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魔人2


「神龍力――だって? 何故、人間が対龍魔法を使えるんだい? 大陸に龍はもうほとんどいないはずなんだがね」

 

 ファウストは疑いの眼差しを向けるが、俺はわざとらしく肩を竦め、

 

「そのほとんどいない龍に教わったんだよ」

 

 龍は人が普通はいけない場所にいるらしいから信じられないのが普通なんだろうがな。

 

「ハハハハ!面白くもない冗談だね!それが本当でもショロトルには勝てないよ。ただの人間が魔人の身体能力に届くはずがないからね!」


 ファウストも俺の魔法をはったりと思ってるようだ。

 

「そうか? なら、やってみるといい」

 

 俺が中指を立てて挑発してやると、ショロトルは大きく魔力を膨らませてこちらに突っ込んできた。

 

「炎龍突翼」

 

 炎を翼はジェット噴射のような推進力で、踏み込みの速度と合わさってまるで赤い彗星のように尾をたなびかせて突っ込んでくる。

 

「風龍の翼擊!」

 

 俺は背中に四本の竜巻を接続させると、それを推進力にして一気にショロトルに体当たりをかました。

 

 互いに同系統の技。

 

 体格差ならショロトルの圧勝だが、この世界にはステータスとレベルっつー無慈悲な数値化があるのだ。

 

 その前では体格差など意味をなさない。

 

「ごがだっ!?」

 

 俺とショロトルがぶつかり、拮抗したかに見えたのは一瞬で、易々とその巨体が吹き飛ばされた。

 

 見た目とは想像がつかないほど軽々と吹き飛ばされたのだショロトルはそのまま二転三転と地面を弾むように転がって壁に激突する。

 

「追加だ。雷龍の咆哮!」

 

 そのまま激突して倒れたショロトルめがけて雷撃を喰らわせてやる。

 

 悲鳴はないがビクビクと身体を震わせて倒れたショロトルは焦げ臭い煙をあげていた。

 

「馬鹿な! ありえない! 僕の最高傑作がっ! スペックなら龍とでも戦えるはずなのにっ!」

 

「あの程度で本物の龍と戦えるのと思ってんのか? 笑わせてくれる」

 

 幻想世界でのティアや復活したジャバウォックはそれこそ化け物だった。

 

 あれと比べればショロトルなど虎と猫以上の比較差がある。

 

「引きこもりすぎて現実を見れていないようだね。残念だが、危険な研究もろとも、ここで果ててもらうとしよう」

 

 マーリンは慌てふたむくファウストめがけ超高温まであげた青白い炎弾を放った。

 

 鋼鉄も飴細工の様に溶かせる高熱の一撃だが、ファウストの張った魔法障壁によって阻まれる。

 

「たかが人間の魔法使いにしては腕は立つようだが、甘いね。亜人からリッチーとなった僕に魔法戦を挑むなんて」

 

「お前、リッチーだったのかよ……」

 

「ベースは違えど同族だったとはね……。亜人からリッチーになるなんて新種レベルの珍しさだ」

 

 ダンジョンでも奥にいかねばならないリッチー。その多くが魔法を極めた人間と言うのが基本的な見解だ。

 

 亜人からリッチーになった話しは聞いたこともないし、長く生きたマーリンでも初めての相手だ。

 

「下等な人間が成ったリッチー程度と同じに思われるのは不快だね」

 

 ファウストから冷気のように冷たい魔力が霧のように満ちていく。

 

 その魔力はマーリンよりも遥かに濃密で禍々しい。

 

「ハッ、どの種族だろうが関係ないがな。捻り潰すだけだ」

 

 神龍力だけなら足りなくても、マーリンの魔法を喰らえば能力はまだまだ上がる。

 

 ショロトルとの二人相手でも脅威にはならないはずだ。

 

 実際、ファウストからそれほどの脅威は感じられないしな。

 

「誰が戦うと言った? ショロトルがまだまだ改造が足りない以上、退かせてもらうとするよ」

 

 ファウストの足元に魔方陣が輝く。

 

「待ちやがれ!」

 

「君達の相手は偉大なる魔皇様より授かりしクサリクがしてくれよ。せいぜい生き延びて見せるといい」

 

 捨て台詞とともにファウストとショロトルの姿が俺達の前から書き消え、魔方陣も消え去った。

 

「クソッ! 転移魔法かっ!」

 

 吠えながら振り下ろした魔力爪は虚しく空を裂いて床を抉っただけだった。

 

 

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