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アンジェラ3


「実に奇妙な魔法だな。狼の顔に鯨の尻尾、角獣の角……。獣の特徴を再現する魔法か? 幻術と言われたほうが信じられるんだが……」

 

「ゲヒヒ! 変幻自在不型こそが私の魔法です。とは言え、自由自在ならあなたも大概では?」

 

「私の神器の力だ。だが、それだけの魔法を見せられて、私の魔法も見せないのは卑怯と言えるかな?」

 

 払い除けられた槍は溶けるようになくなり、今度は穂先が三日月の様な刃物になった薙刀へ変化する。

 

「戦技・全技解放。アハトオーバーブースト」

 

 タイヤの空気が膨らんでいくように内側からアンジェラの身体に力が漲っていく。

 

 細身で華奢な筈なのに、彼女が纏う膨大な魔力のせいで、存在感が何倍にも感じる。

 

 巨大な魔物とでも対峙したかのような威圧感。

 

 あらゆる補助をかけたのだろう。

 

 槍の勇者はどちらかと言えば戦士職なので、魔法は不得手と聞いていたので、魔法の種類は多くないはずなのだが――。

 

 アンジェラが握っている槍が輝く槍へと変化していく。

 

 五つに別れた穂先とそこから枝のように雷に似た金色の装飾が杖へと伸び、槍そのものが光を帯びている。

 

 神々しさをもち、儀礼用のような美しさの槍だが、込められている魔力が尋常ではない。

 

 アンジェラはこちらへと槍を向け、

 

「神槍技・ブリュナーク!」

 

 恐るべき速度で虚空を突いた。

 

 ドッ!

 

 直後に放たれたのは光の砲撃。

 

 超巨大な口径から放たれたのはレーザーとも呼べる一撃は大地を抉り、瞬きすら許さずにアビスへと迫る。

 

 黒衣が即座に防御陣を描こうとしたが、レーザーはそれすら許さずに大地もろともアビスを呑み込んだ。

 

 ブリュナークの放った後に残されたの半月状に抉れた大地のみだ。

 

 その先にある砦の壁は円形の大穴が開いている。

 

「……逃がしたか。にしても、あの気配は人間とは思えんが……」

 

 手応えのなかったアンジェラは抉れた大地を見つめながら独りごちる。

 

「何事ですか!? アンジェラ様!」

 

「今の音は!?」

 

「まさか――魔物ですか!?」

 

 戦闘音で他の兵士も気づいたらしい。

 

 慌てた様子で武器をとった兵士達が兵舎から出てくる。

 

 ……やれやれ、説明しなければならないな。

 

 大技で抉れた大地と大穴を眺めながらため息をついたのだった。

 

 

 

 

 

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