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甦れ!フェニックスちゃん!  作者: 神宮雅
リサ 学校編
41/95

リサ、師匠とのんびりする。

いいねと評価ありがとうございます


 翌日。共通授業を終えた後、リサはラズリーの研究室、もとい自室に向かうと、昨日使った魔法に関して話し合いをしていた。


 リサは客人用のティーテーブルの隣に腰掛け、ラズリーは観葉植物や本が置かれた書斎机の前に腰を掛けていた。


「リサさん、あの魔法は使用禁止でお願いしますね〜?特に学校の敷地内では」


 ラズリーは昨日の事を思い出してか、腕を抱えて身震いすると、リサをジトリと睨み付ける。


「分かってるよ……もうあんな思い、したくないからね……」


 リサも昨日の事を思い出しながら机に臥すと、ラズリーはムッとしながら言葉を続けた。


「それは私のセリフですけど?……じゃなくて、実戦で使うと、周りの味方にも被害が及ぶので、使用禁止なんです。1人の時は良いですけどね〜」


「いや、1人の時も使いたく無い……」


 リサは机に声をこもらせながら、溜息混じりに呟いた。


 リサが思い出していた昨日の出来事。それは、ギルドに赴いた後に街の近くの狩場に移動した所まで遡るーー




「それにしても、あの氷柱の威力凄かったなぁ……。そうだ!どうせだから、魔物相手に試して見よっと!……でも、まだ周りに冒険者が結構いるし……夜まで待つかな」


 リサは狩場である山の中を進んでいき、人目がつかない所に辿り着くと、氷生成で螺旋階段を創り上げて木の上へ登る。

 そして、自分が乗っても折れなさそうな枝の上に氷で作った揺籠を創ると、その中に水生成でクッションを創って寝転がる。

 そして、陽が落ちてからかなりの時間が経った頃、リサは揺籠から起き上がると階段を降りてそれらを霧散させた。


 辺りはモノクロの世界に生まれ変わり、松明の灯りや人の気配を一切感じさせない。そんな中、リサは軽く伸びをして、魔物がよく湧く場所へ足を運ぶ。

 そして、その場所に辿り着くと、4体の狼型の魔物と1体の人型の魔物の姿を発見した。


「5体かぁ……しかも、人型の魔物結構大きいな。普通に男の人と背丈変わらないじゃん。流石夜」


 この狩場で約2ヶ月程1人で狩りをしているリサは、昼間よりも夜の方が強い魔物が現れる事を知っていた。

 そして、夜に産まれた質の良い核を持った魔物達は、朝早くに来る手練れ達に、速攻で狩られてしまう事も知っていた。

 であれば、誰も手が出せない深夜の内に、質の良い核を持った魔物を倒せば良い。そう考えたリサは、昼間は魔獣の間引きや他の冒険者の観察。夜は誰も居なくなってから魔物の討伐というサイクルを、ここ1ヶ月の間繰り返していた。


 だが、ヲルガの言っていた通り大した稼ぎにはならない。質が良い核とは言っても、所詮はよく湧く魔力の少ない魔物。核自体の価値が元々低く、良くて銀貨3枚程の価値しか無い。昼に湧く小型の魔物に関しては、魔石一つあたり銅貨2〜3枚だ。


「人型は銀貨3枚くらいいくかな?狼型の方は、1体で銀貨1枚いけば嬉しいって感じだね」


 リサは木陰から顔を覗かせて、首元から火花を散らしながら煤が入った氷柱を創り出し火を付けると、人型の魔物に向かって発射した。

 すると、今までの魔法とは違い、人型の魔物の腹部に深々と突き刺さって、背中側から先端を覗かせた。


「おぉ!初めて魔法で傷付けられた!このまま爆発してくれれば、周りの狼型のまもボーー」


 氷柱が爆発した瞬間、喜びの表情を浮かべていた少女の顔の下顎から上が吹き飛び、少女だったソレは、草木を赤く染め上げながら、音を立てて膝から崩れ落ちた。


 その背後の木には、人型の魔物の胸部に生えていた筈の核が、赤い糸を引きながら深々と突き刺さっていた。


 そして、陽が昇る前に目を覚ましたリサは、自分の真横に落ちていた魔物の核4つと、背後の木に突き刺さっていた核を抱き抱えると、物凄い勢いで飛来した魔結晶で傷付いた周囲の木々を、冷めた目で一瞥してからギルドへと戻ったーー




(あれで銀貨5枚と銅貨6枚も稼げたのは嬉しいけど、2度とあの魔法は使いたくないや……。普段から人が居ない時間狩りしてて良かった)


「今日はクリーム先生に怒られたので、攻撃魔法の指導は無しです」


「え?じゃあ、今日は何を?」


 それを聞いたリサは、机に臥した顔を上げると、呑気にお茶を飲んでいるラズリーを見る。


 そう聞かれたラズリーは何も考えていなかった様で、カップの中を覗きながら中身を回すと、声をあげて思い出した事をリサに質問した。


「そうですね〜。あ、前々から気になってたんですけど、リサさんって魔法使う時首から火花が出ますよね〜?あれって、何なんですか?」


「体質だよ。前は煤が出てたんだ〜」


 リサは呑気にそう答えながら右手の人差し指を立てて、指先から煤を出すと、線を描く様に小さくハート型を作った。


「変わった体質ですね〜。もしかして、服が燃えるのもそれが原因なんですか〜?」


 ラズリーは自分の渡した制服が燃やされた事を思い出しながら、銃を構える様にリサに人差し指を向けると、指先から球体の小石を生成して、ハートの煤の真ん中を縫う様に飛ばす。そして、その小石はリサの額の中心に音を立ててぶつかると、空中に霧散した。


「あいてっ。……そうだよ。私からも質問、なんでラズリーは杖を持ってないの?」


 りさは額を摩りながら煤を払って消すと、ラズリーに質問を返す。


「ああ、それはですね……」


 そう言うと、ラズリーは袖を捲って二の腕を出す。


「杖の代わりに腕輪を付けているのですよ〜。杖より値は張りますけど、魔法の発動を悟られる心配も無いですし、両手を自由に使えるんです」


 そこには、黄色い宝石が嵌め込まれた、綺麗な装飾が施された銀色の腕輪が嵌められていた。


「良いなぁ、私も杖とか欲しい。いくら位で売ってるの?」


「質にもよりますが〜……安いものですと、宝石単体で小金貨3枚前後、杖本体に小金貨1枚弱で、合わせて小金貨5枚位ですかね〜」


「うげ、小金貨5枚かぁ……。食べ物我慢すれば5日でいけるかな……?いや、狩場を駆け回れば2日で……」


 リサの呟きに呆れた様に首を振ると、ラズリーはその言葉を否定した。


「何言ってるんですか〜、学校もあるのにそんな稼げる訳無いですよ〜。近くの狩場でも、学校がある日に銀貨1枚稼げれば良い方ですよ?それなら、休息日にお店のお手伝いをしている方が稼げますよ」


「一応探したけど、1日2時間で銀貨1枚だよ?掛け持ちしても、1日で銀貨5枚位しか稼げないし……」


 リサは左手で頬杖を突きながら、前に見た求人貼り紙の内容を思い出して、大した稼ぎにならないと悪態を吐く。


「世間を知らないお嬢様からすると、少ないかもしれないですが、子供が稼げる額としては十分高いですよ〜?」


「そうなのかな……確かに、ギルドの買取受付の人も、普通はこんなに稼げないって言ってたっけ」


 そう言いながら、リサは右手を広げながら前に突き出し、親指の先から水生成で小魚を創り出すと、人差し指、中指と順番に水面を跳ねる様に移動させ、小指に辿り着いた小魚はその後、自由にリサの周りを泳ぎ出す。


「えっと、ちょっと待ってください。一体普段いくら稼いでるんですか?」


 リサは氷生成で生み出した鳥が、水の小魚を捕まえる所を眺めながら、カップに入ったお茶を啜って答える。


「ふぅ……昨日はすぐに辞めちゃったから、銀貨5枚ちょっとだったよ。普段は大体、3時間位のんびりやって、小金貨1枚位だね」


 氷の鳥を頭に乗せるリサを、ラズリーは信じられないと言う様な目で見詰めると、恐る恐る口を開いた。


「リサさん……もしかしてその大道芸みたいな魔法、かなり稼げるんですか……?」


「え?違う違う、魔物の討伐だよ。これは暇だからやってるだけでーーはっ!もしかして、この魔法を見せ物にして稼げるの!?」


 勢い良く立ち上がるリサの頭から、氷の鳥は慌てて羽ばたきながら飛び立つと、光輝く冷気を残して霧散していった。


「あ……でも、前に教室で蝶を見せた時の反応があれだからなぁ……。って、ラズリーどうしたの?」


 落ち込みながら椅子に座ったリサは、目を見開いて固まっているラズリーを見て心配そうに声を掛ける。すると、ハッと体を跳ねさせたラズリーは、変な笑みを浮かべながらリサに明日の指導の話を伝えた。


「リ、リサさん?明日はその狩場で修行しましょうか〜。実践形式の方が、リサさんも嬉しいでしょう?わ、私も魔法を使って魔物を倒しますから、分前は半分づつで……」


「本当!?魔法を使って、1人で魔物と戦ってる人を見た事ないから、参考になるよ!……昼間は稼げなさそうだけど」


 頬と目尻を緩めながら喜ぶラズリーは、リサが小声で呟いた言葉を聞き逃しながら、明日の晩御飯は何を食べようかと、今から考えていた。


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