表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/196

魔人


「がぁぁぁ!」

 

 直後に轟く咆哮が鼓膜をビリビリと叩く。

 

 尖った犬歯と爛々と輝く赤い瞳は人ならざる者を思い起こさせ、眼があっただけで死を覚悟するだろう。

 

 普通ならば……だが。

 

「龍炎擊!」

 

 くぐもった声で唸る巨体から炎を纏った拳が頭を吹き飛ばさんと放たれた。

 

 ジェット噴射のように加速した拳はまともに受けたら首から上を消し飛ばしそうな威力はある。

 

 だが、狂人の眼光で怯むほど柔じゃない。

 

「甘いっての!」

 

 即座に反撃で拳をショロトルの拳にぶつけた。

 

 直後、俺の魔力とショロトルの魔力が一瞬溶けるように混じった。

 

「!?」

 

「!!」

 

 なんだ――今のは……。

 

 こんなことあり得ない。

 

 普通、属性が違う――しかも、敵意のある魔力がぶつかり合えば威力が互角なら相殺。差があれば、そのまま片方が押しきられるのが道理だ。

 

 なのに、何故?

 

 戸惑う俺に今度はショロトルは口から炎を吐き出した。

 

 まじかよ――!!

 

「お前は――なんなんだ!」

 

 だが、ショロトルは何も答えない。

 

 翼膜のように炎を広げたり、火炎放射状のブレスを吐き続ける。

 

 この戦い方って――。

 

「驚いたかい?ショロトルは滅龍魔法が使えるのさ!」

 

「はっ!狂人が龍と契約でもできたのか?」

 

 新しい玩具を自慢したい子供のようにはしゃぐファウストは人差し指をチッチッと振り、

 

「『龍鬼血』がただ魔物作るものだけとでも?あれは根源に近い龍の血なのさ。適合できれば強靭な肉体だけではなく龍の魔力も授かれる。まぁ、元が火の使い手らしいから、炎龍の滅龍魔法しか使えないらしいがね」

 

 それで滅龍魔法を使えたのか――。

 

 道理で、俺と似た魔法の使い方と思ったが……。

 

 感覚的に近いと感じたのは同じ滅龍魔法を使えるからか?

 

「それだけじゃない。僕の研究で得た魔物の因子により、さらに身体能力も魔力許容量も上位の魔族をも上回る力を与えてあるんだよ!」

 

 ファウストは自慢げにショロトルの性能を語るが、確かに自慢したくもなるわな……。

 

「さぁ、どうする? ショロトルの拳を止めたのは驚いたが、こいつは龍をも殺す魔法使いだ。勇者だろうが、龍だろうが、勝てると思うのかい?」

 

 ただ……。

 

「滅龍魔法が使えるのが、お前はご自慢の狂人だけだと思ったのか?」

 

 ザワリ……。

 

 身体の細胞一つ一つから力が沸き上がってくる。

 

 莫大な力が身体を包み、血が滾るを感じる。

 

「な、なんだ……。オーラ系の魔法? いや、それとは違う。なんだその魔法は!?」

 

 戦くファウストに俺は自慢げに笑い、

 

「教えてやる。これが真の滅龍魔法――神龍力だ!」

 

 滅龍魔法の奥義を解放する。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ