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第33話  お菓子

「ティーナ、任せた!」

「了解にゃ!」


 アルベルティーナはさすがに長すぎるから、ティーナと呼ぶ事にした。

 まあ、妹がレオンティーナだし、一緒に居たら分からないけど、家にティーナと付く子はいない。


 ティーナは戦爪で戦う。綺麗に研いだ爪を装着して、綺麗に舞いながら戦う。

 彼女のレベルは85+。心花位だ。名家のお嬢様じゃなかったのか?


 ティーナの衣装は、ノースリーブの黄色いワンピース。流石に今の時期は寒いから袖のあるワンピースだけど。

 種族がら、胸が大きいから、シンプルな方が似合う。でも、私より二つ年下・・・?!


「むぅ・・・」

「な、何にゃ?」

「ご主人、下らない事、嫉妬しないで」

「わ、わかってるよ」


 でも、ここまで強いなら、ティーナのレベル上げはいらないね。もうダゴンに行っても平気だろう。

 という事で、チェリーちゃんを走らせる。だんだん速くなってる気がするよ? 買ったばっかり、こんなに速かった?



「鮹だー!」

「え、まあ、そうだね・・・。エリー、行っちゃって」

「わーい!」


 た、鮹・・・、うん、鮹だね、一応・・・。

 八本ある足の一本は綱引きの綱くらい太いし、もはやダイオウイカならぬ、ダイオウタコ?

 あ、でも、エリーが一発で倒した。そんなに強くな・・・、いや、エリーが強すぎるのかも。


 っと、シルシィがランクアップか。・・・もう++(ツープラス)? そう思いつつも、私はランクアップの許可を出す。戦力が増えてるし。


「そうですね・・・。魔力回復率UPとかはどうでしょう」

「ああ、良さそうだね」

「これにします。戦いはみなさんに任せますよ」


 という事で。颯也とエリーが頑張ります。アルベルティーナが疲れたって言うから。馬車も慣れてないのかも。

 エリーが楽しそうに鎌を振ってる。鮹だの烏賊だの、巨大貝だの。ダゴンって海獣人の国だから、魔物もそう言った感じのが多いのかな。ん? 鮹とか烏賊とかは、獣じゃないよね? 海獣人・・・。まあ良いか。


「わああああっ? 真っ黒ー」

「おい、エリー、前」

「あっ? トルナード」


 烏賊墨で真っ黒になったエリーの目の前に烏賊の足が。颯也の言葉で、エリーは足を鎌で切って攻撃を防ぐ。

 なんたって、吸盤が大きいから、多分付いたら危険だ。当たらないようにしないといけない。


「なんであの子たち、あんなに元気なんにゃ?」

「戦うの好きだしね。良いんじゃん?」

「あたしはそんなに連続で戦った事はにゃいし・・・」

「えっ?! じゃあ、どうやってここまでレベル上げたの?」

「毎日ちょっとずつ」


 凄いな、それでここまで上がるんだ。それってどんだけだよ・・・。

 もしかしたら、休憩しつつ戦ってたって意味かもしれないね。うん、そうだ。


「ごしゅじんさまー! 真っ黒になっちゃった!」

「はいはい。水の精よ、我の命に従い、大量の水を出現させるのだ『マーリニキィ・ヴァダー』」


 エリーの体を洗ってやる。墨って落ちないよね。でもまあ、だいたい黒っぽい服だし、いいか。

 ある程度落ちたら、タロットの『温風』で乾かす。濡れたままだと寒いからね。

 すると、シルシィが馬車から飛び降りてきた。


「マスター、もう帰りましょう。盗賊がこちらに向かってきています」

「え、よくわかったね。エリー、帰るよ!」

「んー? わかった。みんな、馬車に乗って」



 家に帰ると、ティーナが欠伸をして目を擦る。

「あれ、眠くなっちゃった?」

「ん・・・。実は、昨日、あんまり寝れなかったのにゃ」

「ああ・・・。寝てる間に暗殺されそうになったんだもんね」


 私でも、嫌だろうな。みんなの方を見ると、みんなも頷いた。ってことは、みんなもそう思うって事なんだろうなぁ。

 話は逸れたけど、早めに夜ご飯を作る。今日は私。昨日はみんなにまかせっきりだったからね。


「え、シュリ様も料理するのにゃ? もしかして、みんな出来る?」

「ううん、私か心花、もしくは兎だけだよ」

「僕たちは家事は全くさ」


 それを聞いて、ティーナは安心したようだった。自分だけ出来なかったら、ちょっと不安か。

 なんて話しつつ、昨日は完全に和食だったし、洋食にしよう、などと考えながら料理をする。

 ティーナは何でも平気かなー?



 お譲さま、いつになったら起きるんでしょうね?

 昨日は起こしたけど、今日も起さないとだめかな? エリーだって自分で起きるのに、全く・・・。


「にゃあ、ごめんにゃ!」

「あ、おはよー・・・?!」


 ああ、びっくりした。まさか、ここまでバッチリメークしてるなんて思わないじゃない。

 昨日とは印象が全く違うし。まあ、これならお譲さまだって一目で分かる。


「メイク道具は持ってたにゃ。異空間に」

「あ、そうなんだ」

「最近は滅多に自分でやらなかったから、ちょっと忘れてたにゃ」


 自分でってことは、やって貰ってたのかな。でも、なんて上手なんだろう。

 アイライナーの引き方とか、アイシャドーのグラデーションとか。チークと口紅もやってる?


「流石に、あたしだって戦いに行かにゃいにやら、これくらいするにゃ」

「悪いけど、家にメークしてる人いないよ」

「にゃに?! ノーメーク?!」


 いや、良いじゃん。まさか十四には見えないさ。うん。

 ああ、またローリがっ! どうしてわかっちゃうかなぁ?


「で、ティーナは誕生日いつ?」

「三月の二十日」

「あ、じゃあ、私の一個下なんだ」


 二個じゃなかった。そっかそっか。なら良かった。

 って、今度はみんな私を見てるよ。なんでみんな分かるの? そんなに分かりやすいっけ?


「で、今日はどうするんにゃ?」

「行きたい子で狩りに行っておいで。あとは自由」

「あたしはちょっと休憩するにゃ」

「エリヴェラは行きたーい!」


 で、行くのはシルシィ、颯也、エリー。兎たちはローリと一緒に図書室に行くらしい。何をするかは教えてくれなかった。心花は薬の管理と、庭の予定を立てるらしい。次何植えるか、とか。ティーナはまだ慣れてないし、とりあえず休憩。って、休憩って何?


 さて、私は三人にお弁当を持たせて、その後は・・・。何をしようかな。ティーナに勇者だとは言ってあるし、このままだと勇者って暇なのかと思われてしまう。

 ・・・私も図書館に行くか。



 世界の人種図鑑より

 人間 特に特徴のない人種。魔力が多少低いものが多いが、人それぞれ。

 獣人 獣と人間のミックス。総して魔力が極めて低く、知能が低く、力が強い。

  獣人の種類

  猫族カトゥスぞく 犬族カニスぞく 狐族ウルペぞく 狼族ルプスぞく 狸族ウルスぞく 兎族レプスぞく 鼠族ムスぞく 鳥族アウィスぞく

 尚、兎族レプスぞくは、獣人をは別の括りにする事がある。鳥族アウィスぞくは、セイレーンとする場合が多い。

 海獣人 海に住む生物と人間のミックス。水の傍だとパラメータが上がる。水系の魔法が得意。

  海獣人の種類

  鮹族パリポスぞく 烏賊族セーピアぞく 海豚族デルピーぞく 人魚族マーメイド

 妖精 精霊の多く住む森に棲むとされているが、実際はそうでもない。魔法が得意。

  妖精の種類

  エルフ ニンフ

 小人 背の低い種族。2種類あるが、両方の特徴を併せ持つものが極めて多い。

  小人の種類

  ドワーフ ハーフリング ハーフ小人

 魔族 魔法が得意な種族の総称。妖精とは違い、黒い魔法が多い。

  魔族の種類

  黒魔族 不死身族 吸血鬼族 夢魔族

 妖魔族 人間と体のパーツが明らかに違うもので、獣人に当てはまらないもの。

  妖魔族の種類

  単眼モノアイ オーガ 三つ目 蛇女メドゥーサ


 天使・悪魔を人種とする場合もある。


「こんな感じ?」

 実際はもっとたくさんいるらしいけど、メインはこんな感じらしい。

 うーん、なんで兎は獣人にしてくれないのかなぁ? 良いじゃん、獣人ってつまり獣の人なんだから。兎は獣じゃないって?


「あれ、ご主人?」

「ん、ローリ。お勉強はもういいの?」

「ひと段落したから。あとは、好きな分野でも調べてて、って」


 ああ、そうなんだ。どんな事調べてるんだろうなぁ。

 ローリが私のノートを覗いて首を傾げる。丁度、人種の事を書いたページだ。


「人種、調べてたの?」

「うん。結構いるんだね」

「・・・。そう言えば、一つ、訊きたい事が」


 ローリが、ちょっと真面目な顔をして私を見る。そうすると、自然と私も真面目になるよね。

「私たちって、何? 魔物、なの?」

「・・・ん? どういうこと?」

「だって、こうやって、人と一緒に暮らして、人の形もしてるけど、ほんとは、兎。でも、魔物は、こういった施設、ほんとは入れないでしょ?」

「ああ、そういうことね・・・」


 まあ、魔物が図書館に居たら大問題だよね。例えばドラゴン・・・。ああ、考えるだけでおかしいから止めよう。

 でも、人型をしてるし、目的は同じ。静かに本を読んでるんだったら、問題ないと思うけどなぁ。

 だって、魔物入るな、なんて言ってたら、そのうち人造人間ホムンクルスは図書館に入らないでください、ってことになりそうじゃん?

 って、それだとローリの質問の答えにならないや。


「みんなに訊かれたけど、答えられなかった。自分が何なのか、分からない」

「うーん・・・。そこまで考える事、ないと思うけどなぁ」

「でも、それで、いいの?」

「そんなに細かく、きっちり分ける必要はないよ。大丈夫。ローリたちは、人型をしてる時は、ちゃんと人間。それでいいよ」


 ローリはまだ暫く何か考えていたようだったけど、こくっと頷いて、戻っていった・・・。

 のだけれど、何かを思い出したように戻って来た。

「ねえ、ご主人、これ」


 ローリが一冊の本を開いた。そこには、ガトーショコラの絵が載っている。

 よく見れば、お菓子のレシピ本だね。で、これがなんなの?


「ラートが、食べたいって。珍しい」

「ラートが?! 作ってあげる」

「じゃあ、そう言っておく。ありがとう」



 私が家に帰ると、ティーナが綺麗に研がれた爪を持って立っていた。

 何かあったのかな、と思ったけど、どうやらさっき研いだところだっただけらしい。一見怖い人みたいじゃん・・・。目を合わせたら殺されそう。なんてね。


「お帰りにゃ。お昼ご飯はなんにゃ?」

「心花が準備してくれたはずだけど、ローリたちがまだでしょ?」

「ああ。もう帰ってくるにゃ」

 ティーナがそう言ってすぐ、扉の開く音と一緒に、ローリの声が聞こえた。


「な、なんでわかったの?」

「足音? あれ、そう言えばなんでだっけ?」

「・・・。じゃあいいよ」



 がしゃがしゃとホイッパーを使ってメレンゲを作っていると、ティーナが不思議そうにそれを覗き込んできた。


「何作ってるにゃ?」

「メレンゲ。ケーキ焼こうと思って」

「へぇ? 見ててもいいかにゃ?」

「良いけど、そんなに面白い事ないと思うよ?」


 湯煎で溶かしたチョコとバターを混ぜたものに薄力粉とココアパウダーを加えて、よく混ぜる。

 ここまでやってあって、今はメレンゲを作っている。まあ、だいたいこんなもんかな?

 別のボウルに卵黄と砂糖を入れて良く混ぜる。で、それにチョコとかで作った液を入れてまた混ぜる。

 混ざったら、メレンゲを少しずつ入れていく。その都度、ゴムべらでよく混ぜながら。

 言葉にすると簡単すぎる! 結構大変なんだから・・・。

 って、もう良いかな。あとは、型に入れて焼くだけだけど・・・。


「んにゃっ?!」

「あ、ごめん、びっくりした?」

「なんでやるのにゃ?」

「こうやってちょっと落して、空気を抜くの」


 空気抜き。やらないと割れたりする。けど、何も言わないでやったからびっくりしたみたい。

 これ、焼くの結構時間かかるんだよなぁ。まあ、今みたいに時間があれば問題ないけど。



 三十分後くらい? 焼き上がったケーキは、型から外して粉糖をかける。

 お皿に乗せたら、楽しみに待ってるラートに声をかけて持っていく。


「チョコレートケーキ、美味しそう」

「さ、ラート。召し上がれ」


 綺麗に切って、ラートに渡した。いつもより少し、冷たい雰囲気が抑えられてる感じがする。いつもは怖い位だったし。ラートって甘いもの好きだったのか。

 ああ、初めて笑ったの見たよ。笑うとこんなに可愛いのになぁ。


「美味しい。ありがとう」

「そう、良かった」

「んにゃ! シュリ様のケーキ、美味しいにゃ!」


 他の兎のいつもよりは表情が見えるし、ティーナは凄い喜んだ。心花も褒めてくれたし。

「練習のつもりだったけど、上手く行って良かった。三人には内緒だよ?」

『もちろん!』



<なあ、お前って、ケーキ焼くの上手かったのか?>

「蒼泉くんが甘いもの好きだから、養母に教わって、お菓子作り、練習したんだ」

<ああ、そうか。何が好きだったんだ?>

「そうだなぁ。よく食べてたのは、マカロンだった気がするけど」

<また変わった奴を・・・。難しいんだろ?>

「出来ないよ、私には。そのうち、作れるようになりたいな」


 使い魔はへぇ、というと、それきり喋らなくなった。もう飽きたか。

 じゃあ、私も寝ようかなぁ。今何時? 十時か。まあ、ちょっと早いけどみんな寝ちゃったみたいだし。


「魔王様は、蒼泉くんなのかな・・・?」

<まだ言ってるのか? 会うんだから、その時に見りゃわかるだろ>

「でも・・・。小さい時だったから・・・」


 今見ても、分からない気がするんだけど、平気かな・・・。



挿絵(By みてみん)

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