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ドラキュリアン2


 ヒルダの身体は地面と水平に吹っ飛ばされて、壁に激突して粉塵を巻き上げた。

 

 普通なら死んでるが、レベル100越えならあの程度のダメージなら死にはしまい。

 

 あれだけ補正もかけてたしな。

 

「魔法を使った様子もないが、これほど異能を扱うとは――デュアルスキルと言うやつか?」

 

 粉塵の中立ち上がったヒルダはダメージは大してないのか平然としている。

 

 掠り傷が白い煙をあげて見る見る塞がっていったのだ。

 

 ……再生能力持ちか?

 

「二重持ちって単語をこっちで聞くとは思わなかったぞ。さすが、異世界者について知ってだけあるな。だが、生憎、俺は二重じゃなくて多重――マルチスキルだな」

 

「異能の複数持ちか――。素晴らしいな。いや、凄まじいと言うべきだな」

 

 デュアルは二つの能力を同時に操る能力者だが、俺はもっと扱える。

 

 デュアルでも珍しいので、複数操れる俺は異端と言えるが。

 

「なるほどな……。まだまだ隠し球をもっていると言うことか……」

 

 ヒルダはオレを眺めてから徐に両手をあげて、


「…………参った。ここまで差があるのにまだ力を出してないなら勝負にならないだろう」

 

「本気じゃないのはお互い様だろ?」

 

 明らかにヒルダも本気ではない。

 

 魔法に関してもまだ底を見せてない感じだった。

 

 実際HPはかなり残ってるだろうしな。

 

 肩透かしだぞ。

 

「隠してる力量差くらいは把握してる。まだ半分も出してないだろう?」

 

「まぁな」

 

 滅龍魔法、権能解放時の恩恵、権能、異能力のストックを考えたら三割以下くらいか?

 

 だが、ヒルダがどれくらい本気だったか気になるところだ。

 

 聞くのは失礼か?

 

「はっきり言うな、君は。カーミラ様は強い者が好きなのだ。ぜひ、紹介させてもらおう。そちらに不都合がなければすぐに首都へ戻るが?」

 

 若干むくれてたから、聞いたら失礼だな。

 

 やめとこ。

 

「助かる。でも、訓練は大丈夫なのか?」

 

「副隊長にまかすさ。それより、君達を案内する方が重要だしな」

 

 時間に限りがあるこちらとしては早いのは助かるが、いいのだろうか?

 

 まぁ、ヒルダ側に不都合がないなら問題ないが。

 

「じゃ、頼む」

 

「うむ、頼まれた。だが、先にカーミラ様に連絡しなければならないので、先に準備しておいてくれ。そうだな――ギルド前の広場ならよいか?」

 

 あぁ、アカリと冒険者が揉めてた場所か。

 

「俺達は構わない」

 

「ならば、二時間後に――」

 

 ◆

 

「模擬戦のとは言え、勝敗は一瞬でしたね。互いにほとんど手札は出しませんでしたし」

 

「私、ほとんど見えませんでした!」


「滅龍魔法もなしとはつまらぬな」

 

 何故か勝って観客席に戻った俺に美海、アデル、ティアは不満げだった。

 

 なぜ、ほぼ無傷だったのに野次られなければならない?

 

「ざけんな! こっちは別に見せるために戦ったわけじゃねぇんだよ」

 

「でも、ヒルダ様が走り出して、槍が地面から飛び出したと思ったら、いきなり砕け散って、ヒルダ様が吹き飛んだとこしか見えなかったんですよ? 神条様はどうやって倒したか見えませんでした! 」

 

 しかも、全部が早すぎて部分、部分、しかもちゃんと見えてなかったことにアデルは不満そうだ。

 

 実際は四つ以上異能を使ったが、アデルの動体視力じゃ見えなくて当然か。

 

「勇者の強さのネタがあっさり割れたらつまらんだろ?」

 

「研究者としてはじっくり見たかったです!」

 

「進よ、それに妾の授けた滅龍魔法も使わぬとはどう言うつもりじゃ? 手抜きも甚だしいぞ?」

 

「て言うか、二人とも普通なら死にかねない魔法や技ばかりでしたよね? もう少し穏便にしとくべきでは?」

 

 あぁ! うるせぇ!

 

 こいつら他人事だったからか、好き勝手言いやがる!

 

「やかましい! とっと出るぞ!」

 

 文句を受け付けてたら切りがない。

 

 俺は三人に対して踵を返すと、無視して演習場を後にした。

 

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