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旅道中4


 旅路の途中にその凶暴化した野菜畑があるので、俺達は竜車を走らせてそこへ向かっていた。

 

 別に迂回路もたくさんあったのだが、レティシアも忙しいし、人手不足で騎士が派遣されるのがいつになるかわからないと村人が嘆いていたから仕方なく見に行くことにしたのだ。

 

 解決してくれれば報償金を出すと言われたのもあったけど――。

 

 一応、勇者だし。

 

「地図だともうすぐですね」

 

「てか、どうみてもあれだろ?」

 

 俺は進行方向に聳えるバカでかい蔦の塊を眺めていた。

 

 濃緑色の蔦は互いに絡み合いちょっとした小山になっている、さらに蔦の所々に紫色や花や黄色い花が見えた。

 

 あれってナスとキュウリの花だっけ?

 

 細長い刀ほどもあるキュウリが実ってるし。

 

 花は花で子供の身長ほどある巨大花だ。

 

 あれだけの巨大な野菜をどうやって育てたんだ?

 

 どんだけ養分がいるんだよ、と思うのだが。

 

 ギシャァァァァァァ!

 

 ぼんやりと考えていたが、養分の疑問はすぐに答えが出た。

 

 魔物が蛇のようにうねる蔦に絡みとられてそのまま奥へと引きずりこまれて行ったからだ。

 

 あと、空にいた鳥形の魔物が車輪ほどもあるトマトを食べようとした瞬間、逆にトマトが横に割れて鳥形の魔物を食べてたし、根本は硬いカボチャが集まって魔物が勝手に奥へと行かないようにバリケードを構築している。

 

 さらに実ったキュウリが弾丸みたいに発射され、蔦に噛みついていた野犬の魔物の身体を叩く。

 

 頭を射たれて昏倒した魔物は蔦がズルズルと奥へと引きずって行った。

 

 ……野菜の軍隊かよ。

 

 見れば、蔦の絡み付いた根っこに絶命した魔物が磔になっている。

 

 身体の半分くらいが同化しており、取り込まれてる。

 

 他の生物を栄養にしてるのか。気持ち悪いな。

 

 どうやら、花から溢れる甘ったるい香りが魔物や動物を誘ってるらしい。

 

 逆の食物連鎖だな。

 

 自然界なら別に普通だが、こうデカいと不気味に思えてしまう。

 

 なんちゅー危ない野菜だ。

 

 あれじゃ、食虫植物じゃねぇか。

 

 いや、食獣植物だな。

 

 しかも、野菜だけでなく果物の実らせてるのか、甘い匂いに魔物が寄せられていて、迂闊に近づけない。

 

 下手に近づけば野菜と魔物の両方に襲われるからだ。

 

 普通の冒険者なら時間がかかりそうだ。

 

 地面からは必要以上に養分が吸われていないのが救いだな。

 

 もし、吸われていたからこの辺一帯が荒れ地になってただろう。

 

 あと、勝手に跳ね回ってるキャベツが邪魔だ。

 

 にしても、まじでどうなってんだ?

 

 この野菜達は?

 

 なんとなくステータス魔法で側で跳ねていたキャベツを見てみると――。

 

 ハネキャベツ

 レベル3

 

 キラートマト

 レベル7

 

 バレットキュウリ

 レベル7

 

 なんか示されたんだけど!?

 

 これ魔物扱いでいいのかよ。

 

「あれどうやって倒します?」

 

「焼き払うのが早いけど、それをしたらこの辺の食糧難は進むよな」

 

 魔物化する前はあの野菜畑の野菜でしばらく食糧難にならなかったって言っていた。

 

 できれば、魔物化を抑えて巨大な野菜が普通に実るようにさせたいが――。

 

「これを作った錬金術師を探してみるか」

 

「そうですね。私達なら突っ込んでもレベル差でごり押しできるんですが、それであれを元に戻せるかわかりませんし」

 

「んじゃ、この近辺の村で錬金術師を探してみるか」

 

「賛成ですね」

 

 俺と美海は魔物化してる野菜畑を避けて他の村へ行く道へルートを変更した。

 

 

 

 

 

 

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