを霧散させた。

 扉の前で早く行こうと目で急かすラズリーにリサは待ったをかける。


「私の部屋に素材を取りに行かないとだから、一旦寄宿棟に寄るよ」


 そして、リサ達はラズリーの部屋を後にすると、寄宿棟に向かい、ラズリーを棟の前で待たせて、リサは1階北側にある自室へと向かった。

 ベッドの脇の机の上に置かれた、車枝の入った石箱を手に取り、下の引き出しからは、この前完成させた“ある物”を取り出して、車枝の入った石箱の中に仕舞い込む。忘れ物がない事を確認すると、そのまま自室を後にしてラズリーの元へ小走りで向かう。


「ラズリーお待たせ!枝と宝石持って来たよ〜!」


 その言葉に振り返ったラズリーは、リサの手に持った石箱を見た途端、引き攣った声を発してその場に尻餅をついて倒れる。


「ラズリー!?だ、大丈夫?」


 リサは慌てて駆け寄りラズリーに手を貸して立ち上がらせると、どうしたのかと尋ねる。すると、ラズリーは石箱を指差してこう言った。


「そそ、それ……変なオーラを放っているのですけど〜……呪いのアイテムですか〜?絶対まともな物じゃないじゃ無いですかぁ〜!」


 呪いのアイテムとは失礼な事を。リサは石箱の蓋を開けて中身を取り出すと、ラズリーにそれを見せつける様に前に掲げる。


「変な事言わないでよ!樹木型の魔物の枝葉と、私が作った宝石しか入ってないから!」


「その宝石が変なオーラを放ってるんですよぉ〜!何ですかそれは〜!?」


 リサの右手に持った赤紫の宝石。瞳と同じ位の大きさのそれは、真球で暗く透き通っている。宝石の外側は赤色で、中央に行くにつれて紫色に変化しており、中央は夜空の様な濃紺色だ。その中心には、まるで星々を閉じ込めたかの様に、火花が封じられていた。そして、その宝石は不思議な事に、どの角度から見ても色合いは変わらず、中央の火花は様々な表情を見せている。

 リサはこの宝石を大層気に入っており、ラズリーに変なオーラを放っていると言われて、少し不機嫌になる。


「何って、私が作った宝石って言ってるじゃん!こんな綺麗なのに、何でそんな事言うの?」


「つ、作ったって……もしかして、私の事恨んでーー」


「ーー呪いの道具じゃ無いってば!杖の材料に使ってもらうの!」


「そ、そうだとして……どうやってそんな物作ったんですかぁ〜?そんな物、簡単に作れるとは思えないんですけど〜」


 リサは首を傾げながら宝石に目をやり、「これの作り方?」とラズリーに聞き返すと、言葉を続ける。


「別に大した事してないけど……魔結晶を溶かして作った飴の副産物だし」


「あ、飴?魔結晶?何の話ーー」


「ーーあ、今の無しで。これは、魔結晶を溶かして作った宝石って事。誰でも簡単に作れるよ」


 リサは魔物を討伐する様になってから割とすぐに、魔物の素材に魔力を流せば、核から引き剥がされた物でも、物質として回収する事が出来ると気付いた。

 そして、魔物の体内外に生成された魔結晶は他の素材と違って消えない事も、昔、兎型の魔物を討伐した時にヲルガ達から聞いていた。

 核は、周囲の魔素を吸収して再び肉体を作り出そうとする事も聞いていた。

 核が放置された周囲の植物が変容させるのも、肉体を完全に失って形を忘れた核が、指示性を持った魔素を流す所為で、魔素に敏感な植物が変容してしまうのだという事も、聞いているので分かっていたのだ。

 であれば、核に似た魔結晶に魔力を注ぎ込み、自分で指示性を持たせたらどうなるのであろう。そう考えたリサは、魔結晶を砕いて火生成で融解させると、自分の魔力を流し込みながら魔結晶に含まれる魔素を吸い出すと、魔力操作の応用で、自分の魔力を大量に含んだ魔結晶を操り、球体に形どる。そして、更にそこに融解した魔結晶を大量に合わせ、不要な物質を気化や炭化させて取り除いていった。その結果、純度の高い核が出来上がり、手元に宝石として置いているのだ。


 それを作り出す途中の過程で、魔結晶から魔物を生成する術も手に入れた。何度か試しに魔物も作り出しているが、魔物を作る時に、魔物の元となる生物の血肉や植物が必要なのと、場合によっては大量の魔素が必要なので、あまりやる気は無い。


 リサの持つ核宝石は、リサの魔力で作り上げられた物であり、謂わば“リサの擬似核”と呼んでも差し支えない代物だ。つまり、その核が吸収している魔素は、リサの魔力に自動的に変換され、尚且つ、リサはその核宝石に内蔵された魔力を自由に扱う事が出来る。なので、周囲に魔力が溢れ出ることも無く、リサの魔力としての指示性を持っている為、何かを変容させる事も無い。要するに、リサがその宝石を身に付けていれば、魔力量が増大する“リサ専用の魔道具”なのだ。


「誰でも簡単にって……そんな物、簡単に作れたら逆に危ないですよ〜」


「そうなの?それより、私には変なオーラが全く見えないけど、これは私が作った物だから?」


「それはですね〜、私が魔道具作成を齧っているので〜、その影響が大きいのだと思いますよ〜。鑑定眼と言ってですね、物質の魔力を見る事が出来るんです〜」


 ほら、と顔を寄せて左目を見せつける。リサは髪と同じ綺麗な紫色の瞳を見詰めると、そこに魔法陣の様な2重の円が薄らと浮かび上がっている事に気が付いた。


「へぇ〜、すごい便利だね」


「そうでもありませんよ〜?先日の様に、大量の魔力の流れを見て、気絶してしまう時もあるのですから〜」


 ラズリーはリサから顔を離すと、何度か瞬きして左目の円を消した。


「何か、気になった物を聞いたり見たりした時、無意識に発動させてしまうんです〜。それが役に立つ時もあるのですが〜」


 自分で観察眼の切り替えが出来るのであれば、尚の事便利だとリサは思った。

 再び石箱の中に車枝と核宝石を仕舞って蓋をすると、学校の門に向かって歩き出す。


「ですが、本当にそれで杖を作るんですか〜?もしかすると、価格が大変な事になるかも知れないですよ〜?」


「その時は素直に宝石を買うよ。余分にお金も持ってるから」


 リサ達は門から出て、ガルガラの中央に向かって歩き出す事約1時間。ラズリーの紹介する魔道具店〈ゼシール魔道具店〉に辿り着いた。


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