再会2
「で、なんで美海がここにいるんだよ?」
アンジェラと俺と美海の三人がテーブルに座っていた。
テーブルには湯気の立つ淹れたての紅茶とクッキーが置かれている。
驚かされた俺は仏頂面だ。
「私も進君と同じくこの世界に飛ばされたんですよ?いてもおかしくないでしょう?」
いや、おかしい。
この島に来ている冒険者はほとんどがギルドで活躍するCランク以上の冒険者だ。
美海が俺と同じように冒険者をしていたなら噂になってるだろう。
帝国と王国には俺と同じ召喚された勇者について調べてもらっていたんだぞ。
「まぁ、私が飛ばされたのはこの大陸ではなくて魔大陸だったんですけどね」
「成る程な。魔大陸から来たならあの強さも納得できる。……だが、よくここにこれたな?」
魔大陸と国交はない。
国交断絶状態なので、情報がないのも当然か。
魔族の住まう大陸から魔族の侵攻がないように守り続けてきた法国出身のアンジェラとしてはどうやって出てきたのか興味がある。
「普通に船ですよ?」
「あの海魔の海を抜けれるほどの大型船なら目立つはずだが――」
「いえ、実は海魔に船は沈められてしまって……。樽に入って、漂流してこの島に流れ着いたんです」
「どこの主人公だよ。運良すぎだし」
会ってない間に特異体質とか、カナヅチとかになってないだろうな。
「ハハハ!成る程な! 樽で漂流とは! さすがに漂流物の全ては我々でも感知できんな」
美海の言葉にアンジェラは豪快に笑っているが、今までで見つからなかったのは国交断絶した別の大陸にいたからってことか。
「でも、そんな無茶してなんでここまで来たんだ?」
「煉獄を追ってきたんですよ」
「煉獄……。あの自称魔皇か」
美海の言葉を俺は舌で転がした。
俺と美海がこの世界に召喚されたのはあいつの仕業だ。
だが、当の本人の足跡も辿れなかった。
あいつも魔大陸にいたのか。
「待て。魔皇と言ったな。君達はならば、アビスも知ってるのか?」
「アビスだと?」
また俺は眉をひそめることになった。
今度はアビスか……。
煉獄にアビス。
ここに来て、使徒が活発に動き出してる。
「情報を整理したい。美海、アンジェラ、それぞれの煉獄とアビスと何があったのか教えてくれ」
二人の話を整理しないと混乱しそうだしな。
「わかりました。まず私が魔大陸で知ったことから話しますね」
美海は紅茶を一口飲み、話を始める。




