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別世界3


 塔の中に入った俺とトキエは互いに目を見合わせた。

 

 円形の塔に入ったはずなのに、俺達の視界には直線の道が続いていたのだ。

 

 しかも、アスファルトや土ではない。

 

 絨毯の様な織物の道が地平の彼方まで続いているのだ。

 

 それがトンネル状に左右上下に色とりどりの糸で編まれて巨大な景色となっていた。

 

「この空間も歪んでいるのか?」

 

「塔はこの世界との入り口と言ったところだろう。この世界からあの獣どもが出てきたのかもしれん。見ろ」

 

 トキエが指差した先には一枚の巨大な絵画のような紋様があった。

 

 そこに描かれているのは巨大な鯨――モビーディックそっくりの獣が見えた。

 

 それと無数の人間が戦っている絵だ。

 

 他にも巨大な馬や獅子の怪物の絵もある。

 

 他には絨毯の様な織物には燃え盛る都市の絵や砕けた世界の絵など不吉な絵が足元には広がっていた。

 

 これは――。

 

「歴史――なのか?」

 

 滅獣と世界の戦いの歴史?

 

 辿っていくと、不吉な絵は消えて徐々に人々の営みや美しい自然の柄、さらに遡ると人以外の動植物が反映する世界。

 

 さらに動植物消えると、水辺の多い

景色が広がり、巨大生物や植物が広がり、今度はそれらが消えて苔むした世界が広がっていく。

 

 苔が消えると、溶岩状の赤とオレンジの柄と岩の風景が編まれた柄が広がり始めていった。

 

 時代を逆行しているのか。

 

「まるで世界の歴史を織物に下にみたいだな」

 

「確かにな。世界でも有名なカレーメルの戦争やララバイの噴火などの絵画そっくりな柄もあった。恐らくこの絨毯の様な織物はこの世界の歴史そのものを編んだのだろう」

 

 さらに遡ると長い首と四肢、翼の生えた存在――龍らしき生物の柄が見えてきた。

 

 それらが空や海に存在する景色がしばらく続きやがて一体の龍の柄で織物は終わって、黒い柄が広がっていく。

 

「これって…………」

 

「龍だ」

 

「この世界にも龍がいるのか?」

 

「いや……。いた、と言うべきだし、確認はされてない。神話の想像物と言われていたんだが――」

 

 この柄がこの星の歴史を編んだものなのだとしたら、これが全て事実なのなら、龍が実在したことになる。

 

 トキエとしては信じられないが、全生物の起源が龍と言うことになるだろう。

 

 何しろこの絨毯の様な織物の龍が消えた後に柄がないのだから。

  

(つまり、龍以前は生物が存在しなかったことになるのか……)

 

「ん? また他の柄があるぞ?」

 

「どうやら、こことは違う歴史ではないのか?」

 

 俺とトキエが見ているのは無数の巨大な歯車が回り、人ならざる機械人形――ゴーレムが働く世界で、ロボットなども描かれている。

 

 俺の世界よりも遥かに文明が進んだ世界の歴史の様だ。

 

 さらに進むと機械と人が戦う柄。

 

 人が敗北し、機械が人に成り代わって世界を支配する柄。

 

 そして、同じように滅獣が現れ、世界を脅かす柄。

 

 そして――――世界が滅んでいく柄。

 

 逆に見ていくと、人が機械と共生している柄。

 

 様々な形、用途の機械が開発され、文明が大きく発展していく柄。

 

 ただ、古くなればなるほど同じような柄が広がり、最後は龍が世界に溢れていた柄で終わるのだ。

 

「どの世界にも龍が存在していたのだな」

 

「俺達の世界の神話にも龍は多く出てくるから、もしかしたらいたのかもしれんな」

 

 日本神話、インド、ヨーロッパ、アステカ神話など様々な地域の神話で世界観に大きく関わっている。

 

 世界を背負う龍や世界樹を滅ぼさんとする龍、文明を与えた龍など様々だ。

 

 どの文化にも共通する存在。

 

 社長は龍は堕ちた女神だとか言っていた。

 

 創造神や地母神の末裔と言っても過言ではないからな。

 

 吸血鬼や悪魔、天使らしき世界もあるぞ。

 

 さらに歩いていくと今度は亜人らしき人々の柄や動物のみの世界の絵などもあった。

 

 さらに妖精やら、宇宙人らしき生物の世界の景色もある。

 

 一体どれだけの世界の歴史が広がっているのか――。

 

 

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