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東方幻想腐女録  作者: グラたん
第一章
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第二十三話 ガチャは当たれば強い

グラたん「第二十三話です!」

 東門はイナバとてゐが担当しており、相対しているのは四天王が一人、バインパイアだ。


「さあて、攻略を始めましょうか」


 その容姿と体格を見て、てゐの脳裏には鞭を激しく打ち付ける女王の姿が浮かんでいた。


「調教の間違いだろ?」

「貴方が指揮官ですか?」


 てゐをスルーしてイナバが聞くとバインパイアは感慨深そうに頷いた。


「如何にも。私は闇の四天王が一人、バインパイア。本来なら決して会う事のない月の民と戦えるなんて光栄よ」

「私たちを知っているみたいですね」

「勿論。貴方たち月の民に私たちの一族は滅ぼされたのだから忘れる方が難しいわ」


 思い返すのは月の兎共によって虐殺されていく先住民の自身等の姿だった。


「じゃ、今ここでお前をぬっ殺したら一族終わりだな」


 ニヤリ、とてゐが笑い、それをイナバが窘める。


「てゐ、不謹慎ですよ」


 それも構わないというようにバインパイアが戦闘の構えを取る。


「悪いけど、仇を討たせて貰うわ」

「此方も負けるわけにはいきません。全力でいきます」

「いざ、尋常に――」


 常套句を最後まで待つことなく、てゐが先制攻撃ふいうちを仕掛けた。


「さっさと戦えメス豚共! 兎符「見えざる影」!」


 てゐが放った弾幕は黒い兎の影のような弾幕だ。闇夜で使えば夜目でもない限り必中に近い性能を誇るものだ。ただ、今は昼間のため黒い影が飛んでいくだけだ。 

 威力はそこまでではないが代わりに速い。身軽なバインパイアも数発被弾し、一度距離を取ろうとする。


「くっ! 卑怯な!」

「ヒャハハハハ! 二対一の時点で気付けよな、ばぁぁぁか!」

「……なんか、すみません」


 てゐが高笑いしながら飛び蹴りをかましつつ距離を縮め、その背後でイナバが誤っていた。


「まだよ! 暗黒符「闇色に染まる舞踏会」!」


 バインパイアの両翼から蝙蝠のような弾丸が大量に発射され、兎二匹を狙った。


「反射符「月光兎」!」


 それをイナバが反射し、てゐが跳躍して躱す。


「ヒャッハー!」


 兎の跳躍力を生かし、高く上がった空中から急降下し、かかと落としを食らわせる。


「ぐっ!」


 一瞬足が止まり、好機と見たてゐは着地後すぐにラッシュをかけた。


「そらそらそら!」


 一秒間におよそ30発近い拳が殴打し、バインパイアは否応なく防戦を強いられる。


「ぐぅぅ!」

「おねんねにはまだ早いぜぇ!? 兎符「月照らす光」!」


 攻勢は変わらずてゐのまま固定され、手持ちの弾幕の中でも特に強力な一手をバインパイアに向ける。

 てゐの拳から月光が発射され、バインパイアの胴体を深々と貫いた。

 これが普通の人間であれば失明するだけで済むのだが、吸血鬼族の彼女にとって太陽は大の苦手な攻撃だ。そして太陽の光を反射した月光はより強力な武器となる。

 先住民である彼女たちはその月光を奪うため、敢えて月に住んでいたのだから皮肉なものだ。


「ぐあああああ!」

「本当、ごめんなさい……」


 謝りつつもイナバが指先に光源を集め、直線レーザーとしてバインパイアに発射し、これも肉を貫いてバインパイアを地面に転がした。


「ああああああああああああ!」

「そらっ!」


 叫ぶ間もなくてゐが跳躍し、バインパイアの深く空いた胴体めがけて踏んづけた。


「がはぁ!!」


 喀血し、尋常ならざる痛みが全身を貫いていく。


「ほらほらぁ……ここか? ここが痛いんだろ? 痛いって叫べよ!」


 その傷口をてゐは何度も踏みにじり、バインパイアの悲痛な表情を見たいがためだけに甚振っていく。


「ぎゃあああああああああああああ!!」

「もう無理です! 見ていられません! 今楽にしてあげます!」


 唯一の救いはそこにイナバがいたことだろう。

 首が落ち、一瞬の激痛と引き換えに彼女は安寧に包まれていく。


「おーい、イナバ。もうちょっとやらせてくれよ。ここからが良い所だったのに」


 しかし当人は燃焼不良のようでイナバに愚痴を吐いた。


「でもでも、あれ以上は可哀想ですよ!」

「本当分かってくれねーなー」

「知りません!」


 イナバがそっぽ向き、てゐは溜息を吐いた。



 西門の担当は早苗たちだ。対するはガシャポンドクロ。


「ムムム……あの小娘ではないのか……」


 再度パルと戦えると踏んできたのだが、目の前にいるのは全然違う人物たち。


「えっと、誰と間違われているのかは分かりませんが、敵であるなら討たせて頂きます」

「私たちの前に来たのが運の尽きってね!」

「死んで貰います」


 ならば、彼女たちを倒してパルを探すのが得策と判断し、ガシャポンドクロは自身に備え付けられているガシャポンを回した。


「ハハハ、そうなるのはお前たちよ!」


 ガシャの中から出てきたのは博麗の巫女が持っているあの武器。それを見てガシャポンドクロは不気味に笑った。


「行くぞ! 夢想封印!」


 早苗たちの周囲に巨大な八卦陣が敷かれ、空中には何枚もの護符が浮き上がった。


「なにぃ!?」

「回避が――!」


 さしもの二柱も博麗の巫女の技を使ってくるとは思ってなかったため、せいぜい早苗をかばうのが関の山で、その身を引き換えにして夢想封印を直撃させた。


「諏訪子様! 神奈子様!」


 早苗は慌て、二人に手を伸ばした。


「ハハハ! 今日は出が良いのぉ!」


 ガシャポンドクロは高笑いし、次のガシャポンを手に取って構える。


「くっ、少し油断した」

「まさか霊夢の夢想封印を使ってくるなんて……早苗ちゃん」

「はい! 奇跡!」


 早苗が二人の背に手を当てると傷は癒え、ダメージも消えてしまった。


「よーし、ベフマゾン貰った!」

「この場合はキャアルガでも良いと思うわ」


 無論、夢想封印を食らえば大抵の妖怪は滅せられる。仮に諏訪子たちであろうとも大ダメージは免れず、それを一瞬にして回復されたならば、成した相手は驚愕するだろう。


「……えっ?」


 ガシャポンドクロも同様に驚き、攻勢の手を止めた。


「あー、なるほど。それも良い、が」


 と、続けて神奈子と諏訪子が拳を鳴らしつつガシャポンドクロに振り向いた。


「まずはこっちにテラディンを落とす方が先ね」

「いっそフレアーとかメーテオでも良い」

「それならフレアーね」

「よし来た」


 スペルカードを一枚ずつ取り出して重ね、空高く放り投げた。


「ええい! なんの話をしておる!」


 ガシャポンドクロは相手にされていないことに苛立ち、手に持っている次手をぶつけようとするが、上空から落ちてくる巨大な火の玉に気づいて見上げた。


『スペルカード発動! フレアー!』


 直径5m近い火の玉が落下し、ガシャポンドクロを包み、摂氏六千度の熱と爆発によって、数秒足らずで炭へと変えた。

 最初こそ驚かされたものの、二人にとっては準備運動どころか子供の遊戯のような感覚だった。


「断末魔さえ上げさせないなんて……流石です!」

「ざっとこんなもんよ!」

「さ、次に行きましょう」


 二柱に加えて早苗も戦いに参加し、指揮官を失った妖怪たちはあっという間に蹂躙されていった。



 最後の南門は四天王が出てこないこともあり、安定した防衛線となっていた。


「暇ね」

「暇だぜ」


 巨大な力を持つ妖怪も現れず、霊夢と魔理沙は既に自分の分を片付け終わり、外壁の上でお茶していた。


「そう思うなら助けてくれませんかねぇ!?」


 ただし、お茶出来ているのは二人だけであり、その他の陰陽師や半妖は違う。未だ沸き続ける妖怪たちを相手に奮戦していた。


「嫌よ。私ノルマ達成したし」

「見返りもないのに働く気はないぜ」


 とはいえ、町の中に妖怪が入らないようにするくらいのことはしているため前線に集中している霖之助たちもあまり強くは言えない。


「後で甘味ご馳走しますから助けてください!」


 しかし出来る能力があるのに戦わないのは些か勿体ないため霖之助は外聞を投げうってでも協力を取り付けたかった。


「パルに鍛えて貰ったっていう天下無双剣があってその体たらく? 情けないわね」

「香霖堂店主の名が泣くぜ」


 ボロクソ言われても霖之助は奮戦がてら説得をやめない。


「この我儘剣が言う事聞いてくれたらもっと戦えるんですけどね!」


 霖之助の言葉に剣は更にへそを曲げ自重を重くしていく。急激に重さが増えたことにより今まで対応できていた妖怪の攻撃にも当たるようになり、数度を経て剣が宙を舞った。


「言い訳だぜ」

「みみっちい男ね」


 剣がなくなれば霖之助など取るに足らないと妖怪たちが一斉に攻撃を開始し、当人は目もくれず町中へ逃げ込もうとする。無論、門は閉じたままなので入りようが無い。


「あ、あ、ああ! 死ぬ! 死ぬ! 助けてー!」


 壁際に追い込まれ、手足に牙や爪が食い込んでいく。

 そこまでして、ようやく霊夢が立ち上がり霖之助を中心として八卦陣を敷いた。


「しょうがないわね。夢想封印!」

「ああ助か――私までぇぇ!?」


 護符が球体状に巻かれ、赤、黄色、青、緑などの色を放出しながら中央に向かって凝縮し、妖怪どもを封印していく。その中には霖之助も含まれており、一切の容赦なく直撃した。それでも生きていられたのは他の妖怪よりもしぶとい根性のおかげだろう。

 霖之助はボロボロになりながらも地上に降りてきた霊夢に詰め寄って抗議する。


「殺す気ですか!」

「ちょっとかすったくらいでピーピー五月蠅いわよ役立たず」

「直撃してたけどな。ま、役立たずなのは否定しないぜ」


 外壁の上で魔理沙が笑い、霖之助は愕然としつつ焦燥する。


「最近当たりきついんですけど!?」


 そんな叫びも空しく地中から妖怪が溢れ出してきた。


「ほら、次来たわよ」

「本当に手伝って欲しいんですけどねぇ!?」


 霊夢は興味なさそうに外壁の上へと戻り、霖之助は重くなった天下無双剣を手に取って嘆いた。




 四天王を倒し、町の防衛を成功させたパルたちは紫が貸し切りにした旅館にて祝勝会を挙げていた。町中もお祭り騒ぎであり、中には自ら進んで作物や酒を旅館に運ぶ者たちもいた。そして防衛を成功させた巫女たちを一目見ようと町人や近くの里人たちが押し寄せてきていたのだが、永遠亭のモブ兎たちが厳重に守っているため皆諦めて酒場へと向かっていった。

 旅館の大広間には酒からジュースまでの飲食物が置いてあり、旅館の料理も並べられている。それらを作っていた早苗とパルも座ったところで紫が壇上に立ち、口頭を述べ始めた。


「まずは、皆協力してくれてありがとう。おかげで大規模な襲撃からの防衛に成功しました。建物や地面の損害はあっても人的被害はほとんどありません。襲撃した方も今回の失敗でかなりの痛手を負い、更にメンタさんとパルさんのおかげで次に敵が現れるの位置も特定出来ました。其方の方には此方の準備が整い次第向かうつもりです。あらためて、今日は皆お疲れ様です。この宿は貸し切りにしてありますので飲み、食べ、語り、次の戦いへの英気を養うと共に疲れを癒してください」


 だが、ここにいる大半は『飲みたい』『食べたい』といった目をしながら紫に野次を飛ばして紫を急かした。


「長い!」

「早く飲ませてよね!」

「さっさとしろー!」

「前書きは良いんですよ!」


 そんないつもより少々騒がしいお決まりに嘆息しつつ、紫はワインの入ったグラスを持ち上げた。


「全く……では、お手を拝借――今日の勝利を祝って、乾杯!」

『かんぱーい!』


 言うが早く、メンタとてゐは料理を掻き込み始めた。


「うはっ! どれも美味しそうですね!」

「メンタ、落ち着いて食べて。料理はまだまだあるから」

「そんなこと言ってると無くなるぞー!」

「てゐ、お行儀が悪いですよ」

「師匠も固いって! 今日くらいはいいじゃん!」

「ま~今日くらいは良いんじゃないれすかれ~」

「酔ってる……っ!」


 各自が酒を飲み始めると騒がしさは一気に増し、旅館の女将たちもあっという間に消えていく料理の追加を作り始めた。

 そんな中で早苗はパルに絡み、比較的アルコール度数が低く、甘い酒を勧めていた。


「パルも飲んでくらはいほ~」

「うん、貰ってるよ」


 思っていたよりもぐいぐい行くパルを見て気を良くし、酒にお酒を注いでいく。

 対してメンタは渋い表情になりつつも少しずつ飲み進めていた。


「苦い……です」


 人生初のお酒ということもあり、美味さよりも苦さが先に立ってしまっていた。

 そんなメンタを霊夢たちは懐かしそうに見ていた。


「あんたにはまだ早いかもしれないわね」

「ぶっちゃけ未成年も良い所だしな」

「それを言うなら霊夢さんたちだって未成年ですよね?」


 メンタのあまり聞いてはいけない言葉に霊夢たちはそっぽ向いた。


「……慣れよ」

「お付き合い程度だぜ」

「絶対に飲んでやるぅです!」


 少々酔いが回ってきたのか、メンタは意地になってお猪口を口に含んでいた。

 霊夢はカラカラと笑いつつパルの方に視線を向け――絶句した。


「パル、あんたそれって……」

「うわぁ……」


 霊夢の言葉と表情に疑問を持った魔理沙が肩越しに覗き込み、ドン引きした。


「へっ? これ? 美味しいよ~、この葡萄酒」


 葡萄酒を掲げると同じくそのボトルを手に持っていた永琳がパルの傍に座った。


「あらあら、パルさんはその味が分かりますの?」

「うん、永琳さんもこれ好きなの?」

「ええ。職業上あんまり飲む機会が無いので今日はたくさん飲みますよ」


 そう言ってグラスに注ぎ、少しずつ飲んでいく。パルも負けじと飲み、盛り上がっていた大広間が少し静かになってしまう。

 てゐとイナバもそれに気づき、ゾクリと背筋を震わせた。


「……おい、あれってまさか……」

「はい。そのまさかですね」

「殺人酒と噂の『月見酒』か。どんな酒豪も飲めば命を落とすと言われるアルコール度数100%という究極の酒でありながら使われているのは蒸留した葡萄のみ……」


 てゐとしては恐々とパルと永琳を見ていたのだが、パルにしてみれば飲みたいのかな? 程度にしか見えていないため差し出した。


「あ、てゐも飲む?」

「や、遠慮しときます。マジで」


 真面目な声色でてゐが断ったことを意外に思っていると永琳が説明した。


「フフフ、てゐはこれを飲んで一回死んでますからね」

「へぇぇ……死んだの!?」


 危うく納得しかけ、パルは驚きの声を上げた。


「それ以来、それは飲んでないぜ」

「てゐにそこまで言わせるなんて……恐ろしいですね」


 おう、とてゐが頷いてメンタの方へ寄っていく。


「美味しいのになぁ……メンタ、飲んでみる?」


 パルがそう言うと、メンタは首を横に振って遠慮した。

グラたん「明日は年末ですね〜。せっかくなので投稿しますよ〜( ̄^ ̄)ゞ」

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