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Gender  作者: 柊 椿
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始動

今日の朝はいつもと違う。

いつもなら顔を洗い、食パンを焼き、歯を磨き、スーツに着替え会社へ行く。


しかし私の履いているのはジーンズだ。


いきなりワンピースはハードルが高い。

様子見が必要だ。


会社のドアを開く。


「おはようございます。」


皆の反応は・・・。

素通りだ。

まぁ、予想通りだ。

出勤時は私服の人間も多少いる。

そう、これは予想通りなのだ。

しかし、男でそのままの姿で仕事をする人間は今までいない、どうなる?


始業のチャイムが鳴る。

毎朝の朝礼が始まる。

皆椅子から立ち部長の話を眠そうに聞いている。

朝礼が終われば呼びだされるのか?

それともこのままスルーか?


朝礼が終わった。


このままスルーされた。

成功だ。


呼び出されたとしても就業規則には違反していないはずなので反論はできる。


皆それぞれの仕事に掛かる。

隣の席の同期の冬月さんがこちらをチラ見してきている。やはり気にはなるだろう。


「佐伯君、今日はスーツじゃないんだ。」


冬月さんが我慢しきれず聞いてきた。


「うん。僕は内勤だからスーツじゃなくても仕事に支障ないからね。」


「そうなんだね。」


とりあえずは第1関門突破といったところだ。


次は部長への朝の報告だ。


1対1であれば部長もスルーしてこないだろう。


報告資料を持ち部長の机へ向かう。


「おはようございます。昨日の売り上げ資料です。」


私はいつも通りの報告を行う。違うのはスーツでは無いところだ。


「はい。分かった。」


お!ここでもスルーか?


「ところでなぜスーツじゃないんだ?朝から気にはなっていたが。」


さすがに言われるだろう。

だがこちらも何の準備もしていない訳では無い。就職規則がある。


「就職規則を見るとスーツの着用は義務では無いようでしたので。」


「そうか、まぁ君は内勤だからな。あまり派手な格好はしないようにな。」


これはOKという事か?

とりあえずスーツから男物私服へのジョブチェンジに成功した。


だが戦いは始まったばかりだ。

しばらくは大人しくしておいた方がいいだろう。ゆっくり慎重に、私にはまだ時間はある。


誤解されないように先に言っておきたい。


決して私は同性愛者ではない。

彼女がいた事は無いが、だからといって男を好きになる事は無い。

私はただの女装癖だ。

ヒラヒラの服を着ていたいのだ。出来ればそれで仕事もしたいし、生活もしたいのだ。

女性が羨ましい。

ハイヒールを履き、良い匂いを漂わせ、オシャレな服で着飾りたいのは私も同じだ。


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