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甦れ!フェニックスちゃん!  作者: 神宮雅
リサ 学校編
35/95

リサ、魔法学校に行く。

いいねと評価ありがとうございます


 シオン魔導学校の試験日が来るまで、リサは帝国周囲の狩場で魔物や魔獣を狩りながら、剣と魔法の鍛錬を行っていた。

 狩りで使っている剣は、氷生成で創り出した物に煤生成で細工を施した物を使っている。

 形状は日本刀に近い片刃で、峰部分には煤を纏って1度だけではあるが、爆発させて威力と速度を上げられる様にしてある。

 別れ際、力が無いリサの為に、ヲルガが考え教えた技だ。


 そして、その魔法を簡略化して、瞬時に創り出す事が出来る様になったリサは、中型の魔獣や人型の魔物と対峙しても力負けする事が無くなり、1人でも安定して討伐数を稼げる様になった。


(これなら、態々魔法学校に通わなくても、星3冒険者になれそうだけど……結局基準を満たして無いから駄目かな)


 一応、その剣は自分の手元を離れても操る事ができ、肉体で扱う場合と同等の威力を出す事ができる。が、分類的には攻撃魔法では無い。


(攻撃魔法の基準って何なんだろう?威力が出せるだけじゃ意味無いのかな?)


 魔法の知識が殆どないリサにとって、自分の扱う魔法が、攻撃魔法とどう違うのかが理解出来なかった。


 そして、理解出来ないまま試験日当日になり、リサはシオン魔導学校の門を叩いたのだった。


ーーーーーーーーーー


 シオン魔導学校。ガルガラの北東の街外れ……いや、街の外にできた広い土地を有した学校だ。

 初めて帝都を訪れた者は聳え立った校舎を見て、王城と見間違えてしまう位大きく、リサから見るとゴテゴテした外観をしていた。


 それもその筈。このシオン魔導学校は、学業のみならず魔法や魔導の研究までも行っているのだ。寧ろ、学校として使う場所はごく一部であり、建物の大半が誰かの研究室として利用されている。


 何故その様に学生と研究者を同じ箱に入れるのかと言うと、答えは単純。将来有望な者に自分の研究に興味を持って貰い、早いうちに唾を付けておく為だ。


 だが、そんな事を一切知らないリサは、自分を見詰める大勢の研究者達に怯えながら、門の前にいた男性が手差した場所に向かう。


 向かった先は、門から本館に続く一本の長い道にある分岐点に設置された、試験受付場。

 そこでは、ある魔道具を起動させて、大まかな魔力量を測定する事になっている。起動したかどうかの判断は受験者からは出来ない為、受験会場に着くまで何が起こるか分からない。


(多分、コレが最初の試験……なのかな?分からないけど、コレだけで合否が決まる訳じゃ無いだろうし、気楽にやろう)


 そう考えていると、目の前に居る、いかにも魔法が得意そうなメガネの男性が、意気揚々と分かれ道の右に歩いていくのを合図に、リサの番が回ってきた。


「次の方どうぞ」


「は、はい!」


「ウフフ、緊張しなくて大丈夫ですよ。では、そこに手を置いて魔力を注いでくださいね。全力で注いでも問題ありませんので」


 緊張してガチガチになっているオシャレをした少女を見て、受付のお姉さんが含み笑いをしながら魔道具に手を置く様に促す。


「…………はい、もう大丈夫ですよ。では左へお進み下さい」


「ひ……左かぁ…………」


 リサはその結果を聞いて肩を落とすと、トボトボと受付に言われた通りに分かれ道の左側に歩き出す。

 そして、振り返って後ろに居た人の向かう方角を見ると、更に肩を落とした。


「ま、また右…………ままままでも、まだ試験に落ちた訳じゃ無いし……」


 そう言いながらも雰囲気を暗くするリサを見て、右へ向かった者は両手を掲げて喜びを露わにしていた。


 道の途中にいた男性に再び道を手差しされて歩く事数分。リサは他の受験者達が集まっている、訓練場の様な広場に辿り着いた。


 そこに居るのはリサを含めて23名。最初に門を潜った時の5分の1も居ないのを確認すると、リサは深く溜息を吐いた。


(この人数……もしかしたら、試験を受ける前に脱落の可能性も……)


「終わった……」


 その場に膝を折り、両手を地面に突いて項垂れると、直後、リサが先程まで居た試験受付場から大きな爆発音が轟き、空に黒煙が上がり始めた。


「うぇあ!ばばば、爆発!?」


 リサは身体を半回転させると、その場で尻餅を突いて、音の鳴った方を見ながら情け無い声を上げた。


 リサのコロコロと変わる情けない姿を見て、その場にいる数名が吹き出す様に笑う中、白髪混じりの黒髪をオールバックで固めた男が


「今年は化け物が来たな……」


 と眉に指を当てながら呟いていた。


 驚きのあまりその言葉を聞き逃したリサは「え……何で誰も驚いてないの……?」と言って、呆然としながら自分が歩いて来た道を眺めていた。


 すると、その道の先の曲がり角から人影が現れ、リサは先程とは違う驚きの表情を見せる。

 その場から立ち上がり、風生成で素早くスカートに付いた砂を払い落とすと、その赤髪の青年の元へ走り寄る。


「ビル!何でここに居るの!?偶然だね!」


 乗合馬車で半月程一緒に旅をして、一緒に帝都に来たフランクな口調の青年の姿が、そこにあった。

 ビルの姿を見たリサは、ヲルガ達以外で初めて出来た旅の話相手に会えて、声を弾ませる。


「お、リサちゃんじゃん!お久しぶり〜、俺の事覚えてたんだ」


 ビルはニコニコと笑いながらリサに手を振ると、乱れたミディアムヘアを軽く整えて、一部焦げ付いた毛先を摘まみ取る。


「半月も一緒に居たら流石に覚えて……って、そんな事より!さっきの爆発は?怪我は無い?」


「あ〜、それね。さっき魔道具に魔力を全力で注げって言われてさ、言われた通り全力で注いだら、いきなり爆発したんだよ……周りの人が魔法で壁を作ってくれたから、怪我は無いけどね」


「それなら良かった……じゃあ、あっちで他の不合格者も待ってるから早く行こ」


 リサはそう言うと、ビルの手を引いて広場へ向かった。


「あ〜、やっぱり不合格だよね。俺、あの魔道具爆発させた訳だし。でも、俺が試験受付の最後で良かったよ。他の人に迷惑掛からなくて済んだし」


 2人の言葉に他の受験者が思い切り睨み付けるが、落ち込むリサとビルの目には届かなかった。


 リサとビルが広場に来た事を確認すると、オールバックの男は手を叩いて、その場にいる受験者の注意を集めると、一つ咳をしてから話し出した。


「ゴホン!約2名落ち込んでいる者も居るが、君達も気付いている通り、先程の受付で行った魔道具起動は一つ目の試験だ!最後の最後に爆発させた奴も居るが……」


 その言葉にビルは肩を跳ね上げると、顔を上げてオールバックの男を見る。そして


「この場にいる総勢24名!第一試験ご「ああぁぁぁ!やっぱり試験だったのかぁぁ!くそぅ!爆発さえさせなければ合格できた筈なのに!」


 ビルは両手で頭を抱えながら上を向くと、悲痛な叫び声を上げてその場に膝を折る。

 そして、それに感化された様に隣に立っていたリサは、先程と同じ様に地面に手を突くと


「あぁ……星3冒険者の夢が…………こ、こうなったら、この場にいる全員を煤人間に……!!!」


 そう呟きながら首元から火花を大量に散らすと、自分の周囲に煤を薄く漂わせた。


 不穏な空気を物理的に漂わせながら喚き散らす2人を見て、額に青筋を浮かべるオールバックの男は、大声で怒鳴りながらこの場にいる者達の合否を伝えた。


「話を聞かんなら、本当に不合格にするぞ!よく聞け、お前らは合格だ!コレから第2試験を受けてもらう!」


「「…………え?」」


 声を止めた2人は顔を上げると、唖然としながらオールバックの男の顔を眺めて「本当?」とか細い声で尋ねた。


「本当だ!次の試験があるからサッサと立て!後、そっちの……そ、そ…………そちらのお嬢さんは、その変な霧を消して下さい」


 そう言われたので、リサは煤を引っ込めるとその場に立ち上がる。


「よ、良かったぁ〜!」


「脅かすなよリサちゃん……いや本当に」


「おいお前達!まだ試験は終わってないぞ!……とは言っても、後は個人の教育方針を決める為のテストだがな」


 オールバックのその言葉を聞き、他の受験者達も色めき立つ。


「騒ぐな!次の試験は魔法試験だ!そこに並べ!順番に幾つかの魔法を見せて貰う!」


 こうして、いつの間にか終わっていた第1試験を合格したリサは、第2試験に向けて気合いを入れ直した。


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