表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

怜奈がVtuberのママになった結果、Vtuberデビューが決まったらしい

「はぁ?Vtuberのママになったら、Vtuberとしてデビューすることになったぁ?」

「そーなの。ちょーびっくりよ!」

「いや、私もビックリしてるわ。

なんでそんなことに?」

「えっとね、かくかくしかじかってわけで…。」




「つまり、私をモデルに描いた紗千恵がバズった結果、Vtuberのデザインをすることになって。

怜奈がデザインしたVtuberの中の人に、表舞台に引っ張り出されたってこと?」

「そうそう!まとめてくれてありがとう!」


怜奈の長いお話をまとめると、そういうことだった。


「あんた、なんでそんなことになってんの?」

「えへへ…紗千恵ちゃんを褒められてさぁ、調子乗ってたら、気付いたらこうなってた」

「はぁ、あんたそういうとこあるね。

自分の子ども(作品)たちが褒められると、話に乗せられやすくなるよね」

「そんなことないよ???」

「はぁ…で、話って何よ?」


今日は怜奈から呼ばれて、部屋にお邪魔していた。

話はこれだけじゃないはず。

言いにくいことがあるときは、怜奈は話を後に回す癖があるからね。


「えっとね…実は既にVtuberデビュー自体は終わってるというか、配信も何回かしてるのよ」

「へぇ、後でアカウント教えなさい。それで?」

「えっと、前にさ、紗千恵ちゃんが幼馴染みとキスしているイラスト上げたじゃん?」

「…そうだね」


あれは紗千恵がバズって数十も集まった依頼の1つ、

『嫌そうな顔をしつつも、自分からキスをしてきてくれる幼なじみの彼女』

を怜奈が描いて投稿していた。


あれのモデルの写真では、最初はクッションにキスしていたのに、怜奈が納得いかないとか言って、最終的には…。


「あはっ、紗千ったら、あのことを思い出したんだ?顔赤いよ?」

「うっさい!あんただって顔赤いくせに!」

「ふふふ、私は自分が満足するためには、わりと何でもするのよ」

「知ってるわ!だからめんどうなんでしょうに!」

「ほっほっほっ…でね、あれがね…今回問題になったのよ」

「というと?」

「最近のVtuberって、アイドルみたいなところがあるでしょ?

だから視聴者は、男の影があると怒ったり、離れるのよ」

「つまり?」

「あれね、私が男とキスしたのをモデルに描いたんじゃないの?って問題になった」

「あー、そゆこと…」

「そぉ…他のイラストはさ、私自身がモデルになったとしても、ポージングとかだけなら参考になるのよ。でも、あのイラストは、確実に2人のモデルが必要になる。

簡単に言うとさ、『紗千恵のモデルなんか本当はいなくて、私自身がモデルになっていた。今回は彼氏とのキスを参考にしたんだ』って勘違いされたのよ。

だってそうでしょ?女の子同士でキスしたって言って、誰が信じるのよ。彼女ならともかく、親友よ?普通ありえないじゃん」


…私は怜奈から目を逸らす。

こいつ…イラストのモデル写真を撮るために、私にキスしやがったんだ。

初めてだったし許せないけど…怜奈はそういう性格だから仕方ない。別に、私は、キス出来て嬉しかったとかではない。そりゃ女の子は好きだけど、ホントのホントに嬉しくなかった。本当です。信じてください。めっちゃ怒ってます。


「そっ、そのぉ、えっと、その話はもういいからっ!

話ってなによ!」

「あ、ごめん、話長くなりがちよねー。

ねぇ紗千、私と一緒に配信しようよ?」

「…はぁ?」








『【紗千恵ちゃん出演!?】皆の誤解を解くぞー!雑談配信!!!【アーティス=レイレイ】』



チャット

:待機

:紗千恵ちゃんが実在するってマ?

:どうせ金で雇っただけだろ

:デビューしたてなのに相変わらず荒れてるなぁ

:おっ、始まるぞ!


絵描き本人がVtuberをしているだけに、クオリティの高いOP映像が流れ、配信画面に変わる。


「こんばんはー!アーティス=レイレイの配信へようこそー!」


チャット

:レイレイきたー!

:今日も可愛いよー!

:こんばんはー!


「はい、今日はタイトル通り、紗千恵ちゃんが出演してくれます!多分、この配信を見てる人は全員知ってると思うので説明はしません!話が長いって言われるので、すぐ出てもらいます!」


配信画面にいた、絵描きの美少女の立ち絵の横に、『童顔ジト目ぱっつん眼鏡巨乳低身長美少女JKで、お願いすればイヤイヤ言いながらも何でもしてくれる幼なじみの彼女』こと紗千恵が表示される。


「はい、紗千恵ちゃんでーす!今回の為だけに、描き下ろしで立ち絵を準備して、少しなら表情や動きを反映できるようにしました!

紗千…恵ちゃん、何か喋って喋って!」

「…はい、紗千恵です」

「紗千恵ちゃん、なんかテンション低くなーい?」

「あんたが高いだけでしょ…」


チャット

:紗千恵ちゃんだ!

:すげぇ、動いてる!

:どうせ皮だけでしょ

:テンションひっく!?


「えっと、今回はね、配信が荒れてる原因でもある、『紗千恵ちゃんのモデルは実在するのか?』という問題を解決しにきました!」

「はい、私は実在します。

…もう帰ってい?」

「だめだよ!?」


チャット

:紗千恵ちゃんは実在したんだ!

:バーチャルだけどな

:バーチャルは実在って言っていいのか…?

:証拠にならんだろ


「ねぇ、なんであんたの配信、既にアンチがいるの?」

「仕方ないじゃん。紗千恵ちゃんが実在するって信じないんだから」

「はぁ…こういうのはどこまでいっても信じないでしょ」

「あ、そういう発言良くないよ!余計荒れちゃうんだから!」


チャット

:草

:口悪くない?

:どうせ雇うならもっとマシなのにしろよwww


「というか、私が出ても信じないなら、これ詰んでない?」

「大丈夫!ちゃんと企画を準備してるから!

はい、じゃーん!!!」


『童顔ジト目ぱっつん眼鏡巨乳低身長美少女JKで、お願いすればイヤイヤ言いながらも何でもしてくれる幼なじみの彼女は実在するのか!?色々お願いしちゃおう!』


「…なにこれ?」

「書いてるとおり!紗千恵ちゃんに色々お願いして、何でも聞いてもらおうってね!」

「いやっ、断るけど?」

「そんなこと言って、絶対断らないくせにー!

ねぇ、チューしよー?」

「断る」

「あれぇ???」


チャット

:断られてて草

:ここ切り取り素材

:↑もう切り取った

:企画倒れじゃねぇか


「いや、皆まって!いつもは聞いてくれるんだよ!?

今日は配信だから緊張してるんだよ!」

「いつもって、あんたとチューしたのなんか1回だけでしょ!?」

「まぁ、そうなんだけどね」


チャット

:っ!?

:本当にキスしたの!?

:百合だッ!濃厚な百合の香りがするッ!

:まじか?


「ていうか、今日は本当に断るからね!」

「いやいや、冗談はよしてくださいな~♪

あ、じゃあ、ハグしよう!これは本当にいつもしてるよ!」

「やだ」

「なんでよー!」


配信画面では分からないけど、怜奈は私の腕に抱きついて、身体を揺すってくる。

やめてください、覚悟が揺らぎそうです。


「なんというかね、見せびらかすのは違うと思うのよ」

「あー、紗千ってそういうとこあるからねー。

学校とかでも、隠れてイチャつきたいタイプだし」

「紗千恵です。ていうか、そんなんじゃないけどさ!

ただ、なんか違うって思うだけ!」


チャット

:紗千恵ちゃんの名前、紗千ってマジ?安直過ぎん?

:わかる。見せつけるようにイチャつくのは違うよね

:図書室の端っこでイチャつくの夢だった

:どう○いっぽい発想だな

:女の子にど○ていはナンセンス


「おいっ、童貞言うなやっ!」

「チャットの皆が隠してるのに、紗千恵ちゃんが言ったらダメでしょ!女の子なんだから!」

「知らん!私は童貞じゃない!」

「そりゃ女だからね!」


チャット

:草

:放送事故では?w

:紗千恵ちゃんは童貞だった…?

:それはそれでアリだな


「はぁ、もういい。やっぱり帰る!」

「ちょっと待ってよー!私を助けてよー!」

「知らん!あんたの配信でしょ!」

「そんなぁ…あ、じゃあ、後で私が紗千恵ちゃんの言うことを何でも1つ聞いてあげるから!」

「…かっ、帰るぞ?」

「じゃあ、3つ言うこと聞いてあげる!それでいいでしょ!

紗千恵は1つだけ言うこと聞いてよ!」

「…しかたないなぁ、1つだけだからね!」

「ふっ、ちょろい…」


チャット

:チョロイン

:紗千恵ちゃん可愛いw

:どうせ台本通り

:まだアンチいたのか


「じゃあ、紗千恵ちゃん…私とキスをしよう!」

「はぁっ?!嫌って言ってるじゃん!」

「大丈夫、皆には見えないから!」

「そりゃそうだけどさ、カメラの向こうには実在してるんだよ!?」

「気にしなければ良いの!さぁ、しよう!」

「ちょ、ちょっとぉ…」


怜奈が私にしだれかかってくる。ふにゃぁっていうふうに、私に体重をかけて。

わわっ、あたっ、当たってるよ!?


「ねっ、もう1回だけ、チューしよ?」

「あわっ、あわわわっ」


私のほっぺに、怜奈の両手が優しく添えられる。

そして…。







「あんた、ホントありえない!チューだけって言ったじゃん!」

「え?チューだけだったじゃん?」

「いやっ、だって、今のはさ…!」

「ふふっ、いっぱい音が聞こえちゃったかもね?」


チャット

:これはまずいですよ!

:水音はやべぇ

:BANされるぞ!

:えぇ…

:アンチが百合のガチ度に引いてて草


「いやぁ、今のがなんの音だったのか、放送では分からないでしょ?

もしかしたら、舌打ちしてただけかもだしっ!」

「ふわぁ、ひょわわわわ…」

「あ、紗千恵ちゃんの腰が抜けちゃったぽい」

「うひぃ…」

「ふふふっ、紗千恵ちゃんは可愛いなぁ」

「あ、あんた、どういうつもり…?」

「どういうって?」

「だって、チューだけじゃなくて、あんな…!

もしかして、私のこと好きなの…?!」

「あははっ、どーだろーね?紗千恵ちゃんはどっちが良い?」

「うぎゅっ」


チャット

:今はどうなってるんだ!?

:分からん…くそっ、なんで3D配信じゃないんだ!

:ゆりぃ…

:おいっ、しっかりしろっ!

:濃厚な百合に浄化されてるぞ!?


「じゃあ、今日の配信はここで終わるね。

これでも紗千恵ちゃんが実在しないって思うなら、それでもいいよ。

でも、今私の目の前には、腰が抜けて顔が真っ赤な女の子がいる。これは本当だよ。

それじゃあ、おやすみ~♪」

・紗千

本作主人公にしてヒロイン。チョロい。女の子大好きで、お願いは断れないし、何されても喜んじゃうし、童貞っぽい。初めはもう少しクールなキャラになるはずだったのに、チョロくなった。怜奈とのキスが頭から離れなくて、毎晩悶えている。でも、怜奈に食い散らかされる想像をしているとかしていないとか。やめて、まだ私は正常よ。堕ちてないわっ…!


・怜奈

気付いたら小悪魔を超えてビッチみたいになってたけど、彼氏は出来たことがない。彼女は、候補がいるらしい。なぜかアーティス=レイレイとしてVtuberデビューしたが、配信にアンチが湧いていた。最近では濃厚な百合が話題となり、浄化勢と離れる人、元々いた人々の3つに視聴者層が分かれた。今は紗千が可愛くて仕方がない。私ってドSなのかも?次は何をお願いしようかなっ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ