不安な毎日
何でもいいです。感想が欲しいです。モチベをください。
「先生、僕この学校でうまくやっていく自信ありません」
俺は職員室で担任の先生に愚痴をこぼす。
「ほう、何故だ?結城」
俺の担任龍崎 詩織は特に慌てた様子もなく理由をたずねる。
「だって転校して来てから俺、一言しかクラスの奴と喋ってませんよ。男子からは嫉妬の目で見られるし、女子は男子が俺をハブっている様子を見て話しかけてこない。これもう詰みじゃないですか」
龍崎教諭はそうか、とため息まじりに相槌を打った。
龍崎は綺麗な大人の女性といった風貌で男子からも人気があると思えた。少なくとも俺の目には魅力的に見える。なんでか独身だけど。
俺が何故男子から嫉妬の目で見られたかと言うとどうやら藤宮はこの学校でマドンナ的立ち位置にいるらしかった。東の藤宮・西の衛藤、といえば聞いたことがあった。
え、でも待って。お前引っ越ししたから転校したんじゃねーの?って思った方。僕はそんな長い距離移動してないんですよ。前の学校でやらかしてしまいまして。追い出されたって状況ですわ。
「で、君は初登校から皆のオ◯ペット藤宮と登校したことから男子から嫉妬の嵐だと?」
「いや、教師がその発言はすごく問題だと思うんですけど、まあそうです」
龍崎はもう一度溜息をつく。
「結城、君は自分から話しかけたりはしてみたのか?」
「してません。だって無理ですよ、あいつら親の仇みたいな目してるし女子は近づいただけで離れてくんですよ。多分今教諭と話しているのもあいつ転校早々何しでかしたんだって噂されてますよ。そうだ。きっとそうに違いない」
「結城、君のマイナス思考は結構。色々と言いたいことはあるがとりあえず一言言わせてくれ」
ことわりをいれ龍崎は続けて言い放つ。
「君が思っているほど他人は君のことを気にはしていないよ」
「!??!?!」
こいつぁおどれーた。俺は物語の主人公で誰からでも目を引くほどの圧倒的オーラを兼ね備えているんじゃなかったのか。
「そんなに驚くな。君は今自分で思っているほど大した人間じゃないよ。君だけじゃない、誰だってそうさ。若い頃はみんな、自分の事で手一杯なんだよ。他人を気にかけてる余裕なんてないものだ」
「はあ……」
「君はこれからどういった人間になっていくのか、どういう人間になるかの過程の段階の人間だ」
といったところで教諭は話をまとめる。
「つまり私が何を言いたいか、というとだな。君はまだなにも成していない。何かを成し得るまで努力しろということだ」
ここまで言い切ると教諭は俺をさぁ話はここまでだ、いったいったと職員室から追い出した。
仕方ないので残りの授業を消化しに教室へ向かう。
ーー2時間後。
チャイムが今日最後の授業の終わりをつげる。端々から「あー」とか「おわったーおわったー」などの声が上がる。うるせーんだよ、テメェの人生終わらせたろか。
「ねぇ。結城くん」
!? 後ろから俺を呼ぶの声がする。しかも女だ。学校で初めてといっても過言ではない、声をかけられた。振り返るとそこには藤宮がいた。と同時にクラス中の目が俺たちに向いた。
「ごめんね。最近色々忙しくて声かける暇なかったんだ。どう?学校生活慣れたかな?」
あたりが静寂に包まれる中、藤宮はすごい笑顔で話しかけてくる。
「………慣れたよ」
しかし俺は小さい声でそう返すのが精一杯だった。殺されそうな雰囲気だし。
藤宮は俺の素っ気ない返事を気にした様子もなく普通に会話を続ける。
もうそろそろ切り上げて帰ろうかと思った頃に藤宮はある提案をした。
「あ、そうだ!結城くんもう部活入った?」
あー部活、そもそも入る気が全くなかった。放課後学生に許された唯一の自由時間を何故拘束されなければならないのか分からなかったからだ。第一に俺は運動神経がイマイチで特に良くもなければ目立って悪いというわけでもなく、やたら集中力が凄くて絵やボードゲームに前のめりなるという経験もなかった。しかるに俺はただ無益に時間を浪費するだけの豚野郎であって
「ね!ちょっとだけ見に行こうよ!」
俺の思考を遮ると藤宮が手を取った。誰の?勿論俺のだ。クラスの男子の視線が語っている。
明日俺は死んでいるかもしれない。