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時恵の力4


「切り刻め――痛哭の魔弓」

 

 時恵が弦を弾いた瞬間、俺は全力で横っ飛びした。

 

 ザシュュュュュ!

 

 俺のいた場所に細い線が斜めに刻まれる。

 

 石より堅そうな地面を易々と斬るか……。

 

 普通の人間なら死んでる技のオンパレードだな。

 

 いくら身体能力が高くても痛いものは痛いのだ。

 

 骨はまだしも肉は絶対に斬られてたぞ。あれ。

 

 ビィン。

 

 またかっ!

 

 時恵が指を弾く瞬間に俺は転がるようにまた避ける。

 

 時恵が遊んでるからいい様なものの、速射されてたら間違いなく食らってる。

 

「ほぅ。神速不可視の一撃をよく避けたな」

 

「神速不可視って……空間斬擊かよ!? 予想してたわ!」

 

 座標攻撃の一つだろう。

 

 瞬間移動能力者が使う技に似ている。

 

 座標に棒やガラスを飛ばすとそこにあった物体を押し退けて転移するため、コンクリートをプラスチックの板でも切断できる。

 

 ちなみにこの特性のせいで人体で瞬間移動に失敗した場合はそこに埋まる形で移動してしまうらしいが……。

 

「では、次はどうかな?」

 

 時恵の背後に黄金色の揺らぎが生まれた。

 

 空間は水面が揺れるように波紋が生まれ、そこから無数の武器が弓矢の様に射出された。

 

 鎌、槍、剣、刀、斧、矛、矢……なんでもありだ。

 

 その一つ一つが桁違いの魔力を秘めており、神器にも相当しかねない。

 

 それらが数えきれないほどの数でマシンガンの如く無造作に放たれたのだ。

 

 防げるかっ!!

 

 一つでも脅威の武器が雨の如くあるのだ。

 

 避けれる数ではない。

 

 一つでも当たれば手足がもげる。

 

 権能並のチートじゃねえかよっ!

 

 なら、権能には権能をっ!

 

「深淵よりも深き虚無の闇よ!万象を喰らう祖は暴食の闇。原初に還す力にて敵を打ち倒せ!」

 

 俺は虚無の闇を傘状に展開させ、それらを全てを呑み込んでいく。

 

 やはりこれを長時間展開させるのはまずい。

 

 ガリガリと魔力が削られているのだ。

 

 俺は神器の弾幕が消えたのを見て闇を消した。

 

「ほぅ……権能を上手く発動させたな。だが、次はどうする?」

 

 時恵はまだまだ余裕らしく楽しげに笑っていた。

 

 さすがドS、容赦がない。

 

 忽然と現れた弓矢を消すと、今度は刺々しい鮮血を固めたかのような深紅の槍を握りしめていた。

 

 あれも権能級かよっ!

 

「円卓の騎士、英雄王、次は無敗の英雄だ。滅びし世界の英雄の力を凌いでみせろっ!」

 

 時恵は両足を大きく開くと、そのまま槍を振りかぶる。

 

「我が槍からは神々とて逃るること能わず。我は太陽神の子にして不敗の英雄なり! 万物を仕留める一撃をもて、敵を屠らん! 突き穿て――必滅の棘槍!」

 

 時恵が投げた槍は赤い閃光となって俺めがけて飛来した。

 

 雷の魔力を纏い、身体能力をあげ、尚且つ警戒していたはずなのに、俺はそれを見ることが出来なかった。

 

 いや、抵抗したはずなのに無効化されていた。

 

 まるで掬った水が指からこぼれたように意識外から胸を――心臓を貫かれていたのだ。

 

 ありえない。

 

 座標攻撃でも、ただ速い攻撃でもない。

 

 まるで当たる事が決まっていたかのように気づいたら貫かれていたのだのだ。

 

 

 

 

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