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青い空の下で

作者: ジョナサン

晴れ渡る青い空、美しく澄んだ青い海、水平線を思い描く。

そこにいるだけ。

そこにいたいだけ。


窓の外には青い空が広がっている。

なんとなく眺めている。

こんな昼間に寝転がって、俺は大変な親不孝者、役立たずといったところだ。

仕事の方は、突然の解雇で突然終わった。

俺の不出来も当然あったが、ちょうど辞めたくてしょうがなかったから結果的には良かったのだ。

しかし、新しい仕事などすぐには見つからず、こうして寝転がる時間も十分あるわけだ。

年齢は三十路の半ばで、人生の半分くらい過ぎたところだ。

あと半分…、俺は何かを残したい、成したいと思った。

それは何のために生きるのかという、いかにもな命題に最近悩まされているからだ。

同世代の連中と言えば、一つ所で一所懸命働き、結婚して家庭を持ち、家族のために働いている。

「なんと素晴らしい。」

社会的に認められる、典型的な社会人である。

俺と言えば、一つ所で長く勤まらず、結婚どころか彼女もできず、自分一人のために生きている。

「なんと嘆かわしい…。」

とは特段、思っていない。

だから現状こうなっているのである。

結局どこかで働かなくてはならない、結婚できるかなんて分からない、答えはもう出ている。


「何を成すべきか」

これが問題だ。

俺は人の上に立つような人間ではない。

出世して大企業の社長だの、到底なれやしない。

負け惜しみかもしれないが、興味もない。

どうも金が絡む話は好きではない。

金が嫌いという訳ではないが、それを絡ませたくない。

いわゆる金儲けじゃなく、ボランティアといったら良いのだろうか、そういう類のアクションでも良いのではないか?

具体性に欠けるが、俺は何らかの形で、無償で、世の中に貢献したいと思った。

それが自己満足であろうと、誰かの役に立つのなら…。


そんなことを思いながら、何日か経った日のことだ。

俺は、知人Nと会った。


N「元気そうだな?」

俺「おかげさんで…。」

N「相変わらずだな…。まあ、良いや。何を頼む?」

俺「ホットミルクティー。」

N「俺はコーヒー、ホットで。」

N「最近、どうしてんだ?仕事は?」

俺「こないだクビになったんだ。来なくて良いってさ。」

N「マジかよ…。大変だな。」

俺「会社にも迷惑かけてたし、俺も辞めたかったし、良かったんだけど。」

N「それで今、求職中って訳か。」

N「余計なお世話かもしれないけど、俺達もう良い歳だろ?一つ所で頑張って働いていかないと、キツいぜ?金も貯まらない、彼女もできない、結婚もできない。」

俺「そうだな。そっちはどうなんだ?奥さんや子供は?」

N「ああ、こないだやっと新居が完成してな。嫁さんや子供の機嫌も良いわ。まあ、これから子供も大きくなって、色々金がかかって大変だけど…。頑張って働くわ。良かったら遊びに来てくれよ。」

俺「考えとくわ。」

N「何だよそれ(笑)」

俺は行こうとは思わなかった。

独身と既婚では、考え方も違う、置かれている環境が違うから当たり前なのだが。

よくネットで「独身VS既婚」みたいな構図を目にするが、それぞれ「別物」なのだから、互いに干渉しなければ良いと思っている。

当面ないだろうが、俺も結婚すれば、既婚者の思考に多かれ少なかれ変わっていくのだ。


俺「そういやNって、結婚して何年だっけ?」

N「25で結婚したから、11年だな。」

俺「長ぇな。」

N「そうかあ?あんまり気にしてないっつーか、気にならないっつーか…。」

俺「他人と何年も同居するっていうのが想像できんな。」

N「そういう考えだから、結婚できねーんだよ。」

俺「…そうだな。」

結婚生活というものは、実際イメージの中のものでしかない。

家族のために毎日働く。

休日は家族サービス。

自分の時間なんてない。

どうも悪いイメージに着地してしまう。

「滅私奉公」と言えば良いのだろうか、そういう人間が結婚に向いているのではないかと。


最後にNに訊いてみた。

俺「今のお前の生きがいって何だ?」

N「そりゃ…、家族と仕事だよ。」


仕事が見つからない。

都合よく仕事なんて、ましてこの歳だから、一層難しい。

俺は車を走らせた。

車に乗っていると、どこか遠くに行きたくなる。

憂鬱やら悩みやらを置いといて。


随分遠くに来たものだ。

昔、彼女と来たことがあったっけか。

俺は海を眺めていた。

俺の心境にそぐわないくらいの快晴だ。

今いる場所はちょっとした名所で、崖なんかがあったりする。

「こんなところから身を投げたら、ひとたまりもねぇな…。」

こんなセリフとは裏腹に俺は崖っぷちに進んでいた。


「死んで花実が咲くものか」

そんな看板が立っていた。

死ぬ前に何か成したい、それはずっと俺の中にあった。

しかし、身も心も、今はそこを向いていなかった。

ここに来たのも、ベクトルがあっちを向いていたからだ。

俺は柵を越えようとした。

その時…。


急に意識を失ったようだ。

目を覚ました時、俺は見たことのない浜辺にいた。

晴れ渡る青い空、美しく青く澄んだ海…。

どこにいるのか全く見当がつかない。

それに体が縮んだような気がする。


「あっ、やっと起きたんだね!」

俺の目の前に少女が立っていた。

どこかで見たことがある、そうだ、Aちゃんだ。

Aちゃんは俺の初恋の女の子だ。

しかしなぜ…。


「大変だからって、変なこと考えちゃダメ!」

Aちゃんは泣きそうになりながら、俺に言った。

「そうだ、今から私と遊ぼうよ!」

Aちゃんが俺の手を取り、走り出した。

最近運動不足だから、などと考えていたが、身体の調子が良く、いくらでも走れそうだ。

なんだか子供のときに戻ったような…。

俺は自分が子供になっているのに気が付いた。

何がどうなっているのか分からないが、今は子供の身体だ。

そんなことはどうでもよく、ただ楽しかった。

生きているのが楽しかった。

何年も前に忘れていた。

俺とAちゃんは日が暮れるまで、ひたすら遊んだ。


Aちゃん「もうお別れだね。」

俺「嫌だ!別れたくない。」

Aちゃん「ううん、さよならじゃないよ。ずっとそばにいるよ。寂しくなったら空を見上げて。私はずっと君のこと見てるから。」

俺「もう戻りたくない…。」

Aちゃん「君にはまだやることがあるんだよ?誰かのために何かしてあげるって言ってたじゃない。」

俺「そうだけど…。」

Aちゃん「またいつか会えるよ!またここで。それまで頑張るんだよ!」

そう言ってAちゃんは俺にキスをしてくれた。


また意識を失っていたようだ。

誰か呼ぶ声がする。

「おーい、兄ちゃん、大丈夫かぁ?」

「?」

俺は目を覚ました。

さっきいた場所に戻っていた。

「おお、気が付いたか。まだ若ぇんだから妙なこと考えるんじゃねぇぞ。それじゃあな。」


夢を見ていたようだった。すごくリアルな夢だった。

Aちゃんの唇の感触が残っていたようだった。

俺は立ち上がり、空を見上げた。

「ありがとう、Aちゃん。」


この後、何年俺の人生が続くか分からない。

「何を成すべきか」

俺はこの命題と共に生きてゆく。

そして生き抜いた先に、広がる青い空の下で、Aちゃんとまた会いたい。













初投稿でした。

お読みいただき、ありがとうございます。

文才もなく、拙い文章ですが、宜しくお願いします。

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