表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

第五章 僕、ユミツカイになります。

クマ「わぁ、君ニートみたい」

ユウ「弓使えるようになったら働きますよ!」

「はぁ、はぁ、もう無理ですよ……」

「な、何をだらしないことを言っているんだ! 男なんだからちゃんとしろ! もう一度、しっかり狙いを定めて、腰に力を入れてしっかり全身を使って支えろ!」

「こ、こうですか?」

「う、うむ。多分大丈夫だ! 私も自信はないが次こそは……」

「じゃあ、いきますよ? うぅっ、えいっ!」


ユウが力を振り絞って放った渾身の矢は、直線上にある的からほど遠い、明後日の方向に飛んでしまった。


「はあー、またダメか……。ユウは恐ろしく才能がないな……」

「違いますぅ! クマが才能の塊なんですぅ! 普通の人は『どんな体制だろうと、しっかり弓を引いたらなんか当たる!』 なんてことはないんですよ!」

「そんなはずなかろう! あの程度の距離なら目をつぶっていても当たるぞ!」


 クマが実力を見ると言い、家の近くにある森に入った。僕が初心者ということを考慮して五十m先に、家から持ってきた卵を置いた。

 ただそれは恐ろしく遠く、小さく、そもそも最初のうちはまともに弓を引くこともできなかった。

 およそ三時間、無我夢中でやったが届きもしなかったので三十mに変えてくれた。

 ただ、この三十mも相当きつい。引くことがただでさえきついのに、師匠のクマがまったく役に立たない。「弓は感覚だ! あたれ、と思えば当たる!」と語り、それが至極当然という感じで全く技術的なことを教えてくれない。


「あーあ、これならアオイさんに引き方聞いておけば良かった」

「わ、私があんな小娘に劣るというのか!! 何たる屈辱だ! よーし、それなら私が何となくやってやるから、ユウはその動きをしっかり確認しろ!」

「やり方教えられないなら最初からそうしてよ……」

「ん? 何か言ったか?」

「あ、いや、ぜひ見せていただきたいなー、と」


 そうか。と、うなずくとクマはさっきまで僕のいた場所に立った。

 まるで本当に弓を持っているかのような佇まい……いや、そこには確かに構えた弓と矢が見えた。

 そのまま手に構えた幻の弓を引いて、矢を放った。その矢は確実に卵の中心を射抜いた。そこまでの動作は素人の僕から見ても、一切の無駄のない洗練されたものだとわかった。

 その凛とした動きと芸術品のような美しさに、僕は完全に心を掴まれてしまった。


「まあ、こんなとこだろう。戦いにおいてここまで丁寧にやることはないが理解できたか! ……って、なんでユウは泣いているんだ!?」

「あ、あれ、なんで泣いてるんだろう……。すいません、なんか止まんなくて。でも、本当に凄くて、正直今までクマ……いえ、師匠のことなめてました。でも、自分決めました! 一生師匠についていきます! 師匠のために絶対一流になります!」

「お、おう? 急におかしくなってしまったが、殊勝しゅしょうな心がけだな。まあ、それならぜひあの卵にあててくれ」


 二人の団結感が深まったところで、次はユウの番である。


 ―――師匠の動きをイメージして、無駄のない流れで、その姿は美しく!


「いきます!」

 

 ユウの手から放たれた矢は一直線に、寸分の狂いもなく、明後日の方向に飛んでいった……


「やっぱダメだぁーーー!!!」

「いや、落ち着けユウ。今の矢はこれまでのものよりはるかに良かった! ……気がするぞ。 きっともう少しだ!」

「ほ、本当ですか! 分かりました、もう少しだけ頑張ってみます!」


この後さらに数時間続けたがかすることもなく、疲労で体の節々が痛く、限界を迎えていた。


「致し方ない、もうすぐ日も落ちるし、ユウも限界だ……。今日は帰ることにしよう」

「はぁ、はぁ、ま、待って、ください。今、何か、掴んだ気が、するんです。もう少しだけ、やらせてください!」

「そこまでいうなら気が済むまでやると良い。いつまででも付き合ってやる」

「ありがとう、ございます!」


 ―――ここまでしてくれる師匠のため、なんとしてでも当ててやる!


 すー、はー。荒れた呼吸を整えて、心を「無」に。最初みたいにがむしゃらにしない……。力を抜き……ただ目の前の的に……てる、てる、てる! 弓を限界まで引き絞り、矢を……放つ!

 矢はただたまごだけを目指し進む、そのまま矢の威力は落ちず、命中!


「おお! おお! ついに、ついにやってくれたか!」

「はい、確かにあたりはしました。でも、掠っただけで、割れてわ……」

「いや、良いんだ! これで十分だ! 私はここまで矢の下手な者を見たことがなかった、しかし、これほど人の弓に感動したことはなかったよ! 私は決めたぞ! 必ずユウを一流の冒険者に育て上げて見せる!」

「ええ! 僕も必ず師匠を女神にします! 一緒に頑張りましょう」

「よーし、そうと決まれば祝宴だ! 飲むぞ! 食べるぞ!」

「はい! 二人の冒険の始まりを祝して思いっきりやりましょう!」


 二人の間に揺るぎのない絆が生まれた。―――もう、お互いがそろえば何も怖くない!



 と、そんなこんなで「バー 星空」で祝宴が始まった。

 昨日のイモ洗い状態が一転、ガラガラの店内だった。皆、昨日休んだ分も働いているのだろう。


「おう!いらっしゃ……。……お前、なんでそんなボロボロで、ぬいぐるみなんて持ってニコニコしてんだ?」

「あ、いや、これは……」

「貴様がこの店のマスターか! 私はユウの師匠となったクマである! よろしく頼むぞ!」

「え、よ、よろし…………って、何でぬいぐるみがしゃべってるんだよ!?」

「あー、そういうことは……師匠説明ヨロシク! 好きなもの頼んでいいから。僕ちょっと別のとこ行ったら戻ってくるよ! 」


 ケイ姉は確実に「待て!」と言ってたと思うが、今はそれどころじゃなかった。

 夜になってしまったが、まだ店はやっているはずだ。痛む体に鞭打って、ただひたすらに走った。

 僕はどうしてもこの喜びを一刻も早くアオイさんに伝えたかった。うっかり弓を背負ったまま来てしまったから、返品しに来たと誤解されてしまうかもしれないな……



「あの、すいません! アオイさんいますか?」

「あら、ユウじゃない! この子よ、あの弓を買ったの」


 おや? 店の中にはアオイさん以外にいる……。

 しかも、なんかヤバい雰囲気を放っている。

 身長は2m近く、暖かくなってきたがまだ夜は冷えるというのに、迷彩の短パンに白のタンクトップを着て、背中には巨大な斧を担いでいる。

 体は、ボディービルダーか! というようなゴリゴリのマッチョ、あごひげを携え、肌がこんがりと日に焼けたおっさんだ。

 そんな巨人が僕のほうに近づいてくる。

 ―――ヤバい、殺される……

 そう思っても体は動かない。大男は僕を逃がさないように肩を掴んだ!


「いやー、君がユウくんか! アオイに聞いたぞ! あんな弓を選ぶなんて、まったく変わった冒険者がいたもんだ! まあ、もともと僕のものだけどね! アハハハハ!」


 ものすごい豪快な人だけど食べられることはなさそうだ。それじゃあ、この人は一体?


「恐れながら、どちら様なのでしょうか?」

「おお! そうだったね! 僕は冒険者をやってるアオイの父親、ミツバっていうんだ! まあ、見た目に合わないからみんな『おやっさん』なんて言うけどね! アハハハハ!」

「ち、父親!?」


 まさかアオイさんの父親に会うとは思わなかった。しかし、驚くほど似ていない。トンビが鷹を生む……いや、鷹がウグイスを生んだといった方が正しい気がする……


「ところで、こんな時間にどうしたんだ? いや、弓を持ってきたんだから流石に返品しに来たんだな! うん、仕方ないよな! でも、そんなもの選んだ時点で良い根性してると思うぞ!」

「あ、違くてですね、むしろとても良い弓をいただいて感謝しているというか……」

「なんだ! わざわざそんなことを言いに来たのか! そうか! そうか! よし! せっかく来たんだから僕にも弓の技量を見せてくれよ!」


 ―――おかしい。こんなはずではなかった。僕はアオイさんに喜びを伝えて、あわよくば一緒にごはんを、と思ってただけなのに!



「そ、それじゃあ、いきます……」


 なんだかよく分からないまま、僕はおやっさんに店の裏庭に連れていかれ、弓を引かされた。

 今日の練習の成果を発揮した悪くない一射だったと思う。

 おやっさんもあごひげをさすりながら感嘆の声をあげている。


 ちなみにアオイさんはというと、夕飯の準備に向かってしまった。「一緒に食べていきますか?」 と聞かれたが、師匠とケイ姉の気まずい雰囲気を想像したら、はい。と答えられなかった……

 

「一日でここまでやるとは大したもんだよ! でもそうだな、強いて言うならここをこうして、これをこうして……!」


 どうやら僕の弓を一度見ただけで、いくつも改善点を見つけたようだ。おやっさんの魔改造が入り、教わった通りに矢を放ってみると……


「うそ!こ、こんな少ない力でもっと正確に撃てるなんて! すごい、信じられません。ぜひ僕にミツバさんを師匠と呼ばせてください!」


 僕が教わる師匠はこっちだったのか! 危うくあんなクマのもとで一生を無駄にするとこだった!


「師匠なんて照れくさいから、おやっさんって呼んでくれよ!でもな、ちょっと教えただけなのにものにするユウ君がすごいんだよ!筋も良いし、とても今日初めて弓を持ったとは思えないよ! きっとものすごい冒険者になるな!」


(全く、これ以上無い理想の先生だ!それに比べてあのクマは……でも、クマのおかげで大したものだっていわれたしな。って、そろそろバーに戻らないとまたガミガミうるさいかも……)

 そう考えた僕は、おやっさんにまた必ず来ると告げて店を出た。



「変な誤解を招いてクマ鍋にされてなければいいけど……。いや、ぬいぐるみだからそれは無いか……」


 そんな一抹の不安を抱えてユウは夜の街を駆けた。

 ようやく次回本命の新キャラ。というか新たな仲間が登場してきますので乞うご期待!

 この先の展開も考えてるけど、一刻も早く出したいキャラを考えたらつらい。一体いつ出すことが出来るんだろう。妄想だけがはかどっていく……

 

 あと、これより前の章を、小説の書き方の基本! みたいのを見て手直ししました。以前よりは読みやすくできたはず! もっともっと勉強しないと!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ