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旅道中2


「本来なら歓迎の宴を開きたいのですが……」

 

「いや、急ぎだから遠慮しとく」

 

「私も構いません」

 

 美海も帝国での祝勝会での挨拶回りやらで疲れていたので、この手の宴が気づかれするのは経験済みなのだ。

 

 ご馳走は食べられるが、精神的にだるい、ってのが俺と美海の認識だった。

 

「では、せめて支援金だけでも」


「いえ、大丈夫です! 至急経ちますのでお構い無く!」

 

 ぶっちゃけ手持ちの金銭はあるし、一番被害の大きな王国に負担はかけられん。

 

 心苦しいし。

 

 その原因の多くが俺が関わってるだけに。

 

 俺と美海は足早に城から退散したのだった。

 

「お二方勇者様にせめて神のご加護を――」

 

(はぁ、また神条様には気を使われてしまいましたね)

 

 正直、財源が苦しい現状では宴会や支度金の支出は痛い。

 

 それに宴ともなると貴族を呼ばなければならないし、彼らも現在はとても忙しい。

 

 1日宴会を開けば、国の機能が1日停まる。

 

 それは平民にも大きな負担になりかねないのだ。

 

 それを見抜いて下さっていたのだろう。

 

 さすが、勇者様。

 

 心の中で感謝するレティシアだが、前者はまったく外れである。

 

 ◆

 

「のどかだなぁ」

 

「どこがですか?」

 

 王都で地竜を確保した俺と美海は馬車を調達して竜車を作って旅路に着いていた。

 

 竜車と言っても荷車に帆をつけた粗末なものだ。

 

 まぁ、最低限の雨風を凌げる安物である。

 

 それに旅と言っても未開の地を歩く訳じゃない。

 

 ちゃんと舗装された道を目的地まで竜車に乗ってのんびり進むだけだったのだが――。

 

 現在、その竜車は停まっていた。

 

 俺と美海の眼下には薄汚い格好の男が五人気絶している。

 

 切り傷、擦り傷、打撲に火傷などの怪我はあるが死んではない。

 

 手加減したからな。

 

「王都を出て1日もたたずにかよ。治安悪すぎだろ」

 

「盗賊が出てきてもまったく普通に反応してる進君も私も地球の感覚じゃなくなってきてますよね」

 

 道を塞ぐように出てきたご一行だが、俺と美海にとっては赤子の手を捻るくらい軽い。

 

 なんせ、100越えの俺達に対して、この盗賊のレベルは20もないのだから――。

 

 不意討ちされても傷ひとつ負わなかっただろうな。

 

「彼らどうするんですか?」

 

「次の村か街で自警団にでも引き渡す」

 

 ぶっちゃけ縛って放置してもいいが、魔物の餌になると困る。

 

 人肉の味を覚えた魔物はより人を襲う可能性が上がるらしいから。

 

「そ、そうですね。じゃ、連れて行きましょう」

 

「おう」

 

 俺はちょっと茂みから蔦をとってくると縄代わりに盗賊を縛りあげていく。

 

 さらに異能力で糸をつくり、首と手を縛った。

 

 細く頑丈なワイヤーなので下手に千切ろうとするとボトリである、と説明すると盗賊たちも顔を青くしてたな。

 

 ちなみ、もし魔法で逃げようたしたら美海が銃で射つ、と脅しといた。

 

 早打ちで現れた魔物を瞬殺して見せたら盗賊は完全に逃げる気を無くしていた。

 

 まぁ、レベル差も力差も埋めようがないからな。

 

 自分等の運を呪ってくれ。

 

 

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