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取り調べ


 エバンスに戻った俺達はさっそく取り調べに参加させてもらった。

 

「他の隊はいないのか?」

 

「部下の到着は二日後だ。私とあと一人他のダンジョンの下見をしているが、待つ必要はない。取り調べを先に行おう」

 

 親衛隊は二部隊あり、実戦強化訓練は順番に行うそうだ。

 

 今回はヒルダの部隊で隊員の能力に合わせてダンジョンで訓練をするため、下見に先行していたらしい。

 

 まさか、そこで転生者を見つけたのは偶然だったそうだが。

 

 取り巻き二人がいるのは、犯罪者用の地下牢だった。

 

 罪状は犯罪未遂、国家反逆罪。

 

 親衛隊隊長を襲ったのだから、そうなるよな。

 

「さて、君達には国家反逆罪がかけられている。身元を明かした私を消そうとしたのだからな。だが、話次第で減刑もある。なので、素直に話すことをおすすめする」

 

 ヒルダはカツンカツン、とブーツを鳴らしながらゆっくりと布に水を染み込ますようにジワジワと立場を教えていた。

 

 捲し立てられるより威圧感がある。

 

「わ、私達はただギルドで誘われただけよ!」

 

「アカリの命令に従っただけで悪くないわよ!」

 

 死んでいるからか、あっさり切り捨てたな。

 

 まぁ、あいつがリーダーだから命令されてって言い訳は使えなくもないが、援護魔法かけといて『私は無罪です!』は通じないだろう。

 

「つまり、戦闘は君達の本心ではない、強制された行為だと言うことだな」

 

 ヒルダの言葉に二人は首を激しく縦に振っていた。

 

「ふむ……。では、それが本当か試させてもらおう。心配せずとも、痛みはないさ。少し、魔法を使うだけだ。なに、君達はリラックスしてればいい」

 

 逆に不安を煽る言い方だな。

 

 ヒルダの嗜虐的な笑顔のせいで余計に何をされるのか恐怖を感じる。

 

「フュンフテンプテーションズ」

 

 甘ったるい匂いが放たれると同時に薄い靄が取り巻きの二人を捉えて、そのまま包み込んでいた。

 

 名前からして魅了とか誘惑とか精神系の魔法だよな?

 

「さて、では君達は私との戦闘をアカリに強制されたのかな?」

 

「いえ、私達は口封じするつもりで全力で戦闘しました」

 

「アカリの正体については秘密にするように彼から言われておりました」

 

 虚ろな表情になった取り巻きは訊ねられた事にペラペラと話し出した。

 

 すごい魔法だな。

 

 嘘発見器も尋問官もいらないし、自白で全部わかるなら検察官も弁護士もいらなくなるぞ。

 

 俺達の世界でも精神読者とか検察や捜査官で採用されてるけど、当然非能力者からの反対が未だにあるんだよな。

 

 取り巻き二人によると、アカリが異世界人までは知らなかったが、自分の正体を探る者や不都合な人物を今までも消していたらしい。

 

 同じ冒険者や貴族などにもアカリと似た雰囲気の者は勿論、国からの調査団などもだ。

 

 他にも転生者がいたのかよ。

 

 だが、あの程度の連中が消してこれたなら、使徒ほどの力は与えられてないんじゃないのか?

 

 いや、ユーリもジャバウォックに利用された形だし、転生者は捨て駒?

 

 転生者は使徒みたいな目的はなくて、好き放題異世界の知識で無双させたりして世界を混乱させるのが目的か。

 

 まぁ、ハーレム願望や主人公妄想の奴等が溢れれば互いに対立するよな。

 

 しかも、特殊な能力持ちやチート知識持ちが。

 

 そりゃ、世界は混乱するよ。

 

 一般人よりも強くて、知識も遥かに進んだ世界のものなんだから。

 

 幸い、ヒルダ達や転生者同士が互いに消し合ってくれて被害は、ユーリが復活させたジャバウォックくらいしか出てないが。

 

 ユーリも思えば俺を消しに来たし、転生者を消してたかもな。

 

「終わったぞ。大した情報ではなかったな。まぁ、行方不明の連中の原因がわかったのは大きかったが」

 

 取り巻きから話を聞き終えたヒルダが魔法を解除して隣の部屋で話を聴いていた俺達の部屋へやってくる。

 

 

 

 

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