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呪い師

 医者から呪いのことを聞いたとき、僕は半信半疑だった。

 何十年も昔ならともかく、この時代に呪いなんてあるものか、と。

 それでも医者の奨めで紹介されたまじなに会いにきたのはセシリアの眼を治せるかもしれないと言われたからだ。セシリアが視力を失ったのは怪我や病気などではないと最初に聞いていた。前兆もなく突然見えなくなったと。

 できることは全てやっておきたいと思ってここまできたが……。

 正直、来たことを後悔したくなるような外観をしていた。

 眼が痛くなるような色の垂れ幕と不気味な看板に足が止まりそうになる。

 隣にいるセシリアは当然見えていないだろうが、見えてないほうがいい。

 入り口に置いてある人形は真っ赤な口を開けて、来る人を脅かすのが目的で置いてあるみたいだ。ただのボタンで作られた眼がなぜこんなに不気味になるのか。むしろ興味深い。

 黙った僕に不安になったのか、掴まる手が少し強さを増した。

 医者を信じて入るしかないと覚悟を決める。手を握り返して安心していいと伝えると、緊張していた顔が少し緩む。

 中に入ると一人の老婆が座っていた。

 ひと昔前なら魔女と言われそうな風貌をしていて、店の雰囲気を違和感のないものに変えている。

 医者の紹介だと告げると事前に聞いていたのかすぐに奥に通された。

 入り口や入ってすぐの部屋とは違い意外にも簡素に片付いた部屋。

 木で出来たテーブルが一つと背もたれの無い小さな椅子が三つ。

 壁には飾り気の無い棚があったがその中にも数冊の本と薬品のような小瓶があるだけだった。外で感じたイメージとはだいぶ違う。

 座ろうとすると兄さんはあっちの部屋に行きな、と言われる。

 付き添うつもりだった僕は少しむっとしたが従うことにした。

 きっと僕がいたら話しづらいこともあるのだろう。

 魔女の家をイメージしたかのような部屋を観察しながら待つことにした。

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