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ドラキュリアン5


 若いな……。見た目は俺達と変わらない。15~18辺りか?

 

 ルビーの様に真っ赤に輝く瞳に黄金を溶かし込んだ金糸の輝きの髪は王冠の様で、白い肌は触れただけで怪我してしまいそうな儚さがある。

 

 あの女神像なんて比べ物にならないほどの美しさだ。

 

 どんな男を魅了する美しさと、王者の貫禄が同時に混在していて、見た瞬間に視線を釘付けにする存在感があった。

 

「ようこそ、勇者様。あなた――達の来訪を心よりお待ちしておりました」

 

 カーミラは俺だけを見たのは気のせいだよな?

 

 美海もカーミラの存在感に呑まれたのか、言葉が出てこない様だ。

 

「それは光栄ですね。カーミラ……さん」

 

 呼び捨てにしたら後ろで控えているヒルダとナーベに睨まれそうだ。

 

「共和国は異世界召喚はしなかったので、勇者に興味などないと思ってましたが」

 

「フフフ、異世界の勇者は数多くおられたましたが、あなたは特別なのです」

 

 穏やかに笑う姿は淑女そのものだ。

 

 カーミラはやはり俺を見ていた。

 

 いや、なんだろう……。俺の後ろを見ている?

 

 なんとなく視線を動かしたが、誰もいない。

 

 背後霊とかついてないよな?

 

「それはどういう意味ですか?」

 

「そうですね。あなたには全て話しておかないとなりませんね。私はある方との契約であなたの来訪を待っていたので」

 

「ある方?」

 

 俺は眉をひそめた。

 

 まったく心当たりがないのだが?

 

「サカマキトキエ様と言えば通じるのでは?」

 

「っ!?」

 

 俺は驚愕に目を見開き、美海は驚きに息を飲んだ音が聞こえた。

 

「なんで社長の名前が出てくる?」

 

 俺も緊張していたが、なんとか平静を装えた。

 

「あら? トキエ様から聞いてないのですか?」

 

 聞いてるわけがない。

 

 繋がりもまったくわからないんだが。

 

 どう答えていいもんか。

 

「社長との契約ってのは俺に関係あるのですか?」

 

「勿論です。まぁ、あなたもそれが目的のはずですよ?」

 

「どういう事です?」

 

「約束の時にこの世界にトキエ様の召喚をする。それが我々とあの方との契約です」

 

 確かに俺の目的と合致するんだが、彼女が元使徒って知ってるから、はいそうです、と馬鹿正直に言っていいものか悩む。

 

「使徒が世界を護るために行動するのは意外ですね」

 

 ピクリ、とカーミラの眉が動いた。

 

「誰から私の話を聞いたのでしょうか? 私の事を知ってる方はそう多くないはずですが」

 

 まるで知ってる奴を消してきたみたいな言い方なんだけど……。

 

「こちらにも情報提供者があるんです。まぁ、不確かでしたが」

 

「なるほど……。勇者様は色々な方面に味方がいるみたいですね」

 

 カーミラの目が鋭くなった。

 

(使徒のメンバーを知ってるのは使徒だけのはず。まさか、召喚者が使徒側に取り込まれてる……なんてことはないですが、私を信用してない可能性は高いですね)

 

「ええ、まったく困ったものです」

 

 ほほほ、ふふふ、と笑い合ってると、他のメンバーに若干引かれた。

 

「……社長を喚ぶ話に戻しましょう」

 

 腹の探りあいをしてても仕方ない。

 

 信用できないが、社長を召喚する目的では協力できるしな。

 

「トキエ様との契約では、あの方の力を継いだ勇者が召喚された時代にあの方をこちらから召喚するものでした。何百年も待っていてようやく現れたのがあなたなのです」

 

「力を継いだって……そんな覚えは――」

 

 あるわ。

 

 俺が死にかけた時、移植した部分は時恵の細胞が使われている。

 

 だから、社長の身体の一部が入ってるのが力を継いだってことなら間違いないが……。

 

「でも、なんでそれがわかるんですか?」

 

「あなたを血をヒルダが調べたからです」

 

 あぁ、試合した時にちょっとだけ血が出たな。

 

 あれを調べたのか……。

 

 いつの間に――。

 

「よく調べられましたね。ドラキュリアンの特性ですか? 魔法ですか?」

 

「前者です。血の一滴でもある程度の情報はわかっておりますからね。特にトキエ様の聖血は保管されていたので、調べるのは難しくありませんでした」

 

 聖血って――トキエ様といい、社長はドラキュリアンでは神様的な扱いみたいだな。

 

 一体どんな関係なんだ?

 

 

 

 

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