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第三章 ジャックナイフ反逆のアルテミス

アルテミス「純潔を誓うのは、純潔を守り切れることが出来る奴だけよ!」

クマ「当たり前です!」

「うむ、やはり、新鮮な卵にほかほかの白米は最高の組み合わせだな!」


 などと言いながら、3杯目の卵かけごはんを食べようとしている。

 サケとか、ハチミツでも食べろよと思うが、あまり食べられても困る。お金ないし……

 ちなみに僕はパン1枚をゆっくりと噛みしめて空腹感を誤魔化している。


「まったく、成長期の少年がパン1枚とは情けないぞ! そういえばユウは何歳なんだ?」

「十七ですよ。って、僕も聞きたいことがあるんでした! 結局クマはここに何しに来たんですか?」

「そういえば昨日もそんなこと言ってたなー。これから長い付き合いになるだろうし今のうちに話しておくか……」


 するとクマは、めんどくさそうにしながら、ものすごい嫌そうな顔で語り始めた。

――――そんなに嫌なことなのだろうか?



 私の仕える女神は何よりも純潔を重んじて、もしも彼女に純潔を誓っておきながらそれを破ろうものなら、即座に重い罪を下す。

 まさしくジャックナイフのようにキレッキレで、神々からは腹黒のジャックナイフで、「ブラック・ジャック」と呼ばれ恐れられていました。


 そんな女神はある日、一人の狩人と出会ってしまったのです!

狩人は言葉巧みに彼女を篭絡し、まるでバターナイフのように性格まで丸くしてしまった! そう! 言うなれば「ホワイト・バター」です!


――――もうそれ食べ物じゃん。後、その前の部分はいろいろとアウトだから!

――――うるさいですね! 人がしゃべってるときは静かに聞いてください!


 こほんっ、えー、当然、純潔で有名だった彼女の不祥事は天界の神々たちにすぐに広まったわ。

 もう、下界の有名人の不倫が広まるよりずっと早いわ。まあ、広める神がいるんだけど……。

まあそんなわけでね、そのことを知ったあいつら何て言ったと思う?


「やっとあいつも恋愛の素晴らしさを知ったか」とか、「やはり今どき純潔なんて時代遅れだってことだな!」何て言って全然反対しないの!

 あいつらの頭の中は何が詰まってるのかしら!


 ただ、反対してくれたシスコン兄貴や純潔仲間(独身同盟)も止められず、女神はもうすぐ結婚するとか……

 だから私は直談判しに行ったの!



「結婚ってどういうことですか! 私はあんな好色な男絶対認めません! あんなのと一緒になったって女神が幸せになれるなんて思えませんから! それに一体誰が純潔の女神として、あなたの後を継ぐんですか! 純潔同盟のお二人じゃ無理ですよ!」


 アルテミスとは対照的な非常に慎ましい胸がまさしく壁……。いや、まな板のように立ちふさがった。

 すると巨乳女神はブラック・ジャック時代には見せたことのない微笑みで返した。

 それはまさしく女神の、いや、母のような包み込む優しさ(まだ独身なのに)が溢れ出た微笑みで語ったわ。


「いいえ、彼はあなたの思ってるような人ではなく本当にいい人なのよ。それと後継者ならもう決めています。あなたのことよ、クマちゃん!」

「えっ、えぇぇーー!? わ、私ですか!? でも、私もともと人間ですし、親はクマですし、そもそも神になる資格なんてありませんよ!」

「大丈夫よ! あなたはほかの神たちからの信頼も厚いし、あなた以上の適任者はいないわ!」


 天界で今どき純潔を守るなんて言ってるのはあなたか、独身同盟の奴らだけよ! という目に見えた地雷を、アルテミスは好奇心を抑えて避けることにした。


「とにかく! これから女神として人々を導くために、あなたには女神の使いとして修行をしてもらいます。ちょうど昨日、私に純潔の誓いをしたカモ……じゃなかった、少年を一流に育て上げてもらうわ!」

「そんなこと突然言われても……ってもう魔法陣が足元にあるじゃないですか!!」


 足元にいきなり書かれた、いや、おそらく隠されていたのだろう。恐るべき計画的犯行である。


「私がその子を一流って認めるまで絶対に返してあげないから頑張ってね!あ、あと私も久々の信者だから、お話ししに行くって少年に伝えといてねー。ばいばーい」

「わ、分かりました…。乗せられてる気がしてならないですが、女神様の後継者としてふさわしいように精神誠意務めt……」


 まだしゃべっている途中にもかかわらず召喚が行われ、姿を消してしまった。



「はーあ、あの子を従わせるにはちゃんとした上司感出さないといけなくて大変だわー……」


 さっきの流れでも自分がちゃんとしていたと思える根性も女神だからこそかもしれない。


「あー、やっと厄介者が全員消えてゆっくりとオリオンとラブラブ出来るわー! 今すぐ行くわよー、待っててね、だ・ん・な・さ・ま!」


 そう、彼女の言った通りシスコン兄貴は、「お兄ちゃんなんて大嫌いよ」と言われただけで寝込んでしまい、独身同盟の奴らにはBL秘蔵コレクションを渡してあげたら、大人しく結婚を認めてくれていた。

 と、そんな裏事情を知らないクマちゃんは口車に乗せられたまま、最後の一人として厄介払いされたのでした。



「つまり僕は、クマが女神になるために踏み台になれということですか……」


 まあ、純潔の誓いをしたからとはいえ、女神やら、天の使いやらが来て、何か特別な理由があるのかと考えていた。

だが実際は純潔の誓いをすれば誰でも良かったのだなと、理由が納得できた反面、無性に悲しかった。


「まあ、間違ってはいないがお前も冒険者なら強くなりたいんだろうし、利害は一致してるしいいだろ! この姿だとお前を育てるのも一苦労だがな」

「そうそう、姿といえば女神様がクマさんは美少女チート後衛だから、僕のやることがなくなっちゃうって言ってたよ」


 昨日女神様に聞いたことをしれっと確かめつつ、クマが本当に美少女をなのかを見極めてみる。


「そ、そうか。確かに私のような弓使いがいたら君の活躍が無くなってしまうからな。それに私のような美少女がいたら、君は純潔など無視した獣になると、そういうことか! いや~、なら仕方ないな! そこまで考えているとは流石女神様だ!」


 ――美少女とは言ったが、理性を失うとこまでは言っていないぞ! きっと兄女神に仕えるだけあって、似た思考なのだろうな。ペットは飼い主に似るっていうし。


「へー、クマさん弓使いだったんだ。僕は槍だから最初のほうくらいは支えてほしかったけどなー……」

「は? おいユウ、い、今なんて言った?」

 さっきまで上機嫌だったクマさんが、明らかに動揺し始めた。

「いや、だから、槍だから最初のh……」

「槍だとおおぉぉ!? 貴様は弓を使わないのに弓の女神に誓いをしたのか!? ふざけるな!! あんな自害の道具など物干し竿にでもしてしまえ! 私は貴様を”弓使いとして”一流の冒険者にするために来たのだぞ!」


 ものすごい偏見と怒りだが、これは知らない間に弓の女神に誓ってしまっていた僕が悪い、のだろうか……?


「す、すいません。そういうことよく知らなかったんです……でも、初心者オススメって買った槍しか持ってませんし……」


 冒険者協会の役員にも武器屋の店員さんにもオススメされたのだ、さすがにそこから弓にしようなんて思わない。


「そうか、なら弓を買いに行くぞ! 流石に今の私では作ることが出来ないしな」


 貧乏冒険者に新しい武器買う余裕なんてありません! と、抗議してみたがまったく聞いてくれなかった。

 まだ一ヵ月くらいしか槍を使ってなかったのに……

気付けば3章。

本来新キャラが登場するはずだったのにまだ出ない。

次回も出ない。

その次は来~る~、きっと来る~

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