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アンジェラ2


「黒獣」

 

 マントの一部が獣の頭に変化し、アンジェラの頭を噛み千切りに空を駆ける。

 

「面妖な魔法だな」

 

 アンジェラは避けることなく手にした槍をバトンの様に一回転させ、穂先でその頭をあっさりと切り飛ばした。

 

「だが、この程度で私の命をとれると?」

 

「やりますね。さすがは槍の勇者。その辺の冒険者とは格が違いますね」

 

「誉め言葉は素直に受け取っておこう!」

 

 槍の形態が細い投擲用の槍に瞬時に変化。流れる様な動作でそれを投げる。

 

 小石でも投げるように放たれた投擲槍は弾丸速度でアビスへと向かった。

 

「そんなものを受けたら刺さるどころか、手足が飛ばされそうですね」

 

 黒衣が赤黒いオーラを発すると、今度は糸が亀の甲羅を思わせる紋様へと変化した。

 

 バヂィィィィィィ。

 

 空間が軋むように火花を散らすが、貫けずに勢いを失った槍は虚しく地面に落ちる。

 

「ほぅ……攻撃、防御も変化可能。万能型か」

 

 アンジェラの手には投げたはずの槍が握られている。

 

「投擲したはずなのに、自動回収機能ですか?神器とは便利ですね」

 

「神器だからな。その辺の槍と一緒にされては困る」

 

 話しながらもアビスは足元から角状の逆刺を突きださせて攻撃するが、アンジェラはそれらを易々と切り払った。

 

「私を勇者と断定した上で殺しに来る輩は初めてだ。何が狙いだ?」

 

 他国への勧誘ならわかるが、世界存亡の危機に最大戦力である勇者を消そうとする輩がいるとは思わなかった。

 

「ゲヒヒ!話すわけはないでしょう?お母様に起こられてしまいます」

 

「お母様?」

 

 どこかの権力機関の差し金か?

 

 王国で最近即位したのは女性だが、彼女は若いし、世界の危機に対応すべく奴隷制を撤廃して亜人も戦力にしたり、亀裂に備え国力増強に力を入れている。

 

 帝国や共和国、それに法国とも融和政策をとっているし、暗殺をしてくるとは思えない。

 

 彼女自身が勇者に救われた経歴もある。

 

 なら、元女王か?

 

 それもない。

 

 滅竜教会の事件の時、彼女は法国に滞在していて、護衛で人となりは知っている。

 

(お母様……この単語だけではわからないな)

 

 捕らえて尋問すべきだ。

 

 アンジェラは槍を高速で回転させ、

アビスへ穂先を向けた。

 

「そのお母様について話してもらおうか」

 

「ゲヒヒ、私に勝てたら構いませんよ?」

 

「ほう……その大口の程、見せてもらおうか!」

 

 挑発的な軽口にアンジェラは眦と口角を猛禽のように鋭くして吠える。

 

「槍陣の舞」

 

 虚空から十本近く槍が現れ、矢でも放つようにアビスめがけて殺到する。

 

「鯨尾!」

 

 今度は袖が巨大な魚の尾びれを思わせる形状に変化し、飛んできた槍を打ち払った。

 


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