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消えかけの人々  作者: 蓮之都
一章 死線を越えて
11/22

無の使徒襲来

皆さん遂に10話です

読んで頂ければ有り難いことこの上ありません。



────時は少し遡り雲が騒動を聞き防壁省を出る少し前のこと────


雲が防壁省リンリア支部の支部長室から退室しようとして扉に近付いた時だった。扉を開く前に建物内を走る足音が聞こえた。その音は徐々に支部長室に近付いて来た。雲がそれに気付き数歩後ろに下がった。すると直ぐに扉は勢いよく開かれた。


「騒がしいぞ、もっと静かに入って来れんのか」


室内にいた支部長が突然入ってきた兵士に注意を促したが兵士はかなり慌てていた様だった。


「すみません。しかし支部長大変です。現在封鎖中の南門付近で神魔教団の制裁部隊が待機しています」


「神魔教団が!?何故こんな所に!?」


「それがどうやらクラリフォールで起こった出来事を深く知っているガンリュー殿に事情を伺いたいそうです」


「!?」


ガンリューと交戦した雲は彼の名前を聞いて部屋を直ぐに出るのを後にした。それも雲によって体中を貫かれたので生きている可能性がかなり低かった。あんな体でよく生きていたものだと雲は思った。


「ガンリュー殿はクラリフォールで重症を負った後ここで療養中だぞ」


「ガンリュー殿には防壁省の六武将として神魔教団殲滅部隊のブレッグリア隊長に並ぶ実力者なので簡単に亡くなっては困るとの伝言が....」


「殲滅部隊が来ているのか!!!」


「は、それだけではなくなんと教団最強の戦闘衆人『無の使徒』の一人が同行している模様です」


「仕方がない南門を開門しろ、ガンリュー殿には私が連絡を入れる。元々我々防壁省は人喰種から民を守るのが仕事だ。ヒモトの人間には教団の人間が適任だろう」


(情報提供ありがとう)


二人の話が終わるのを見計らい雲はゆっくりと開放された扉から外に出た。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「と言うことだ」


雲が手に入れた情報を全員に伝え、響がのほほんとしながらも口を開いた。


「あっちゃ~ピンチじゃん」


自分達は今尚、鳥籠の中の鳥のように自由に動くことは出来ない。それを理解した上で今まで以上に真剣な眼差しで紅那が口を開く。


「間違いなくこの街での戦闘は免れないということね」


「街の民を護るために存在する防壁省だ。無論民が捲き込まれると判ればそいつらとの戦闘にもなる」


三人が話をしていると照弥がゆっくりと手を挙げた。それを見て雲は「どうした」と訊ねるた。


「申し訳ないんだけど。話について行けてない」


「あぁそっか!!照弥は殆ど何も知らなかったな」


照弥は神魔教団や防壁省の実力者の名前を知っているだけで、実力や抗神者である皆との関係がよく解っていなかった。


響が照弥に二つの組織についてどれ程の知識があるのか質問をした。


「神魔教団と防壁省はどういうものか知ってるかい」


「防壁省は人喰種から民を護るために存在する組織。神魔教団は人喰種を使って国家制服を目論む人達が現れないように危険因子の芽を摘む組織」


照弥の解答に紅那はクスクスと笑い彼のその答えに指摘した。


「それは表の顔ね。少しだけ間違ってるわ。私達が注意をすべき相手は神魔教団の方よ」


雲が照弥に神魔教団について話し出した。


「神魔教団ってのは、神から授かりし力をもって民を護り、人喰種にとって悪魔の如く強者であり続ける。とかなんとか言ってるけど、その実態は悪魔の奴隷だ。悪魔の力を授かりその力を実在する動物に強制的に与えた。その結果の末に生まれたのが人喰種だ。」


雲の言葉に耳を疑った、そうしなければ照弥が今まで見てきたものは明らかに矛盾しているからだ。二つの組織が協力して民を護っているのに、その原因を産み出しているのは他ならない神魔教団だと知ってしまった。

勿論、最初は冗談だと思っていた。しかし、雲が照弥に対してヒモトの人間だということを知ってから、彼は一切嘘なんてついてこなかった。


「その事を知った上で防壁省の奴等も協力してるのか」


「防壁省って言っても上にいるのは神魔教団の関係者らしいからね」


「さっき言ってた『無の使徒』っていうのは何?」


「解りやすくいうと抗神者オレたちの天敵』


「どう...いう...こと」


照弥は秘力という特殊な力を持つ彼等にとって天敵という存在がいることに驚いた。


「私達秘力を使うように、相手にも特殊な力を持つ者が存在するの」


話が一段落したことで雲が現状をどうやって打破するか話始めた。


「さてと、取り敢えずこの街からどうやって出るかだな」


「ねぇ雲、そのガンリューって奴はもしかして...」


「あぁ六武将のガンリューは俺がクラリフォールで戦った奴で間違いないな。重症を負わせたとはいえ実力は本物だ簡単にどうこうできる相手じゃない」


「その上で殲滅部隊。しかも『剣狼けんろう ブレッグリア』か~」


「何処にも出口がないような物だよね」


「華、ちょっとこっち来い」


華の声を聞いて雲は彼女の方を向き、手招きして呼び寄せた。


「何?」


華が近寄ると彼女の額に手を当てて雲は「寝ろ」と言い出した。

雲の言葉を聞くように直ぐに華は眠り始めた。


「ZzzzZzzzZzzz」


「なんで眠らせた~ーー!!!」


華が眠りそれを見た照弥が大声で雲に向かって叫んだ。

3人はそれを無視して打開策を考えていた。


「外壁の上は確実に兵士がいるでしょうね」


「抜け道があれば楽なんだが」


「スルーかよ!!!」


「うるせさいよ!直ぐに起きるから放っときな」


騒がしい照弥に響が兵士に見つかる可能性を含んだ照弥の声にキレた。


~10分後~


「あのさ、雲の能力って日中だとあまり使えないんだよね」


照弥が何かに気付いたかのように雲の能力について訊ねた。

照弥の考えは判らないものの名案の可能性を考えて雲は答えた。


「正確には、日射しが出てる間は使い物にはならない」


「ってことは日が沈めば使えるってこと?」


「あぁ、そうだ」


「じゃあ、それでここから出よう」


3人が照弥を見て「何言ってんだ」と口を揃え言い放った。


「お前、逃走時に頭打ったか?」


雲は照弥の意味不明な発言にちょっとばかし心配になった。


「そうじゃなくて、さっき兵士に雲だけが視認されてなかったでしょ。あの時みたいに全員の姿を隠すのはどうかな?」


雲は照弥の言いたいことを理解した上で大きな溜息を吐いた。

それもそのはず、照弥は雲の能力を勘違いしていてそこ上でメリットしか考えていなかったからだ。


「あれは確かに視認されない技だがデメリットがある。そうだな、この人数なら思考の停止、煩悩の抹消、呼吸の停止、音を一切出さない移動をする事になる」


雲の能力を心底使えないと思ったのか、照弥の瞳には絶望的に光が無かった。しかし照弥の言葉を聞いて雲はあることに辿り着いた。


「東門なら開けられるかもしれない」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「この辺りです。怪しい子どもを見失ったのは」


兵士達が華、照弥と二人を助けた紅那が姿を消した周辺に再び集まり始めた。その中には傭兵のような服装でありながら、鎧を一切着けずに眼鏡を掛けたオールバックの男が腰に×の字に二本の剣を備えていた。


「ここ、ですか。このブレッグリア、旧友ガンリューの為に賊狩りが開始しよう」


「勝手に死んだような言い方すんな」


ブレッグリアの後ろから鎧を着けずに傷痕が残った上体を見せつけるかのように晒け出したガンリューがいた。


「鎧を着けずに戦うおつもりですか」


「あの日あの時、あの男との戦いは死地を乗り越えるような感覚だった。あの男は俺の獲物だ。邪魔すんな」


「まるで血に飢えた獣ですね。先ずは捜索からですよ」


「剣狼と呼ばれている奴に言われたかねぇよ。それに、その為にあの女を連れてきたんじゃねぇのかよ」


ガンリューの目線の先には、胸元と脚を晒け出した服装に茶色い髪を肩に乗るぐらいまで伸ばした蒼い瞳を持つ女性が建物を眺めながら歩いていた。


「彼女を嘗めない方がよろしいかと」


「無の使徒つったか?武器を持ってるようにも見えないんだが」


「武器を持たずとも実力は確かですよ」


暫くするとその女性は立ち止まり建物の壁に向き合った。


「どうやら、見つけた模様です。フェロニアさん間違いありませんか」


ブレッグリアが女性に声を掛けると顔を二人の方へ向けて頷いた。


「ねぇ、そこの兵士さんあなたの剣を貸してちょうだい」


フェロニアは兵士から剣を受け取り再び壁に向き合い、振り上げた剣を壁に向かって振り下ろした。

振り下ろされた剣の刃は壁に傷を付けると思われたが、剣の刃が通った壁はゆっくりと歪み始めた。剣で斬られた壁は徐々に霧のように消え人二人が余裕で入れるような道が現れた。


しかし、次の瞬間その道の先からに氷が現れて壁と道に氷を増やしながら刺々しく飛び出してきた。それに気付いたフェロニアは直ぐに後ろへと跳んだが、氷の勢いがフェロニアの速さを凌ぎフェロニアをあっという間に氷漬けにした。

無の使徒いきなり戦線離脱!!


誤字脱字がないように頑張って行きたいと思います。


感想やブックマーク、レビューを頂けるように頑張って行きたいと思います。


P.S. 元日に3話投稿すると言いましたが2話しか投稿できずに申し訳ありませんでした。

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