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帰って来て3


「それより、マトがなんでこの世界に出てこれないんだよ?」

 

「ふむ。我輩が来ていても警戒もしないとは腐っても使徒だったのだが?」

 

 何気なく呟いたゲヘナの言葉に俺は眉をあげた。

 

 いや、警戒はしてるよ?

 

「使徒だった? もう違うのかよ?」

 

「フハハハハ! 煉獄が消えたことで我輩の契約も解除されている。なので、今はフリーの魔族なのである!」

 

 フリーって傭兵かよ……。

 

「か、変わった魔族ですね。見た目も中身も。魔大陸の魔族とは別っぽいですし……。それに進君の話も本当だったんですね」

 

 美海は唖然としてるが、こいつとまともに話してる疲れるのだ。

 

 てか、魔大陸でもこいつは変なのか。

 

 別種か突然変異とか?

 

「それより、マトについて話せよ」

 

 こいつが現れる時はいつもロクなことがない。

 

 なので、ほどほどで流すに限る。

 

「マトがこの世界に顕現できないのは先ほど言った様に存在許容量があまりに巨大だからだ」

 

「存在許容量?」

 

「存在許容量とは文字通り、世界が抱え込める存在の大きさのことだ」

 

 世界をシャボン玉一つとすれば、それよりも大きなマトはその世界には存在できない。

 

 だが、二つ分のシャボン玉なら?

 

 いや、もっと巨大なシャボン玉なら?

 

「マトが出現できるのは亀裂が世界の壁を広げ、次元融合が進んだ世界だけなのだ」

 

「つまり、まだこの世界はそれほど次元の壁が崩壊してないってことか? でも、あいつは世界の存在を消す側だろ? でかくするなら矛盾するくないか?」

 

「いや、マトが乗り込まねばならぬほど、その世界の存在が強ければそうするのだ。その仮定で、マトの尖兵である滅獣はその亀裂を広げるか、滅ぼす。滅ぼせなくても、マトが現れれるだけの土壌を作らさせるのが目的なのだ。滅獣が現れるだけで世界の境界は広がっていくのである」

 

 じゃ、滅獣が現れただけでもマトにとっては十分な成果ってことか?

 

 こっちに不利すぎだろ……。

 

「そして、崩壊させた世界は慈母へ還元されるってか?」

 

「フハハハハ!大正解だ! ずいぶん物分かりが言いではないか! 本当に不気味であるな!」

 

「誰が不気味だ! マトの出現できない理由以外は想定できたわ! ボケ!」

 

 最後の最後でこいつのペースに乗せられて突っ込んでしまった。

 

「重大情報をペラペラ話してくれますけど、信じられるんですか?」

 

「俺の仮説と合ってるし大丈夫じゃねえの?」

 

 こいつの話って前も当たってたし。

 

 ぶっちゃけ、未来視系の能力でもあるんじゃねぇのかと疑ってるくらいだ。

 

 まぁ、性格は微塵も信用できそうにないけど。

 

「んで、唐突に現れたが何の用なんだ?」

 

「ふむ。物分かりが良すぎてこちらが警戒してしまうのだが……」

 

 滅龍魔法くらわしたろか。

 

「出てきたのはお前だろうが。用件を言えよ」

 

「まぁ、それもそうだな。実はな――」

 

 窓から降りたゲヘナはまともな口調になり――。

 

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