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異世界との関わり


「我々地球とこの世界には繋がりがあるんだ」

 

「あぁ、それは知ってる。俺やあんたとは逆に地球に召喚された者がいるのはな」

 

 鬼人の里で聞いた酒天童子がそのはずだ。

 

 逆にアーサー王とアヴァロンについては帝国でその関係がある感じがしたしな。

 

「そう。その召喚された異世界人が使った異能力――つまり、魔法が召喚時に地球に流れたんだ。そして、もともと地球人が使う異能力は超能力だったが、この二つが地球に異能力という巨大な枠で広まるようになった」

 

「つまり、俺達の世界ってのは異能力っての魔法と超能力ってことなのか?」

 

「あぁ……ただ、魔法そのものも地球に定着して変質しているから、この世界の魔法とはもはや別物だけどね。それに魔法使いと超能力者の混血による完全に別の異能力もあるし」

 

 確かに、超能力でも説明できない現象を生み出す異能力はいた。

 

 あれが魔法ってことか?

 

 俺が覚えられない異能力は魔法かもしれない。

 

 なら、何故か使えない異能力があるのも説明ができる。

 

 あれらは地球式の魔法だったってことだ。

 

 この世界でマーリンから魔法を教えてもらったが、俺には扱えなかったし、俺はどうやら魔法全般がダメだったのだ。

 

 故にルーツが魔法である異能力をコピーできないのも道理だな。

 

 もしかして、『隔界』に入れる人間とそうじゃない人間の差もそれなのか?

 

「じゃぁ、権能はどうなるんだよ?」

 

「あれはまた別枠だろうね。とにかく、根っこは違うが異能力は混じりあって今の時代は魔法でも超能力でもない力になったんだ。それがSPを使う異能力なんだが、これはMPで使うことができるんだ。何せ、根っこは魔法でもあり、超能力でもあるからね。ただ、必要分はかなり割り増しされるよ?」

 

 異能力自体に魔法の色が入ってるから無理やりMPの消費でも補えるってことか?

 

 んなバカな――。

 

 ならなんで今まででできなかったんだ?

 

 俺が再び首を捻ってるといきなりステータス画面が開かれ、さらに説明文みたいのがでてきた。

 

『MP代用――SP消費による部分をMPで補うもの。ただし、MPが尽きた場合は魔力精製に必要な生命力――HPを変換してMPにあてることができる』

 

 いや、なに、その今さらなのは!?

 

 ユグドラシル戦で無理やり権能が発動できたのはこれのおかげか?

 

 SP切れ→MPで代用→MP切れ→HPから変換→HP枯渇により気絶。

 

 これの流れだとあの時の権能の発動はギリギリだったな……。

 

 もしHP使っても足りなかったらそのまま死んでたのかよ!

 

 てか、MPで使えたならSPなんて項目つくんなよ!!

 

「あ~、今説明アイコンが出たみたいだね。今までの苦労はなんだったんだ!って顔になってるよ」

 

「まったくその通りだ。誰かに教えてもらわないと発現しない説明って……ざけんなよ!!」

 

 古いゲーム機でのRPGで色んなキャラと会話しないと説明がしてもらえない不親切なシステムを味わった気分だ。

 

「まぁ、この世界の世知辛いところで全部が全部ゲームっぽいわけじゃないんだよね」

 

「あぁそうだな。だが、おかげで権能が使える目処がたったな」

 

「権能って……。君、神殺しなのかい!?」

 

「言ってなかったか? 一応、一桁だが、何柱も倒してるんだ」

 

「それは凄いな。異世界の勇者でも過去最強かもしれない。だから、SPについて悩んでたのか。普通の異能力での消費ならそこまで気にしなかったはずだからね」

 

「権能はSPをかなり喰うから驚いたぞ」

 

 文字通りの必殺技なんだけども回復アイテムなしでボス戦込みでその後も戦えってのは鬼畜仕様もいいとこだ。

 

「権能か……。私には縁がないが、聖杯ならかなりの権能でも使えるはずだ。君にとっては大いに役に立つはずだよ。ジャバウォック討伐に使うといい」

 

「みたいだな。遠慮なく使わせてもらう」

 

 俺が聖杯に触れた瞬間、内側から燃えるような熱さと力強さが漲っていく。

 

 それだけではない。

 

 HP、MP、しかも、SPも全回復していた。

 

 ただ……。

 

「聖杯の中の魔力が目減りしてるんだが……」

 

「神殺しの魔力許容量が桁違いなのは知ってたけど三割もなくなるとはね――さすがに予想外だよ」

 

 ゲオルギウスも驚いている。

 

 神器だが、全回復できるのは三回か……。

 

 まぁ、かなり助かったが、千年貯めたにしてしょっぼいと思うのは黙っておこう。


「聖杯に触れただけで――回復するのな。中の水はこぼれないし、呑まなくてもいいのは便利だな」

 

 戦闘中に悠長に飲む余裕がない時でも助かる。

 

「呑まなくても、触れれば補充されるからね。普通の人間なら人生の全てを魔法発動に費やしても魔力は枯れないはずだったんだけど」

 

 この世界ならとんでもチートアイテムだろう。

 

 無限魔力とも言える聖杯だが、残念ながら普通の魔術師に限る、ってフレーズがいるわな。

 

 ジャバウォックの強さがどれほどかはわからないが、今回は万全だ。敗けはしまい。

 

「ジャバウォックの始末は俺がきっちりつけてやるから、あんたは安心して成仏してくれ」

 

「慢心は禁物だ。ジャバウォックは前よりどれほど強くなったかがわからない。いくら権能保有者とも言えど油断しないほうがいいよ」

 

「わかってるよ」

 

 俺の後にティアも聖杯に触れて魔力を全回復したが、聖杯の魔力はまだまだありそうだ。

 

 魔法の鞄に聖杯を入れておく。

 

 今後も聖杯にはお世話になりそうだ。

 

 この世界に来てこれほど完全回復したのは初めてだった俺はジャバウォックを討伐すべく大聖堂へと向かうのだった。

 

 

 

 

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