レポート
「はぁ……終わった」
場所は変わって地方都市ガレス。その都市にある宿屋『木漏れ日』の一室。
そこで俺は今回の依頼の報告書を書いていた。
あっちの世界でも『曙』で報告書なども書いていたのでその経験が大いに役に立った。
普通の学生なら報告書なんて書かないからな。
ペリノアの森の半分以上が焼失し、さらに行方不明の冒険者は死亡が確認されたことと、滅獣クサリクの出現。魔人ショロトルと魔王の僕を名乗るリッチーであるファウストの存在。
後半は王国、帝国、共和国、報告の全ギルドに通達されるらしい。
まぁ、取り逃がしたから警戒するために情報の共有は必須だからな。
なので、詳細な情報が欲しいとのことで朝からせっせっと報告書を書いていたのだ。
パソコンが、ワープロが、欲しい。
このアナログ世界は手書きなので苦労する。
異世界文字は苦手なのだ。
「苦手なことから目を背けてはいけないよ。いい練習になるしね……おっと、ここ間違えてるよ」
報告書をマーリンにチェックしてもらいながら誤字を直す。
語学の勉強も兼ねているみたいで頭がいたい。英語ですら苦戦してるのに。
苦戦しながらもなんとかレポートを書き上げた俺は背もたれを思い切りもたれて背中を伸ばしていた。
「……うん。問題ないね。これなら十分だろう。お疲れ様」
「あぁ、疲れた。頭脳労働はあんまりしないからな」
どっちかと言えば肉体労働派だからな。
「じゃ、報告書を出してくるよ。進はどうするんだい?」
「俺もギルド行くわ。飯食べたいし」
気づけば夕方。
昼も食べずに報告書を書いていたので、お腹が減ったのだ。
夕食には早いが、昼と夜をまとめ食べればいいだろう。
なので、マーリンと俺は二人でギルドに向かうことにした。




