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異世界チュートリアル


 ガラガラと揺れる馬車の中、俺と俺を案内してくれた少年兵士、少女兵士がいた。

 

 二人とも俺が乗せてくれるように頼んだのでこうして同乗してもらっている。

 

 ちなみに指揮官は他の馬車に乗ってもらった。

 

「勇者様がお聞きになりたいことは知ってる限り話させていただきます」

 

「あぁ、よろしく頼むわ」

 

 そう……。この世界についての情報を教えて欲しいと頼んでいたのだ。

 

 指揮官に聞けばいいと少年、少女兵士は思ったみたいだが、情弱なのを権力者に知られれいいように操られる話は少なくない。

 

 召喚されたばかりだが、この移動の間に少しでもこの世界について知る必要があるだろう。

 

 全くの無知では自分で判断するにも困るからな。

 

「まずはこの世界での基本としてステータス魔法が存在します」

 

 ステータス魔法?

 

 いや、魔法はあるがステータス?

 

 能力値を計る魔法か?

 

「視界右下にチェック項目があると思います。そこに意識を向ければ見られますよ。HP、MP、魔法修得状況など色々見られますよ。ちなみ、魔力はいらないので魔法と言っていいのかは微妙ですけどね」

 

 なんだそりゃ……。

 

 HP、MPってゲームかよ。

 

 俺は呆れながら視界の端に意識を向けると――。

 

 パチィ!

 

 ロックが解除されたような音がして視界に大量の情報が広げられた。

 

 圧縮ファイルを開くようにどこにあったのだと思える情報が一気に開示されていく。

 

(これが魔法? いや、意識するだけで使えるし、魔法と言えるのか?)

 

 HP、MP欄は横バーで表示されている。

 

 魔法修得状況は――当然未修得。

 

 当然だな。……ん?

 

「なぁ……」

 

「どうされましたか?」

 

「MPの下にSPって欄があるんだが?」

 

 しかも随分減ってるぞ。

 

 四分の1は減ってる。

 

「SPですか? 聞いたことないですね……。勇者様しかないステータスなのでしょうか?」

 

 んなもん、聞かれてもわからんわ。

 

 SP欄に意識を向けるとさらに情報が展開され修得状況が表示された。

 

 スキル――修得済――異能力…………。

 

 なるほど、これはあっちの世界の異能力のことか……。

 

 なんか自分がどんな能力値なのかわらるのは面白いな。

 

 こうやって目視することなんかできないわけだし。

 

 俺は少年兵士にステータスの各数値や表示について尋ねながら自分の現状の把握に努めていく――。

 

「あと、この世界では大まかに四つの国が支配圏をもっています。ここブルースフィア王国が王国と呼ばれ、似たような体制の帝国に宗教国家である法国、そして様々な種族が入り交じる共和国があります」

 

 俺が召喚されたのが王国か……。

 

「様々な種族ってエルフとかドワーフか?」

 

「どちらかと言うとワービーストが多いですね。エルフやドワーフは少数の種族であまりいないと聞きます」

 

 ケモミミ系か……。業火とかなら、異世界万歳って喜びそうだな。

 

 俺も興味あるし……。

 

「共和国は亜人の権力が強くて、逆に王国は人間の権力が強いですね。帝国は半々くらいでしょうか? 法国はあまり噂は聞きませんね」

 

 人間比率が高いのが王国か……。

 

 確かに砦にいた大半は人間だったな。まぁ、亜人がいるのは聞いてなかったからいたら、驚いてただろう。

 

「国については、わかった。次は魔法について教えてくれ」

 

 俺はさらに質問を続ける。

 

 とはいえ、深い話ではないし、当たり前の常識についてなので、少年兵士もスラスラと答えてくれる。

 

「そうですね。魔法はMPを消費して起こす現象ですね」

 

 そこはSPでの異能力と同じか……。

 

 それより気になるのは別にある。

 

「魔法は俺でも使えるのか?」

 

 俺の知ってるラノベとかだと2つ使おうとすると副作用だと拒絶反応で最悪死ぬんだが。

 

「勇者様しか使えない魔法も伝承であるのでそんなことはないと思いますよ? それに勇者様はすでに魔法を使っておられましたよね?」

 

 モビーディックの戦いを見ていた少年兵士は不思議そうに首を傾げる。

 

 あぁ、皆あれを魔法と思ってるんだったな。

 

 ……となると、その勇者様専用の魔法って異能力かも知れないよな。

 

 修得できるのか不安になってきたぞ……。

 

「……勇者様専用の魔法以外ってどうやったら使えるようになるんだよ?」

 

 誰でも使える魔法で試さないと覚えられるのかわからないからな……。

 

「魔法は適正のある属性の魔導書――スクロールを使うか、水晶玉に封じられたものを解放するかですね。あとは、魔法を教えてもらうとかです。ただ、魔物も魔法を使う種族もいるので、他にも条件があるみたいですが……。あと、レベルによっても変わりますが?」

 

「レベル??」

 

「えぇ、ステータスの左上に今の自分のレベルが表示されているはずですよ」

 

 ますますゲームじみてるな、この世界は。

 

 いっそ、新感覚のネットダイブシステムのゲームと言われても納得できそうだぞ。

 

 レベル……。

 

 またステータスを展開させて自分のレベルを探す。

 

 あった。

 

 レベルは――――。

 

「レベル1かよ!」

 

 異世界ものって強くてチートとかじゃないのかよ!?

 

 しかし、俺の突っ込みに少年兵士も少女兵士も驚きの表情になった。

 

「えぇ!? あんな魔法が使えるのにですか!?」

 

「レベル1で滅獣を倒したんですか!?」

 

 レベル1の認識はまぁ、最弱みたいだな。

 

 どんなゲームでもそうだし。

 

 普通、レベル1で世界を脅かす怪物は倒せないだろうし。

 

「あー、勇者だからスキルは強いんだよ」

 

「さすがです」

 

「さすがですね」

 

 称賛と羨望の眼差しが眩しい。

 

「ステータスとかレベルはどうやったらあがるんだ?」

 

「普通に魔物を狩って経験値を得るんです。倒した魔物の強さによって経験値が入るので。あとは貯まった経験値を還元すればレベルがあがりますよ」

 

 RPGか!

 

 この世界はゲームと現実がごちゃまぜになったみたいだな。

 

 なんというか、ゲームと思って生きてる勇者とかいそうで、怖いな。

 

 異世界ヒャッホー!とかいって、やりたいほうしまくりそうで。

 

 気をつけないと……。

 

 システムとか聞いてるとゲームじみてるから、そっちに染まりそうだ。

 

 しかも、勇者ってだけで尊敬の眼差しで見られるし……。

 

 とりあえず、レベルを上げて魔法を覚えることが先決か?

 

 

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