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東方幻想腐女録  作者: グラたん
第一章
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第一話 とりあえず拉致されました

グラたん「初めまして! もしくはお久しぶりです!」

グラたん「今回から東方を書いていきたいと思っています! よろしくお願いします!」

グラたん「感想等々もお待ちしております!」

※ちょっと世界観に矛盾があったので修正しました。

 とある日、東京都某所にてアニメイトへと向かう二人の少女がいた。

 道はクソ暑く、歩くに堪えないほどアスファルトが熱されて木陰も役に立たないという現状。そして吹いて来る向かい風は絶妙に生ぬるい。

 気温は年間最高の36度とちょっとしたぬるま湯の温度。地球温暖化現象のせいもあってか、プラス2度くらい高く感じる。

 そんな風は、例えるなら――そう、壊れた暖房クーラーを付けながら扇風機を回して浴びているような状態だ。もしくは団扇を持って炊き立ての炊飯器の湯気を自分に当てていると言ったところだろう。どんだけ気持ち悪いかはご想像。

 そんな中で元気よく歩いて見る者を少し癒す二人の少女の姿。


「こっちです!」


 燃えるような赤い髪に赤い眼。染めているわけでもカラーコンタクトを付けているわけでもなく、地毛である。ここ十数年は外国との交流が深まっているおかげで多国間の結婚が流行している。それというのも少子化が原因でもあるのだが……さておき。

 今や日本でもこういう色をした髪は変ではない。逆に日本人特有の黒髪の方が珍しいくらいだ。

 そんな彼女の名はメンタ。重度のヲタで腐女子という救いようがない女子中学生だ。どれくらい救いがないかというと男×男でも女×女でも獣×獣でもご飯三杯イケ、更にはロリもショタも近親相姦すら合法と見なしている――それで分かって頂けると思う。

 着ている服は袖の無いワンピースで肩にはバッグをかけている。

 身長は中学生の平均より少し低く、体型は平均的。胸は……お世辞でもBあるかないか。いやいっそAと言ってしまった方が気が楽になる程度しかない。


「全く……はしゃぎ過ぎだよ」


 返って此方はラベンダーとアメジストが混ざったような地毛にアメジストの色をした瞳。服装は冷却効果の高い半袖に膝丈のスカート。しかしその顔は熱中症にかかっているように赤みが増している。髪はポニーテイルで纏められて涼しさを感じられる。

 名をパル。メンタの実の姉であり、ごく普通の女子高校生である。

 彼女は厨二でもなければヲタでもない。しかしメンタに振り回されている故にヲタ認定され、ついこの間のコミケではメンタの頼みでコスプレ衣装を着せられ、あまりにも高い完成度とそのスタイルの良さから某超会議の動画で再生回数億回を記録したが当人は知る由もなく、収入は全てメンタに回っているという貧乏くじを引きまくっている。

 身長は一般の9割の男性が親指を立てる152cm。体重は秘匿としても、体型は先程言った通り野郎からも腐腐腐からも大人気の肉付き。無論、そこらのヲタだけでなくすれ違う人たちがパルに目を向けるが当人は気にもしていない。

 ――天然である。


「ここ?」


 二人がやってきたのはアニメイト。そこにはこの蒸し暑い中を外まで長蛇の列を作って並ぶヲタの姿。服は既に汗まみれであり、今尚汗は垂れ流されている。

 それらをメンタが遮り、パルの手を取って中へと入っていく。


「そうそう。さ、入ってください」


 しかし打って変わり、中に入ると少し寒いほどクーラーが利いていて熱中症寸前だったパルは生き返っていた。

 パルとてここに来るのは初めてではない。お気に入りの小説や漫画はあるし、ゲームに関してはそこらの廃人に匹敵さえするだろう。

 ただ、今日案内された周りにあるのは『未知』に等しいグッズの数々。そして漫画やアニメのDVD、ガチャ、カードゲーム等々が並んでいる。

 特にパルの目を引いたのは『妹に捧げる甘い一時』なる意味不明のチョコのお菓子。それを衝動買いするヲタたちを見てドン引きしながらメンタの方へと向かっていく。

 とはいえ、メンタもそんなに変わらない。


「ふ腐腐腐腐……やっぱりありましたね」


 何処かおかしい笑い方をしながら手にした戦利品をパルに見せつける。


「なに、それ?」


 メンタが持っているのはコスプレのような実用性のなさそうな衣装を着て剣と盾を持ったキャラクターが描かれている本だ。

 メンタは問いかける姉に当然のように答える。


「今、流行の異世界ラブコメの異世界転生物ですけど?」

「……うわぁ……」


 そんなドン引きのパルを置いてメンタは更なる物色を始める。


「腐へへ、選り取り見取りですよ~」


 あまりにも真に迫った表情で品選びするメンタにいつもの恐怖を感じてパルは去ろうとする。


「やっぱり外で待ってるよ」

「行かせないデスヨ?」


 当然、実の姉を此方側に引きずり込もうとしているメンタが逃がすわけがない。

 逃げようとするその白くて細い腕をしっかりと掴み、捕獲する。


「嫌だ~」


 パルがそう言い、逃げようともがく。

 そこへ、壊れた機械のような声が響いた。突然の声に二人は驚き、全身を硬直させる。


「な、なんでしょうか?」


 メンタが立ち上がり辺りを見回すよりも早くパルがその元凶を見つける。


「う、うわ、あれ!」


 その指差す方向には底の見えない黒い穴と黄色の装甲と鋭い四本の爪を持った奇怪な化け物が何体も天井から落ちて来た。

 その化け物たちは手当たり次第に人間を捕獲していく。


「パル姉、空から2次元に生息していそうな化け物っぽいのが降って来ているように見えます。ついにオレも2次元に行けるイベントですかねー? 異世界からのお迎えですか? それとも、2次元からきたあの化け物っぽいのを倒さないと、イベントは進まないんですかねー?」


 何処までもヲタな妹に対し、未知に対する恐怖よりも先にやることを見つけた。


「言ってる場合か」


 ツッコミである。


「うわあ!」

「俺の京子が――!」

「ぎゃああ!」


 パルは思う。何故、自分の命よりフィギュアを優先するのか、と。分からなくはないが命より大事なものはないだろう。

 そのおかげでパルは冷静さを取り戻し、店内を見回した。

 店内には計五体の化け物とパニックに陥った魔族たち。店内の外から見ていた魔族たちもその異常に気付いて我先にと逃げ出していく。そして化け物たちもその魔族たちを追いかけて二体が外に出て行った。

 これならばうまくいけば逃げ切れる――と思った矢先だ。


「うわわ! 助けて!」


 振り返れば背後に化け物がいて、その手にはメンタが捕まっていた。

 パルの背中にゾクリと悪寒が走り、冷たすぎる冷や汗が沸いてしまう。


「メンタぁー!」


 パルはメンタを助けようと手を伸ばす。


「ヤッホォーイ! 私のストーリーがついに異世界で始まるんですかねー! デスカネー!!」


 しかし、その能天気すぎる声を聞き、冷や汗が逆に収まってしまう。


「ダメだ、こいつ、早く何とかしないと……」


 と最近メンタから勧められた『絵日記を書いて人を殺すアニメ』の名セリフを呟く。

 尤もそれを言う前に逃げていれば状況は違っただろう。


「あ……」


 しまった、と思っても後の祭り。パルも捕まってしまい、振りほどこうにも化け物の力の方が強く離せない。そうして四本の手に人間を捕まえた化け物は悠々と黒い穴に凱旋して行った。

 突如現れた謎の生物によって黒い穴へと連れ去られた二人の少女。

 彼女たちは一体何処へ飛ばされてしまったのか?


グラたん「言い忘れていましたが不定期更新です。……最悪、月一更新になるかもしれません」

グラたん「その分、一話を長めに書いていきたいと思っています」

グラたん「そんな感じで次回からは幻想郷にレッツゴーです!」

メンタ「腐腐腐……」

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