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消えかけの人々  作者: 蓮之都
一章 死線を越えて
16/22

諸刃の体

今回で15話以外と長かったです。


今回も最後まで読んで頂けると光栄です。

雲と別れた四人は西側山道へとたどり着いていた。


「山道に行けって言われたけど。一体何処に向かえば…」


「山道?あ、それなら凄く分かりにくい所に洞穴があるよ。10人ぐらい余裕で入れる所が!!」


華は登山時に見つけた洞穴の事を思い出し、響に雲が向かえと言っていた場所はそこの事ではと伝えた。


「そこに行こう!!」


「華、さっきの炎で照弥の傷口を覆っていた氷は溶けなかったの?」


洞穴に向かっている途中に紅那が、先の戦闘で気掛かりになっていた事を訊ねた。


「大丈夫だよ。溶けないように冷気を当て続けたから。それに私達が上手く動けないのわかってて護りながら戦ってくれたんだし、何も心配しないで」


「いや、まだ全員揃ってないのに死なれたら困るもの。それに私一人の力じゃ彼女には勝てなかったから」


自分の無力さを重い知らされた。紅那にとって、そう実感するいい機会だった。


「それを言うなら私だってそうだよ。雲が残る羽目になったのは私が原因でもあるんだし」


「無事だと良いけどね」


「無事だろ。雲が死ぬなんて俺には考えられないよ。戻ってきたら皆で説教してやればいい」


二人の会話に不安を抱きそうになった響が前向きな言葉を選んだ。そのお陰で暗くなりかけていた二人の表情が再び明るくなった。


「そうね。華を泣かせることはなかったとしても、こんな暗い顔にさせた罰は受けるべきだもの」


「暗い顔になんてなってないよ。それにあんな馬鹿を心配してる方が辛いよ」


「馬鹿で悪かったな」


「「「!?」」」


その場にはいないだろうと思われていた人物が、突然会話に混ざってきたことにより全員が驚いた。


「無事…だったんだ」


「安心しろ。今後お前とは行動を共にしないから、俺を心配することはなくなるからな喜べ」


「えっ!?、それって…」


疑問を残す言葉を雲が放った為、先程とは違う意味で華は不安になってしまった。


「雲、丁度良かった。洞穴ってどこ?」


「もうすぐ見えてくる筈だ。岩裏に隠れているから判りずらいぞ」


雲から洞穴の位置を訊いた後、雲が響に近付いて「それともう一つ」と言葉を続けた。


「お前の耳のよさと音の秘力を理解した上で協力してほしい。クリアリッド族がその洞穴の最奥部で密かに暮らしたいる」



十数分後


「あったよ。ここ」


逸早く洞穴の場所を見つけた華が皆を読んだ。中に入って行くと夜で暗いと言うこともあり洞穴の中は全く何も見えない状態だった。


「響照弥を下ろして」


「この怪我は酷いな。どうしてこんなになるまで戦ったんだ?」


響が下ろした照弥の状態を視認した雲に対して「この暗闇の中でよく見る事ができるな」と一同が同意見を述べた。


「クラリフォールの一件はガンリューが行った事でしょ。どうしても勝ちたかったみたい」


「それにしても無理しすぎよ。命が惜しくないのかしら」


「でもさ、お陰で秘力が覚醒したんだし良かったよね」


「そういえば、二人に聞いてなかったけど一体どんな能力だったんだ」


能力を使った照弥を見ていた響と華に雲が訊ねたが、二人はとてつもなく言いにくそうな顔をしていた。暗闇の中でもハッキリと見えている雲はその表情を見て無性にイラッときた。


「何か言えよ」


一言も発しない二人に雲は問い詰めるが二人は雲の方とは逆の方向に顔を向けて息を揃えて口を開いた。


「「何でもないです」」


「でも、能力の反動があってこの状態でしょ。頑丈だとは思うけど、一度ちゃんとした使い方を教わった方が良いかもしれないわよ」


紅那の言葉を聞いて響と華は、照弥の最後の一撃を思い出していた。


「最後の一撃…照弥の意識は殴る前には既になかった」


「だとすると本人は最後に殴ったことすら覚えてないかも知れないな」


「モロハノカラダ、ダナ」


突然洞穴の奥から声が聞こえた。雲以外の三人は聞いたことのない声に不気味がった。


「忘れてた。クリアリッド《お前たち》族がいたな」


「カマワンヨ、我々ハ、謝罪ニ、来タノダ」


雲はクリアリッド族の言葉に耳を疑った。先刻まで雲達をヒモトの生き残りではないと言っていたのに、今は謝罪すると言い出したからだ。

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