表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
消えかけの人々  作者: 蓮之都
二章 癒し手を求めて
18/22

次なる目的地

しばらく投稿できず、すみません。


ですが最後まで読んでいただけると助かります。

四人が洞穴から辿り着いたクリアリッド族が隠れ潜んでいた住みか。山の中にある蟻の巣のようなものだろうと思っていた。

しかし、そこには四人の想像を軽々と越えて、驚きを与える光景が広がっていた。


「驚ク事ハナイ。人間ガ産ミ出シタ物ハ我々ニハ便利ナ物バカリダ」


気が付くと四人の少し前に小柄の白髭を生やした老人がいた。


「いやぁ~これは産み出すレベルじゃねぇよ」


「異世界って言われた方がまだ納得できるよ」


ありとあらゆる機械が山の内部に存在していた。


機械を徹底的に活用した生活をしているクリアリッド族を眺めながら響が口を開いた。


「クリアリッド族って本当に小柄なんですね」


「コレハ仮ノ姿ダヨ。サァ降リルゾ」


クリアリッド族の老人に付いて行きリフトに全員で乗ると、周りから落下防止のセーフティが出て来てすぐに予想以上の速さで下へと降下し始めた。


「お、落ちるるぅぅぅぅぅ~ーー」


「ホッホッホッ恐ル事ハ何モナイゾ」


「何で余裕の表情何ですかーーーーー」


「馴れてるだけでしょう!!」


予想以上の速さで足が宙に浮いてしまい空中に放り出されそうだったが咄嗟に全員がセーフティに捕まり難を逃れた。


「おい、俺を掴むな」


「だって一番近くにいるんだもん!!」


「響!!照弥をちゃんと固定して」


「出来る限りの事はしてるよ。でも速すぎて安定しないんだよ」


「ホッホッホッ若イノハイイノウ。」


セーフティではなく雲にしがみつく華。照弥を片手でしっかりと掴みながらセーフティに片手で掴まっている響。それを不安がりながら見ている紅那の四人を老人は笑いながら眺めていた。

その直後、四人を追い詰める最悪のトラブルが起きてしまった。


『ピーッピーッピーッピーッ』


「おい、何か鳴ってないか?」


「ン?ドレドレ」


サイレンのような警告音らしき音に老人がコントロールパネルらしきものの近くに行き何があったのか確認した。


「アァァー、ナルホド」


「どうしたんですか」


「ウントネェ。摩擦熱ニヨル、オーバーヒートダネ」


「はぁ!?」


「大丈夫でしょ」


「ウン。安心シテ。スピード出過ギデ着地ノ衝撃二耐エラレナイダケダカラ」


四人は対処法があると老人が言ってくれるのを信じていたが。まさかの不安要素しかない言葉を聞いて恐怖のあまり絶句した。


「.........」


「ワシ用ノパラシュートガアルカラ大丈夫」


「ちょっと待って」


「ジャア。マタ後デネェ。シタデ待ッテルカラ」


パラシュートが内蔵されたリュックサックを背負った老人はリフトから飛び降りた。


「ふっざぁけんなぁーーー」


雲が叫びを楽しむように老人の笑い声が返ってきた。


「くっそ。華!!」


「何?」


「氷で落下の衝撃を抑えろ」


「無理だから」


「何でだよ!?」


「怖すぎて目を開けられないからだよ」


「はぁ!?」


雲が改めて華をよく見ると眼を瞑り涙がリフトが降下する勢いで小さな雫が宙に向かって舞い上がって行くのが見えた。


「泣くなよ!!」


「この状況で泣かない方がどうかしてるよー」


「ちゃんと落ちないように抑えておくから早くしろ」


「そう言って。絶対手離すでしょ!!この鬼畜!馬鹿!死んでしまえぇー」


「こんな時にそんな事したら後で紅那に殺されるわ。時間が無いから早くしろ」


「無理!!無理無理無理無理無理。絶対にむーりぃーーーー」


華の叫びが周囲に響渡った。その叫びを一番近くで聞いていた雲はセーフティを掴んでいた片手で華を腕を掴みだした。


「ふぇっ!ちょ、ちょっと待ってぇー」


雲はしがみついていた華を引き寄せて抱き寄せた。


「え、何!?何々!!待って。まだ心の準備が……」


「何の準備だよ。眼を開けて地面が見えた瞬間にリフトごと地面に向かって凍結させろ」


雲に下を見るように言われた華の表情が徐々に青ざめていく。


「おい。見えたか?」


「……よ……し、」


「は?」


「凍える空気よ、我、熱を従えし巫女なり。汝、我が言霊に呼応し、全てを凍らせ。不動の時と化せ!!」


華の詠唱を聞いた三人は自分達の耳を疑いお互いに顔を見合わせた。しかし、聞き間違えではないと確信して慌て始めた。


「おい馬鹿!!」


「華、それは不味いから」


「華!しっかりして」


華を止めようと必死に呼び掛けるが、華は無我夢中で皆の声が一切聞こえていなかった。


万象凍結ばんしょうとうけつ!!」


「薙ぎ払う、刃が纏う、焔を振るう。和道・月術!!」


「振るえ、響け、その音に従え。叫鳴響歌きょうめいきょうか


華の周りが急速に凍り出し始め、その氷を対処するために響と紅那はセーフティから手を離した。


紅那が刀身を伸ばして出てくる氷を瞬時に昇華させ。響がリフトの中心に移動して掌を床につけて振動を起こした。


しかし、全方位に氷が出現しだした。重力に従い落下する氷を対処するためか、華を抱えたまま雲がリフト空飛び降りた。


「この馬鹿野郎!!」


落下中に華を引き剥がし下へと放り投げた。


「万物を呑み込め暗影引物あんえいいんぶつ


雲の体から滲み出した黒い影が急速降下中のリフトよりも高い位置に蓋をするような状態に広がった。


華によって出現した氷を黒い影にぶつかる時に沈むようにどこかへと姿を消した。


「響!!降りるよ」


「飛び降りかよ」


リフトに残っていた二人が雲と華を追うように飛び降りた。


影台かげだい


地面が見えるぐらいの高度に達した雲は、自分の影を台のように形を変えそのまま着地した。


「ヨクゴ無事デ……」


着地した雲の前にクリアリッド族の集団が現れた。


「なんとかな」


「ヒトツオ聞キシテモ。」


「なんだ?」


「コノ氷塊ハ一体?」


クリアリッド族の一人が指を差して球体状の氷について訊ねてきた。


「はぁぁー」


雲は溜め息混じりで氷を転がしながら移動させた。


「「くーーもーー」」


上空から呼び掛ける声を聞いて見上げると落下してくる響と紅那が丁度雲の移動させた氷塊の真上から落ちてきていた。


紅那が咄嗟に刀を突き刺し氷を溶かし、完全に溶け終わる前に照弥を抱えたまま氷の上に着地した。


氷塊の上から二人は降りてから氷塊の中からぐったりと意識を失った華が出てきた。


「怪我ハ、アリマセンカナ」


「問題ない。しかし、一人だけ山頂で重症を負って意識が戻っていない」


「ナント!?ソレハイカン。オイ誰カ、負傷者ヲ医務室ヘ連レテイケ」


「響。照弥を運んでやってくれないか」


「わかった」


「コチラデス」


小柄の若い集団に照弥を連れて響が付いて行った。


「ついでに華も行ってこい……って……ダウンしてるな」


「私が連れていくわ」


「頼んだ」


紅那が華を抱え込み響達の後を追った。その場に残ったクリアリッド族の男と雲は二人で話始めた。


「さてと、単刀直入に訊こう。何故俺達を入れるのを許可した。疑いがすぐに晴れるとは思わない」


miracleミラクル。ソウ名ノル男ガ貴殿方ガ訪レタ後ニヤッテ来タ」


「そういうことか」


「シカシ、先程ノ負傷者。アノママデハ、イズレ死ヌゾ」


「わかっている。miracleミラクルからの伝言は預かってないのか?」


「癒シ人ガイル場所ヲ見ツケタ。ソウ伝エテクレト」


miracleミラクルからの伝言を聞いた雲は漸くかと口ずさんだ。


「その場所は?」


「ネルメーツェ教会跡地ト言ッテイタ」


「となると、ここから南下して港町に行かなきゃいけない訳か」


「ソノ必要ハナイ」


クリアリッド族の男の言葉に疑問を感じた。ネルメーツェ教会跡地は東にある隣の大陸に存在するのだが、港町に行く必要がないという言葉に雲は一つの答えに辿り着いた。


「まさかとは思うが」


「ソノ通リダ。貴殿方ノ仲間ノ怪我ハ癒シ人ノ秘力デシカ完治シナイト見ルベキダ」


「次の目的地が決まった。俺達が戻って来るまで照弥を頼む」


「任セテオケ」


最後まで読んで頂きありがとうごさいます。


誤字脱字があるかもしれません。


よろしければ感想、ブックマーク、レビューをお願いします。


評価の方もお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ