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2 僕と君で世界を救う

 僕と君で世界を救う


「世界が!!」 

 と羽衣はもう一度言う。

 そう言ってから、「あ、善。いたんだ」といつものように、真顔に戻って善に言った。

「いたよ。ノックだってしたし、お邪魔しますもちゃんと言ったよ」と善は言った。


 すると羽衣はまるで電気の切れたおもちゃのぬいぐるみみたいにその動きを止めて、その大きな目だけをぱちぱちとさせながら、じっと善のことを見つめた。


 そんな羽衣の不思議な動きや反応に慣れている、付き合いの長い善は「それよりも、羽衣。コーヒー飲む?」と羽衣に言った。


「うん。飲む」と、まるで小さな子供みたいな顔で、にっこりと笑って、羽衣は言う。

「わかった。牛乳で割ったぬるいやつね」

 そう言って善は羽衣に微笑んでから、羽衣のためにコーヒーを淹れた。


「ありがとう」

 コーヒーを受け取ると、にっこりと笑って羽衣は言った。


 それから二人は羽衣の研究室にあるお茶を飲むスペース(わざわざ研究室の中に羽衣が自分で用意した)に移動をして、そこで椅子に座って、二人で飲み物を飲み始めた。


「それで、さっきの話はなんだったの?」炭酸系のジュースを飲みながら善は言う。

「さっきの話って?」羽衣は言う。

「えっと、確か、世界が終わっちゃう、って言う話?」


 その善の言葉を聞いて、羽衣ははっとした表情をすると、「そう! それよ! こんなところで、コーヒー飲んでいる場合じゃないの!! 善。協力して!! でないと世界が終わっちゃう!!」と善は言った。


「世界が終わる」

 天才である羽衣がいうことに間違いがないということを知っている善は、このときになってようやく、その顔を真顔にして、真剣な表情をして、羽衣のことを見た。


 羽衣はそんな善の真剣な顔を見て、あ、と思って、ちょっとだけその顔を赤く染めた。羽衣は静かに椅子に座りなおして、それから、コーヒーを一口だけ飲んだ。……美味しい。

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