第一章 純潔少年ユウ☆ニノミヤ
??「私と契約して一生純潔でいようよ!」
ユウ「……」
「あの野郎、ぶっ殺してやらぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ユウは激怒した。必ず、異世界からの冒険者を除かなければならぬと決意した。
「うるさいわね! もういい歳なんだから飲み物くらい黙って飲みなさい!」
と、僕が今いる『バー 星空』のマスターで、婚期が遅れていつもイライラしている「ケイ」がなにか言っているが無視しよう。
僕は一ヶ月前に冒険者になった新人である。僕には父も母もいない。十七歳の僕とお爺ちゃんの二人暮らしだったが、先日お爺ちゃんが亡くなり、お金を稼ぐために冒険者に……とか、そういうどうでもいいことは置いといて。
先日、我がジャホン王国の姫様が婚約を発表をした。姫様といえば全国民のアイドルで、まさしく神であった。
姫様の結婚というだけで、全国民が泣いた。並みの衝撃なのだが、なんと相手がどこの馬の骨かもわからない異世界からの冒険者らしい。
それを聞いたときは「姫様は乱心か。」と心配になったが、異世界野郎があの手この手で恋に疎い姫様を誘惑したと(いう噂を)聞いて、激しい怒りを覚えた。
それと同時に王国最強の騎士団長以上の実力があると聞いて、祖父の残した本に書いてあったことを半信半疑でやってみた。まあ効果はなかったけど……
「あっ、もう空だ。マスター! ジンジャーエールお代わり!」
「やっと四杯目!? 何で朝九時の開店からいるのに、なんでそれしか飲んでないのよ! もう帰りなさいよ!!」
そういえば店が夏場のプールのイモ洗い状態だ。みんな姫様のことで仕事をする気も湧かず酒を飲んでいるのだろう。まったく、愛国精神に溢れた国民だ。
そんな中で開店からジンジャーエール三杯で居座っているのは迷惑だったかもしれない……。
よし! 四杯目を飲んだら帰ることにしよう。
「何ボーっとしてんのよ。早く帰りなさい」
「えっ、おかわりは?」
「おかわりじゃないわよ! もう夜10時じゃない。さっさと帰って風呂入って寝なさい!」
「ちぇっ、ケイ姉ちゃんのケチっ! だから結婚できないんd、って痛い!」
十トンハンマー並みのげんこつで頭を殴られた……。十三時間も店にいたことと、大勢の客の前で「ケイ姉ちゃん」って言ったこと、何より結婚に触れたことがまずかったようだ。
ケイ姉ちゃんのげんこつは雷が落ちたような衝撃と同時に、一瞬三途の川のようなものを見せてくれた……。あっ、結婚のことを思い出して泣き始めてしまった……
仕方がない、ここは三杯分の六百円を払って大人しく退却しよう。
あー、怒らせる前に晩御飯もらっておけばよかった……。
「そういえば朝から何にも食ってないや。そんくらい開店からいるんだからサービスしてくれればいいのに、げんこつしかくれないし……」
なんてしょうもないことを考えつつ頭を抑えながら2階に上がった。ちなみに店は1階のご近所さんで、子供のころからお世話になっている。
「あー、お腹すいたし、頭痛いし、姫様は結婚するっていうし! まったく、ついてないなー。……ってなんでうちの前に段ボールがあるんだ?」
玄関前にはなぜか「拾ってください」と書かれた段ボールがあった。捨て犬でも入っているのかと思ったが何も入っていない。
「なんだこれケイ姉ちゃんのいたずらか? でも、開店から一緒にいたしなー」
と、よく分からないままどけようと触った瞬間、段ボールが不思議な模様に光りだした。
「え、何これ。なんで段ボールの中に魔法陣?」
魔法陣とは使い魔などを呼び出す超高位魔術で、そんな奇跡を起こせるのは神の領域だ。こんなことが出来るのは現世では魔王くらいだろう。
「ま、まさかっ! でも、もし魔王だとしたら手下の使い魔とか出て―――死んじゃうじゃん!!」
しかし、そう気づいたときには手遅れ、魔法陣から出ている煙の中にはすでに何かいる!
「ひぃ! た、助けて、まだ死にたくない」
使い魔に言葉が通じるかなんて考えず、命乞いをする。冒険者になったばかりなのに、ダンジョンの中でもなく家の前で殺されるなんて絶対にやだ!
「フフフ! よろしい、私が女神の使いとしてあなたを助けて差し上げます!」
「えぇ!? お、女の子? しかも女神の使い?」
段ボールの中からは確かに女の子の声がする。しかし、煙が晴れて中から現れたものは明らかに違う。天の使いと名乗っているが羽のようなものもなく、1mほどのそれはどう見ても……
「く、クマのぬいぐるみ??」
「はぁ? 貴様何を言っt……な、何だこの体は! 何でこんなことに! これも修行の一つだというのですか!? そんなのあんまりですぅ~~! うわぁ~ん」
あーあ、クマが泣き出してしまった。クマの泣き止ましかたなんて知らない……。
「あの、取りあえず家、上がりますか?」
「うっ、ぅん……。ありがとぅ……」
取りあえずお茶を出してみると器用に飲み始めた。見た目はどう見てもテディベアだ。一体その手でどうやって持っているのだろう?
「それで、あなたは何者なんですか?」
「そ、そうでしたね。私は、貴様が純潔の誓いをした女神からの使いのものです」
(純潔の誓い? あっ、それお爺ちゃんのエロ本の隠し場所から見つかった本に書いてあったやつだ!)
「あの? 一応確認何ですけど、純潔の誓いってどんなものでしたっけ?」
誓ったは良いが、生涯純潔を守り切ったら超ヤバい。みたいなことしか書いてなくてよく分かんなかった。でも、爺ちゃんのエロ本コレクションから出てきたんだから相当なもんだろう!
「はぁ? そんなの聞くまでもないでしょ。怒るわよ」
もう怒ってるし……。しかし教えてくれないとなるとこいつは何しに来たんだ? 純潔の監視とかだろうか?
「まあ、久々の信者ってことで女神さま直々にお話しがあるそうだからその時に聞けば良いわ。ああ、貴様のような奴にまで姿を現すとは何て慈悲深いのでしょう」
「あ、じゃあそうします……(お前が言えよ!)」
「そういえば貴様の名前は何だ?」
「えっと、ユウです。ユウ・ニノミヤです」
「そうか、ユウか。まあ聞いといてなんだが、私たち天界の者は下界の者に名は名乗らん。好きに呼んでくれ」
えっ、唐突に名付けろとか言われてもなー。ペットなんて飼ったことないし。ましてやクマの名前って何だろう。
「そ、そうですね~・・・じゃあ、無難に『クマ』で!」
「……。ユウよ、それは真剣に考えてそれなのだな……。うむ、顔を見ればわかる。…………分かった、『クマ』でいい。だがこれからは二度と貴様に名付けることは頼まん!」
「そんなに嫌なら自分で考えてくださいよ!」
そのあとクマは30秒ほど悩んだ。いろいろ考えて、クマの中の知識を振り絞った!……そして!
「う、うむ。もしかしたら良い名かもしれないな……。」
「思いつかなかったでしょ! 絶対そうでしょ!」
「うっ、うるさいぞ! わ、私は召喚で疲れたのでそろそろ寝る。明日は貴様の実力でも見ることにするぞ!」
「え、実力? そういえばクマが何しに来たのかまだ聞いてないんだけど!」
「もう眠いのだ!! そういうのは明日だ。早く電気を消せ! 眠れないではないか」
子供かよ!と思ったが、言われるがままに電気を消すと、すぐに寝息をたて始めた。
声だけ聴くと本当に女の子が寝ているようで変な気持ちになる。
「はーあ、それじゃ僕も寝よu……って、ベッド取られた。いくらクマのぬいぐるみでも隣には寝づらいな、でもなあ、クマだし、僕のベッドだし……」
と、5分ほど考えたが、床で寝ることにした。ベッドで寝たら、起きた後何されるか分からない。………というだけで決してモヤモヤしてるとかそういうことはない! そう自分に言い聞かせて眠りについた。
こうして僕とクマのぬいぐるみ「クマ」との不思議な同居生活が始まったのでした。
すでに何度か改訂しているのですが、ギャグを重要に!という方向性が決まったのでおそらくこれが完成形。
ちなみに走れ〇ロスがメインで魔法少女ネタ無し!




