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消えかけの人々  作者: 蓮之都
一章 死線を越えて
10/22

リンリアの騒動

バーンと一桁台はここで終わりました。


友達に極端に短いと言われてしまったので2000文字越えを意識していきたいと思います。

紅那が慌てていた理由、それはクラリフォールでの出来事を防壁省の関係者がリンリアまで情報を持ってきたことによりTWINSツインズMIDNIGHTミッドナイトの手配書に雲の顔が掲載されていた。その上賞金も上がっていたらしくリンリアの人達が街の内部に該当者がいないか見回りをしているらしい。


「そんな遠回しに逃げろなんて言わなくてもいいだろ」


呑気な台詞を吐く雲にその場にいた四人が息を揃えて言った。


「「「「お前が言うな」」」」


皆の反応を楽しむようにケラケラと笑っている雲。それを見てこいつは自分の状況が理解できてるのか心配になった一同だった。


「おい!貴様ら!!そんなところで一体何をしている」


雲たちの方へと一人の兵士が松明を持ちながら走ってきた。

兵士の鎧には城に鎖を巻き付けた様なマークが刻まれていた。

それを見て雲を除いた四人が全く同じ事を思った。


((((終わった!))))


「君たち四人とも早く家に帰りなさい。親御さんも心配しているだろう。街の中は今凶悪犯が居ないか捜査中だ。まだ日は落ちていないからいますぐ帰りなさい」


兵士が雲を見て襲いかかる事を予想していた四人は唖然としていた。理由は他ならない兵士が言った言葉だ。「君たち四人・・とも」雲と華そして照弥にこの街で会った二人を入れて五人、しかし兵士が言ったのは間違いなく四人だった。

四人はゆっくりと雲の居る方向へ向き変えるとそこには雲が胡座をかいて座っていた。


「不可視聴・単体」


「そんなに慌てたって仕方ないだろう。もう既に起きてしまったことを変えることなんてできないんだから。焦ったってどうにでもなる訳じゃないだろう」


雲だけが五人の中で現状を理解した上で冷静だった。雲の言葉を聞いて、確かに焦っていて周りがよく見えていなかったと気付いた四人は、落ち着いて全員が一緒に行動するよりは各自でバラバラに行動した方がリスクは低くなると予想し、街の中で隠れることで兵士達から逃れる事にした。


リンリアの街には門が三つあり、それぞれ西門、東門、南門がある。その内雲達が街に入る前に目の当たりにしたのは西門。東門には防壁省の建物があり、その中を無断でしかも堂々と進入した人物が一人だけ存在した。


「やっぱり防壁省の建物は何処も一緒か。それにしても全然見つかんないなぁ。ここならこの街の地図位あると思ったんだけど」


建物内を物色する雲は手配書に載っているにも関わらず堂々としている。

そこがどこなのかもよく理解した上での行動だ。敵対している相手の懐に単独で潜り込んでいるようなものでしかない。


「おい、第4部隊が怪しい子どもを見掛けたらしいぞ。黒いマントで顔を隠していたそうだ」


「何!?くそ遅れをとるな手配書のガキかもしれんぞ」


近くで兵士の会話をしっかりと聞いていた雲は疲れたような溜息を吐いた。


(見つかるの早すぎるだろうーー)


───────同時刻 リンリア中央───────


十数人に追われている黒いマントで身を隠した照弥と白いカーディガンで身を包んでいる華が全力で逃走していた。


「隠れる事ぐらいは出来ると思ってたのに-」


「やっぱり最後の猫の物真似は必要なかったかな」


「猫の声真似ならまだ良いけど。その後のわざとゴミを漁って物音出す必要は無かったよね!?」


後ろから来る兵士たちとは別に、前方の道が交差したところから数人に兵士が真っ直ぐ向かって来た。前方と後方から挟み撃ちだったそれに気付いた二人は一度立ち止まり脇道に逃走を再会した。


「「行ったぞー取り逃がすな」」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


建物の屋根から兵士に追われている二人を眺めてケラケラと笑っている響、そして反対側の屋根に横になっている紅那が空を見上げながら「一体何やってるんだか」と呟いていた。


「あ~あ、本当華は雲が近くにいないと駄目だなぁ」


「助けてあげれば、兵士の道を遮るぐらいには協力してあげるけど」


「面白そうだからもう少し放置しておく、そういえばバラバラに行動するんじゃなかったっけ?」


二人が何故か一緒にいることを不思議に思う響だったが「大体の予想はつくでしょ」と当然のように紅那は言い出した。


「周りの建物が見た目一緒なんだから氷結鏡壁

使えば終わると思うんだけど。そして照弥もなんか使えば良いと思う」


「無理よ、華がさっき言ってた照弥は秘力が使えるか解らないらしいわ」


マジかよと言いたげな顔で響は固まる。その後直ぐに紅那が起き上がって「手助けしてくる」と言って黒いマントを纏いフードで顔を隠した。


「響、援護御願いね」


「了解」


響の返事を聞いて紅那は屋根から飛び降りた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


(あいつら、よくこう問題を起こしてくれるな本当。いい加減にしてくれ)


雲は兵士の多い場所へと移動しながら目の前にいる兵士に手で触れた。


「心中の声を聞き身を委ねろ 眠れ 」


雲に触られている兵士はゆっくりと倒れた。瞼は閉じたまま呼吸をしている。ぐっすりと寝ているようだ


「お、おい!どうした急に、起きろ立て」


近くにいた他の兵士が倒れた兵士に近寄り肩を揺らして具合を聞きはじめた。それを見て雲はついでにこの人も眠らせようと先ほどと同じく手で触れた。


「おい、返事しろよ寝てんのか?起きろよ!おーい!!はや...く...zzzzz」


「起きたら面倒だから起こすなよ。あと起きんなよ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「何処に行った!絶対街の中にいるはずだ。探し出せ」


兵士達が街を走り去って行った道の裏路地で二人を助けた紅那がいた。


「いやー助かったよ紅那!!」


「あ、ありがとう」


「秘力使えばすぐ済むでしょうが」


「いやー山登りで使い過ぎてヘトヘトなんだよごめんね」


二人が呼吸を整えてから照弥の方を向き紅那は改めて本当に秘力が使えないのか訊ねた。


「本当に秘力が使えないの?使い方が解らないとかじゃなくて?」


「秘力って言うのが自分にも存在してるのかが解らないんだよ」


「『秘力の条件其の2:人々の上に立つ素質を持っていること』これはクリアしてるから可能性はあるんだけどね」


「おい、お前らは問題を起こさないと気がすまないのか」


三人のいる裏路地に少し窶れた雲とニコニコとしている響が現れた。


「二人とも無事でよかったね。紅那お疲れ様」


「響、サポートありがと」


「いえいえ、どういたしまして」


紅那は雲が戻って来たことで収穫はあったのか訊ねた。


「雲、良い情報はあったの?」


気まずそうにゆっくりと雲は口を開いた。


「まず第一に、この街には街の中の地図という物が存在しない」


「まぁでしょうね」

「まぁだろうね」


一足先にこの街に滞在していた二人が口を揃えて言った。しかし、そんな街があって良いのかと他の三人は頭を悩ませた。


「第二に、その、えっと、あれだ、うん、無の使徒が来てる」


雲が言った言葉に照弥を除いた三人が耳を疑った。その証拠にニコニコしていた響の顔は驚きを露にしていた。


ただ一人、照弥だけは全く理解が追い付いけていなかった。

次回 置いてきぼりの照弥遂に....


10話目をお楽しみにお待ち下さい。


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