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再会


 島に帰ってから負傷したアンジェラを訪ねるべく俺は街を歩いていた。

 

 異常発生個体のせいでレベル上げに行けなかった冒険者。他の島でレベル上げができたら冒険者それぞれがオープンスペースで酒盛りやら、カードゲームやらに興じている。

 

 屋台も出ているので、男女の冒険者が食べ歩きしながら仲睦まじく話したり、冒険者同士の喧騒が風に乗って聞こえていた。

 

 ベルベットとエレノアは異常個体の出なかった島で順調にレベル上げを終えて帰ってきてたし、ケーティアは『白の百合』のメンバーと飯でも行ったみたいでいなかった。

 

(しかし、レベル100を超えてるアンジェラが負傷したってのも不可解だな)

 

 多少の怪我ならポーションで治せただろう。

 

 それが使えないほど、もしくは回復不能の傷でも負ったことになるが、異常発生した魔物にそれほどのことができるとは思えなかったのだ。

 

 ましてや、この世界で神器勇者として戦ってきたアンジェラの戦闘経験は俺よりも遥かに上。

 

 そんなベテランが何故?

 

 アンジェラが向かうはずだった島の魔物は俺が掃討した魔物と強さも遜色なかったしな。

 

(話ができたらいいんだが…… )

 

 考えている間に商店街を抜け、俺はアンジェラの滞在している宿に着いた。

 

 『天使の翼亭』と大きく書かれた看板は鍍金が施されており、四階建ての巨大な宿でたぶん帝都の最高級宿にも負けない豪華さだ。

 

 中に入ると香木か香水か、いい匂いがした。

 

 それに中にいた客も商人が多く、冒険者も身なりのいい高ランクの冒険者だ。

 

「お客様、当宿にお泊まりでしょうか?」

 

 俺に気づいたボーイが足早にやってきて用件を訊ねてくるが、俺は首を横に振り、

 

「いや、滞在客に用事があってな」

 

 行きの船でアンジェラに滞在先は聞いていたので、部屋もわかる。

 

 てか、神器勇者が滞在してるってことで噂になってたからな。

 

 負傷したのも噂になっている。

 

 人の口に戸は立てられないから仕方ない。


「そうでしか。何かあれば、お気軽に我々に申し付け下さい」

 

 接客が行き届いているボーイはすぐに俺から離れると他の客の元へと向かっていった。

 

 

「アンジェラ! 俺だ! 神条進だ! 大丈夫か?」

 

「あぁ……なんとかな。入ってきてくれ」

 

 許可が出たので、俺は扉を開けて部屋へ入る。

 

 瞬間――。

 

「動くな」

 

 カチ。

 

 背後から押し当てられた固い感触に聞き慣れた音。

 

 これって…………。

 

 振り返りたい衝動に駆られるが、それをやったら撃たれるだろうな。

 

 声からしたら女――少女か?

 

 なので――。

 

「誰か知らんが、銃があるとはなっ!」

 

「!!」

 

 瞬間移動で俺は銃を押し当てていた

少女の頭上に移動し、さらに重力を発動してそのまま組伏せる。

 

「さて、どこのどい――――は?」

  

 床に組伏せた少女の顔を見た俺は思わず間抜けな声を漏らしてしまった。

 

 だって、まったく予想しようのない、そこにいるはずのない顔があったのだから――。

 

「動きは衰えてませんね。進君」

 

 『曙』の同僚である月島美海がそこにいたからだ。

 

 

 

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