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国境


 アデルは新しい研究対象に興味津々と言った感じで竜車の後ろでは質問攻めにあうティアが座っていた。

 

 美海も質問に混ざったり理解しあうには調度いいだろう。

 

 蝗害が発生して人も魔物も襲われたか逃げたのかあれだけいた盗賊もぱったりと見かけなくなった。

 

 死んでいったバッタが大量に転がっているかとも思ったが、どうやらクタの魔法で消滅したっぽい。

 

 空を埋め尽くす数が死んでたら地面全部がバッタの死骸で埋まってたな。

 

 さすがにそんな所通りたくない。

 

 精神的に参ってしまうだろうし。

 

 そのまま竜車での旅は至って普通に進んでいき――。

 

「あ! あの関所が共和国と王国との国境です」

 

 帆から顔を出していたアデルが左右に伸びる煉瓦の壁を眺めながら教えてくれた。

 

「でかいな! 城壁かよ」

 

 高さ五メートル近い巨大な煉瓦の壁が蛇のように伸びているのだ。

 

 江戸時代の関所とかなら簡易的な木の柵とかだし、今でもフェンスとか程度なのだが、さすが異世界。規模が違う。

 

 あれじゃ、普通の人間なら密入国も大変だ。

 

「一応、王国と共和国は仲があまり良くないですからね。互いに国境付近の防衛にはお金がかかってるんですよ。昔はこの付近で国境線を取り合って小競り合いも多かったですし、柵とか程度なら火の魔法で一発で破壊されるので、自然と魔法を防げるほどの巨大さと強固さが必要になったんです」

 

 このメンバーで一番この世界に詳しいアデルが説明してくれる。

 

「んじゃ、共和国も城壁を?」

 

「いえ、共和国は障壁ですね」

 

 アデルが空を指差すと、半透明な帯が細長く国境に沿って延びていた。

 

「戦争の時は集団儀式魔法であそこに浮遊させた術式が障壁を展開するようになっていたそうですよ?」

 

 定期的に魔力を補充して術式を展開するようにしてるが、ここ数十年戦争がないため、魔力の無駄と陰口を叩く輩もいるそうだが――。

 

 まぁ、城壁だってメンテがいるからどっちが優秀かはわからんが。

 

「あれを見るだけで異世界感ありますよね」

 

「まったくだ。地球なら……まぁ、城壁はありえるが、あんなもんまずないからな」

 

 異能力でのバリアだって精々自分の周りを囲むので限界らしいから、城壁に匹敵するほど巨大なものを造れる方法は発見されてない。

 

 バリアをはる権能でもあれば話は別だが――。

 

 んなものはない!

 

 そもそも神話にバリアなんてSFな概念はないからなっ!

 

 レティシアに渡してもらった書類を見せたら一発で通してもらえた。

 

 さすが国家権力。

 

 見張りの兵士達に握手をねだられたり、サインをねだられたりしたが、それだけで荷物のチェックもなしに国境を越えられた。

 

 勇者様々だな。

 

 こっからは亜人の国か――。

 

 さて、どんな国が広がっているのやら……。

 

 

 

 

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