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第5話  立華家の様子

「あの、外に行ってもいいですか?」

「ん? 外?」


 今日は雅さんたち三人が『急の依頼が入った』と言って行ってしまった。

 どうやら、隣の家で、マンドラゴラが必要になったそうだ。今すぐに。

 マンドラゴラの生えている場所は強い魔物がいるので、私は置いていかれたわけだ。


「もう少し、タロットの練習がしたいんです」

 恵さんは難しい顔をした。何かを考えこんでいるようだ。

「そうね・・・。マジックパワー切れで倒れる人とかいるから、それだけ注意してくれればいいわよ」

「ありがとうございます!」



炎兎ファイアラビット・・・。『いでよ、小ゴブリン』」

 小さなゴブリンを召喚した。ゴブリンは炎兎ファイアラビットの群れに襲いかかる。

 私も短剣を握りしめて斬りかかる。やっぱり血が顔に着くと、ちょっと気分が悪くなるかな。でも、それだけ・・・。


 倒し終わったあたりで、私と小ゴブリンがふわりと光りだした。レベルアップか。


 小ゴブリン レベル2 ダメージ15 マジックパワー8 スタミナ20 力35 魔法8 守備30 速さ55


 立華 朱璃 13歳 ランクF パーティ『立華』 パーティランクD

 レベル13 ダメージ320 マジックパワー180 スタミナ150 力120 魔法350 守備150 速さ200 

                    -10(170)     +30(150)

 タロットカード入手可能 短剣レベル1 ドロップ率UP

 スキルポイント30 振り分ける


 小ゴブリンって、随分弱いな。ってか、装備をなんとかするべきか。

 どうしようかな・・・。何をするべきか。ま、後で良いか。今考えても何もできないし。


 そういえば、前に優さんたちが買い物した時、どうやって持ってきたんだろうと思っていたけど、それの理由がおそらくだが分かった。

 人は、魔力の分、自分の異空間を持てるそうだ。そこに仕舞っていたのだろう。

 ということで倒した兎は回収しておく。


 次に会った小ゴブリンは、弱火を使ってみた。本当に弱かったけど、小ゴブリンは倒せた。

 ちなみに、放っておくとゾンビ小ゴブリンになってしまうかもしれないそうなので、死体は一応埋めておく。魔物が掘るかもしれないけど。


 ある程度試すと、私は村に向かって歩きだした。早めに帰ってくるよう言われているのだから。

 っていうか、これ以上いると、帰るまでにお昼になってしまう。もう帰らないと。

 ん? 後ろに誰か居るような・・・。


 後ろを見ると、二足歩行の蜥蜴のようなものがいた。って、蜥蜴?

「迷子か?」

「え?」

 その、多分彼は、私に向かって言ってきた。一応、私は迷子ではない。


「違うけど・・・」

「なら、早く帰れ。このあたりは小さな娘一人で来る場所ではない。盗賊が多いのだ」

 盗賊・・・! 早く帰ろ。魔物は良いけれど、盗賊じゃ、殺されそうだ。


「あ、ありがとうござい・・・え?」

 瞬きをした間に、彼は消えていた。そんな、馬鹿な・・・。



「ただいま、お母さん」

「あら、朱璃。もう帰ってきたのね。雅たち、もういるわよ」

「え、嘘!」


 私が走ってリビングに行くと、みんなは温かく迎えてくれた。

 どこまで行っていたのか知らないけれど、早いなぁ。

「おかえり、朱璃」


 あ、今さらだけど、リビングはとても綺麗だ。お金持ちなのかもしれない。

 全体的に、ロココ調だ。真ん中に複雑な模様のカーペットが引いてあって、その上に白い猫脚テーブルがある。

 ソファは白い縁で金の装飾があり、布の部分は桃色だ。壁はベージュで床はフローリング。

 その他の家具も同じような色合いだ。桃色と、白と、金。


 そういえば、さっきの蜥蜴さん、何だったんだろう。盗賊って、言ってたよね・・・。

 この辺はそんなに多いんだろうか? 見たことはないけれど。って、見たことあったら困るよね。

 でも、一応訊いておこうかな? 知ってるだろうか。


「あの、盗賊が出るってホントですか?」

「え? そうだったかしら? あ・・・」

「盗賊? なんで? 何かあったの? 朱璃ちゃん」


 え? 知らないのかな? じゃあ、さっきのは、なんで・・・?

 っていうか、消えちゃったのも気になるし、なんだかおかしなことが多すぎる。けど、訊いていいのかな・・・。

「いいえ。なんでもありません。気にしないでください」


「あ、そうだ。昼食の準備も出来てるから、ダイニングに行って頂戴。あとは料理を出すだけなのよ」

「あ、すみません! 思いのほか帰るまでに時間がかかりまして」

「いいのよ、気にしないで。お腹空かせて帰ってくるかなって思って、早く作りすぎちゃったわ」

 恵さんは少し肩をすくめて笑った。


 ダイニングも同じくロココ。全て猫脚。

 テーブルと椅子は白。椅子のクッション部は薄い水色。足元には水色でローズのプリントがあるラグ。

 向こう側には上が半円の窓がいくつかあって、レースのカーテンがかかっている。

 家具は、チェストやコレクションケースがある。それから、当然シャンデリア。

 リビングは超華美なデザインだけど、こちらはリビングに比べればシンプルだ。『リビングに比べれば』ね。


「今日はパンケーキよ。うまく焼けたの」

 綺麗な焼き色のパンケーキが出てきた。上には目玉焼きとベーコンが乗っている。

 それから、綺麗な容器に入ったサラダ。あ・・・。食器までロココ・・・。


 パンケーキは甘いものでなく、食事に適したもの。目玉焼きの焼き具合もとろっと半熟。

 ああ、なんでこんなに美味しいんだろう。これこそチートだよぉ・・・。


「まあ、望めば教えてあげるわよ。なんでも言ってね」

「は、はい! 今度、機会があれば」



「そうだ、私たちの部屋も案内しようか」

「え?! じゃあ掃除でもしてくるねー、あははー」

 雅の言葉に、琳ちゃんはびくっと肩を震わせて消えてった。


「ったく、琳は・・・」

「ふふ、いつもどおりだね」

 二人は楽しそうに笑った。


「ここよ。割と片付いてるとは思うけど」

 雅さんの部屋は、私の部屋の隣だ。扉にネームプレートが下がっている。雅さんは、その扉を開けて手招きする。


 す、すごい・・!

 黒いベッドは、紫のフリルで装飾されている。中央に置かれた黒い猫脚テーブルは、紫色の布がかかっている。家具も猫脚で、黒。

 カーテンは紫の薄いカーテンに、黒い厚いカーテンを重ねた形で、黒いカーテンのみが開いている。

 ブラックロココ、いや、ゴシック調、というべきか。


「どうかしら・・・。って、メインは場所ね。場所覚えた?」

「いや、雅姉さん、隣だからさすがに大丈夫でしょう?」

「それもそうね。じゃ、次、麗ね」


 麗さんの部屋は雅さんの向かいだ。こちらにもネームプレートがかかっている。

 部屋は、割と落ち着いている。

 青を基調にして、シンプルなデザインのベッド、テーブル、ソファ、チェストなど。

 まあ、さっきまでロココ調のものばっかり見ていたせいで、地味に見えてしまうのは仕方ないだろう。


「じゃあ、次は優姉さんですね」

「うん。じゃあ行こっか」


 優さんの部屋は、雅さんの隣だ。けど、ちょっと離れている。部屋が大きいから。

「ほら、入ってー」


 わあ・・・。ここもまたすごい。

 一番に目に付くのは、天板付きで、これでもかというほどフリルのついたピンクのベッド。天板の形も馬車のような形で、みんな白いフリルが。すぐそばに同じ柄の布がかかったサイドテーブルが置かれている。

 下にはピンクのカーペット。白い猫脚のテーブルやチェストなどの家具も揃っている。きれいなドレッサーも。


「あのベッドは、誕生日プレゼントだよ。すごいでしょ」

「はい・・・。綺麗です」

 なんか、この家おかしくないか? こんなに高そうな家具ばっかり・・・。


「次は・・・。琳だけど・・・」

「あ、もう平気だよ! 入って!」

 優さんの部屋の向かい、つまり、麗さんの部屋の隣に琳ちゃんの部屋はある。そこから琳ちゃんが手を振っていた。


 おお・・・。なんだかんだ言ってたが、綺麗じゃないか。

 金色の綺麗な装飾が施してある白い家具は、全てお揃い。所々に黄色が入る。

 壁は黄色で、床はフローリング。綺麗な模様のラグも敷いてある。


「さっきまでは散らかってたんだけど。なんとかなったや」

「琳ったら・・・。いつもちゃんと片づけておくのよ」

「はあい」


 いや、私の部屋も異常だと思ったのだけど、これ見たら・・・。

 え? なに? 立華家って、そんなに裕福なところなの? って感じだよ。


「って、訳で、これを見たら分かるわね?」

 雅さんは腰に手を当てて聞いてきた。

「お金持ち、なんですか?」

「そんなもんじゃないのよ」

 優さんがちょっといたずらっぽく笑って言った。


「じゃ、はっきり言おうかしら。私たちの父は超一流の冒険者で、個人のランクはS+。一人で軽くドラゴンを狩るわ」

「S+・・・?」

「えっと、S以上は、国に十人までって決まってるの」

 雅さんが自慢するように言って、優さんが補足して教えてくれる。


「ちなみに、この国にS+は二人しかいないわ」

「僕たちのお父さん、立華(じゅん)と、その相棒、翼さんです」

「だからね、まあ、国で一番と二番を争う人なのね」

 全国一位っ・・・?! 次元が違う・・・。


「ちなみに、魔物を狩る人は、国にとって重要なのよ。なんたって、強い魔物は、国を壊滅させてしまうでしょ」

「それを守ってくれるから。だからこんなにすごいわけで」

 道理でみなさん強いわけだ。そんな人に指導貰えたら・・・。


「たしか、もうすぐ帰ってくるよね」

 さっきまで何も言わなかった琳ちゃんが、ポツリと呟くように行った。

「そうだったわね。朱璃も見てもらったほうがいいんじゃない?」

 え、本当?!



「お母さん、お父さん、いつ帰ってくるっけ?」

 優さんが掃除を手伝いながら恵さんに聞いた。

「一応、明日ってことになってるけど、分からないわ」

「そうだね、いつもずれるもん」


 冒険者というのは、そういうもんなのだろうか?

 でも、いろいろ教えてくれるのなら嬉しいな。多分、誰かが世界を救ったら、問答無用で殺されるだろうし。

 ああ、怖い怖い。


「あ、そういえば、朱璃、魔物、どうした?」

「あ! 異空間に入れっぱなしだ!」

「じゃあ、解体しよう。麗は、朱璃の短剣お願い」


 麗さんが私のナイフを手入れしてくれているということで、私と雅さんは庭で解体。

 細かくやり方を教えて貰う。うん、凄い大変だ。

 骨の位置はどこか。大出血を避けるためにはどこを刺すべきか。どこに刺したら、美味しいところをつぶさないか、まで考えると・・・。



「うん、だいぶ出来たわね。あとで売りに行くわよ」

「はい。分かりました」


 にしても、どれだけ広いんだ、この家は。

 外見は洋館。白い壁に、藍色の屋根。上が半円の細長い窓がたくさんある。

 ベランダも綺麗な装飾がなされている。お城、って感じだなぁ。


 そんなことを考えていると、チリンと呼び鈴が鳴った。

 呼び鈴といっても、地球のチャイムみたいのじゃなくて、門の前についているベルを鳴らすらしい。

 ちなみに、門も真っ白でずいぶん高いんだ。ちょこっと覗いて見てみると、その向こうに人影が見えた。


「あら。 優! かなでちゃんよ」

「え? 何かあったっけなぁ・・・?」


 優さんは玄関から出てきて、門のほうに歩いていこうとした。が、私の方を振り返る。

「そうだ、朱璃ちゃんもおいで」



 外に出ると、一人の女の人がいた。

 背中に真っ白の羽が生えている。足は・・・鳥だろうか?


「優! と・・・」

「朱璃ちゃん。新しい妹だよ」

「へぇ。ふふ、セイレーンの奏です。同じグループなの」


 グループ・・・?

 聞けば、いくつかのパーティでグループを作れるそうだ。慶さんや紫さんも同じグループらしい。


「同じグループなら、一緒に依頼を受けることもできるの」

 奏さんはウインクしてそう付け加えた。面倒見が良さそうだなぁ。なんて考えてしまう。

「そうそう。朱璃ちゃんもパーティ入ったんだ、よろしくね」

「あぁ、そうなんだ。よろしくね、朱璃ちゃん」

 奏さんはにっこり笑って私に言った。


「あ、で、要はなぁに?」

 優さんが聞くと、奏さんは忘れてた、というように喋りだした。

「潤様が帰ってくるっていうのは本当なのかな?」

「多分ね」


 奏さんはぱあっと顔を輝かせた。

「そっか! じゃあ、また教えて貰いに来るね」

「うん、おいで。朱璃ちゃんにも教えて貰うつもりだし」


 奏さんはそれだけ聞くと、そのまま飛び去ってしまった。

「変わってるけど、いい子だよ。できれば、仲良くしてね」

「はい」



 次の日の早朝。

 やたらと大きなチャイムの音に、私は驚いて飛び起きた。

 適当に着替えて下に降りる。


「お、お父さん! おかえりなさい!」

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