キャスパ諸島2
「わかりました。次は気をつけてやってみます」
「敵の強さはやはりステータス魔法で見てるのですか?」
「それが確実ね。この島の魔物でステータス隠蔽とかできそうな魔物はいないと思うし。あとは慣れね。あなた達は初実戦みたいなものだから、ゆっくり慣れれば大丈夫よ」
冒険者として大先輩のケーティアは二人には親身にアドバイスしていた。
休憩してから島の中心に向けてレベリングを再開。
どうやら、中心部に行くにつれて魔物の出現率も上がるらしい。
まぁ、強さはあまり変わらんが、レベル40位のウガルムルも混じってるな。
時々大きなウガルムルが出てくるが、ケーティアが一太刀で仕留めていた。
ベルベットとエレノアは天才と言われるだけあって、もうペース配分について慣れてきている。
まだ無駄もあるが、当初よりも遥かに少ない魔力の消費で仕留めていた。
才能ってずるいな。
俺なんか魔法は全然使えないのに。
「レベリングも順調ですし、戦闘の経験も積めそうですから、依頼は問題なさそうですね」
「あぁ、そっちは問題ないけど、この島って昔は人がいたのか?」
中心部に歩いていくと明らかに岩を加工した遺跡っぽいものがあるのだ。
木々もあったのだろうが、潮風に長年さらされ朽ちている。
苔むした岩にはモアイ像っぽい人間の顔や柱らしきものもある。
明らかに人の手が加わっている。
「確かに調べると面白いかもしれませんね。歴史学者がいれば何かわかればもしれませんが」
「こちらには石碑がありますわよ? 古代言語でしょうかね? 読めませんが」
「劣化も激し上、所々欠けてますが」
遺跡を調べていたベルベットやエレノアが興味深いもの見つけてきた。
「これは……日本語だ」
「日本語? 異世界文字ですか?」
「あぁ、俺の故郷の言語だな」
かなり劣化してるが一部は読める。
次元より……獣……が……倒れし時……真なる……れん
うーむ、なんのこっちゃ。
次元よりの獣っての滅獣か?
この遺跡の時代から戦ってきたのか?
真なる……ってなんなんだ?
真なる平和?
真なる戦い?
真なる敵?
ダメだ。これだけだとまったく意味不明だ。
「興味深いがこれだけじゃまったくわからないな。他に何かないのかよ?」
「あっちに壁画らしきものはありましたよ?」
「案内してくれ」
今度はケーティアが見つけた壁画だ。
こちらも上半分が砕けてなくなっている。
下いるのは人間の絵と、その人間が見上げているのは、首が複数生えた竜らしき怪物、ライオンの頭を持つ怪物か……。あとは悪魔っぽいものもいる。
こいつらは人類の敵だったのか。
だが、上の絵がないとやっぱりわからんな。
「興味深いけどこれ以上は特に見つかりそうにないか……」
「そうですね。劣化しすぎていますし、やはり専門家の力がいるでしょう」
そうなると今の俺たちではお手上げだな。
俺達は遺跡のことは忘れ、再びレベリングに専念するのだった。




