再会6
「いらっしゃいませ! うちはナイフからハルバートまで何でも揃ってますよ!」
俺達を元気な声で迎えた店員は頭に猫耳、お尻に尻尾がある猫の獣人だった。
「あれ? 勇者様じゃないですか! お久しぶりです!」
「ん? どっかであったっけ?」
「やですね、滅竜教会と戦ったじゃないですか!」
あぁ、あの戦争にいたのか。
ぶっちゃけ、グスターボや鬼徹、ギニアとシャールス達族長ぐらいしか名前は覚えてない。
あんまり他の亜人と話してないしな
手合わせした戦士は何人かいたけど名前も聞いてなかったし。
「なんでこんな遠方で働いてんだ?」
「ここの経営者が私の親戚なんですよ。森は焼けちゃって、新しく再建してる場所じゃ前ほどの人数は住めないからこうやって帝国で働いてる獣人も多いんですよ?」
地雷を踏んだ。
なにせ、その元凶は俺の権能なのだから耳が痛い。
「……申し訳ない」
「いえいえ、勇者様がいなかったらきっと今の半分も生きてられなかったと思います。感謝こそすれ、憎む獣人はいないですよ!」
「そう言われると救われるよ」
正直仕方ないとは言え、森の半分を消したから恨まれても仕方ないからな。誰もが仕方ないとわかっていても、感情は別ものなのが人間だから。
帝国、王国も支援を頼んだが、王国は自国の被害も深刻なので難しいのだ。
何せ、国王が死に、滅竜教会の信者には貴族も多いので、ピラミッドの上部が一気に崩れたのだ。
勿論、国教だったので、平民の信者も多いし、事件を起こした連中以外の多くもジャバウォクに命を吸われていたらしく、各方面で深刻な人不足になりつつあるそうだ、とレティシアが泣きそうな顔で悩んでたな。
新女王も大変だ。
俺も支援金は出したか、一朝一夕に復興できるはずもなく、亜人は他の地域に流れていったのは知ってたがこんな場所で会うとは思わなかった。
「進君…………何したんですか?」
「そんな犯罪者を見るような目で見るなよ。こっちに飛ばされて色々あったんだよ」
犯罪者にされたり、指名手配されたり、亡命したり、復活した世界征服を謳う龍を討伐したり――。
「わ、私も大変だったけど、前半は悲惨ですね」
やかましいわ。
美海の感想に俺がジト目になった。
「さ、それよりお二人とも武器を見に来てくださったんですよね! いっぱい買ってください! これも復興のために!」
そう言われると買わないわけにいかないぞ。
さりげなく高い魔剣とか買ってほしそうに陳列棚に目線をやってくる。
あの戦争で戦ってたの見たなら、俺が剣使わないの知ってるよな?
そんな高い魔剣はいらないよ?
実は恨みあったりしない?
まぁ、もともと買うつもりだからいいけどな。
俺と美海は店内に進み、武器や魔道具を物色していく。




