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旅道中


「ここが王都ですか! 帝国と同じでファンタジーですねー。でも、かなりの範囲が建て直し中みたいですが……」

 

 そこは教えないぞ。

 

 まだジト目で睨まれるのがおちだからな。

 

「久々にきたなぁ、王国。ポータルがあるのはここまでだから後は足での移動だな」

 

 転移で俺と美海は帝国から王都へ来ていた。

 

 この魔法での移動日数は減らせるが、ここからは馬車か竜車での移動になるのだが――。

 

 魔道具での登録してないからな、共和国。

 

「お久しぶりです神条様。そちらの方は?」

 

「お初にお目にかかります。私は月島美海。彼と同じく世界救済の為に召喚された勇者の一人になります」

 

「まぁ! 勇者様であらせられましたか! これは失礼致しました。私はレティシア・ブルースフィアと申します。非力ながらこの国の女王をしております。どうかお見知りおきを」

 

 現在、俺と美海は城に来ていた。

 

 転移後にすぐ共和国に行きたいが、国境を跨がないとならないので、その手続きをして貰うために城に来ていた。

 

 一々役所に行って手続きしてれば時間がかかるが、女王の権力なら即許可証を出してもらえるからな。

 

 謁見も勇者の名前を出せば一発で会える。

 

 なので、協力してもらうべく来たのだが――。

 

「勇者様がお二人になれば世界救済も明るいですわね。はぁ……」

 

 …………お、重い。

 

 謁見したレティシアには目の下にクマがあり、見るからにやつれてる。

 

 頬も痩けてるし、髪の艶もくすんでる。

 

 どんだけハードなんだ。

 

 城を歩いてる時に見たが、お腹抑えてたし。

 

 胃に穴でも空いてるかも。

 

 いきなりの即位に、ジャバウォックの被害の再建、滅獣の被害で増えた魔物の討伐、村の復興、さらに名うての冒険者がファウストに暗殺されたため、王国内ではさらに戦力の低下が見られていた。

 

 しかも、滅竜教会の後始末もあるのか。

 

 これに共和国が不審な動きを見せているので、そちらの対応。普段の女王としての業務。

 

 しかも、業務ができる大臣や役人の内、熱心な滅竜教信者は根こそぎジャバウォックに殺されてるから、人材不足もあるんだっけ?

 

 いくら元女王が健在でも無理ゲーだろ。

 

 …………うん、過労死するわ。

 

 権力者が弱ってる姿を見せればつけ入れられかねないが、それを気にする余裕もないのだろうな。

 

 もはしは、側近も宮廷も権力争いする余裕もないかも……か。

 

 これで許可証発行してくれって言い辛いんだが。

 

「それで、神条様、月島様、本日はどのような用件でしょうか?」

 

「あー、実はな……」

 

 俺は帝国での経緯と滅獣に対抗すべく戦力強化のために共和国へ向かいたいことと、その許可証の発行をしてほしいことを告げた。

 

「な、成る程。それではすぐに発行すると致しましょう」

 

 レティシアは素早く羊皮紙に文章をしたため、国璽を押した。

 

「これがあれば神条様が国内で活動する全てに女王である私の許可が降りたことを証明するものになりますので、国境の関所も問題なく通れるでしょう」

 

 おぉ、そんなあっさり!

 

 こちらは助かるが、国内活動全てを自由にできるってそんな権限与えていいのかよ?

 

 と、思ったのが顔に出てるらしくレティシアは微笑み、

 

「王国で神条様の武勇を知らぬものはおりません。それに救国の英雄である神条様ならその程度の権限はあって問題ないかと」

 

 そんな信頼されても困るんですが……。

 

「あ、ありがとうございます」

 

 紙切れ一枚なんだが、そう思えないほど手にした書簡は重く感じられた。

 


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