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ありふれた職業で世界最強  作者: 厨二好き/白米良
ありふれたアフターストーリー
190/541

ありふれたアフター 魔王の娘なので その3 

 激しい銃撃音が反響する、とある建物の一室で、ロマンスグレーの髪を乱した初老の男が苦虫を噛み潰したような表情で自分のスマートフォンを確認していた。


「ダメだ。やはり、妨害されている。他の者はどうだ?」

「いえ、ダメです。通信機も反応しません」

「こちらもです……大統領」


 黒服を纏い拳銃を手にする黒人の男が首を横に振って答える。その言葉通り、ロマンスグレーの男は、米国の大統領だった。秘匿された公務で赴いたとある高層ビルの上階でテロリストの襲撃を受け、シークレットサービス達の決死の行動でどうにか逃げ延びた。


 しかし、ビル自体からの脱出は叶わず、通信も遮断され、こうして部屋の一つに身を潜めているのだ。もっとも、何十人という完全武装のテロリストが相手だ。援軍が期待できない以上、彼等の命運が尽きるのも時間の問題だというのは明白だった。


 大統領――アートルド・シュラネルナッガーは、死神が背後からヒタヒタと這い寄ってくる音を感じ取っていた。


「……情報をもらした者の存在は看過できないが、その前に、我々の命が尽きそうだな」

「そのようなこと……」

「だが、弾薬ももう尽きるだろう。よくやってくれた。ジョージ、クリス、バッカス、キース、ニール、ハンク……今までよく守ってくれた。最後に君達と戦えることを誇りに思う」

「大統領……我々こそ、光栄に思います」


 穏やかに笑いながら、片手を差し出す大統領に、ジョージと呼ばれたシークレットサービスの男は、握手の代わりに予備の銃を渡した。アートルドの眼差しがそう要求していたからだ。


 言葉通り、最後まで戦うつもりなのだろう。元コマンドーであり、五十歳に近くなって未だ筋肉の鎧で体を覆っているほどであるから、足手まといにはならない。まして、かつては〝終わらせる者〟などと呼ばれ、数々の伝説を築いていた男である。座して殺されるなどあり得ないのだ。


 アートルドとジョージが頷き合う。と、その直後、「がぁっ」と苦悶の声を上げて、バッカスが扉の向こう側からもんどり打って部屋の中に戻ってきた。見れば腹部と肩から激しく出血している。更には、「くそっ」という悪態と共に、キースを担いだニールが入ってきた。キースも腹部を撃たれたようで既に意識が朦朧としているようだ。


 部屋の外で廊下の奥からやってくる武装集団を食い止めていた前線が崩れた。その次の瞬間、コンッと軽い音を立てて、黒い物体が部屋の中に投げ込まれた。


「大統領っ、伏せてっ」

「っ」


 ジョージが大統領に覆いかぶさるようにして身を投げ出す。クリスが更に覆いかぶさってその身を盾にしようとする。


 刹那、部屋の中が暴力的な光と爆音に蹂躙された。体が吹き飛ばされたのか、浮遊感を覚えると同時に、体の下からの衝撃(・・・・・・)に息を詰まらせる。


「げほっ、げほっ?」

「ぐっ、ぁ? 生きてる?」

「っ、なんだ? どうした?」


 至近距離で投げ込まれた手榴弾が爆発したはずなのに、鈍い衝撃と爆音を感じただけで普通に生きている現状に、アートルド達が訝しそうな表情をしつつ顔を上げた。そして、今度こそ瞠目する。


「へ、部屋が変わっている?」


 そう、その言葉通り、アートルド達の目には、爆発に蹂躙された部屋でも、それどころか先程までいた部屋とも異なる光景が広がっていたのだ。


 呆然とする彼等に、突如、涼やかな声がかけられる。


「よかった。間に合ったようですね」

「っ、き、君は……」


 驚いたアートルドが振り返れば、そこには更に非現実的な光景があった。


 窓から入り込む風に、ポニーテールにした美しい黒髪をなびかせながら、凛とした佇まいで黒塗りの刀を携える東洋の女性――言わずもがな、八重樫雫その人である。(但し、認識阻害用の眼鏡装備ver)


「直接天井を斬って階下に落とさせていただきました。乱暴な方法でしたが、緊急故、許してくださいね?」

「あ、ああ。え? いや、天井を斬った?」

「お、おいおい、嘘だろう?」


 アートルドが混乱し、ジョージが頭上を見上げて絶句する。そこには確かに、三角形に切り取られた天井があったのだ。慌てて自分達の足元を見れば、そこには落ちた床があり、更に視線を巡らせば、少し離れた場所にいたニール達まできっちり階下のこの部屋に落ちてきている。


「君はいったい――」

「申し訳ありませんが、説明の時間はありません。今すぐ部屋の隅へ」


 有無を言わさぬ強い口調に、大統領をして気圧される。が、同時に、ここにいてはまずいという予感が背を押して、ジョージ達と共にニール達を引きずりつつ部屋の隅へ移動する。判断の迅速さは、流石、一国のトップとその護衛といったところか。


 直後、穴の開いた天井から覆面を付けた複数の男達が覗きこんできた。そして、ニッコリと笑う雫を見て、一瞬瞠目しつつ、すぐさま銃口を向ける。が、その引き金が引かれる前に、


「――抜刀・〝閃断〟」


 抜く手は見えない。刀身も見えない。ただ、小さな呟きと同時に雫の柄を握る右手が霞んだだけ。しかし、その結果は明確な事象――天井の崩落という形で示された。


 轟音と共に、部屋に踏み込んできたテロリスト達が天井と一緒に落ちてくる。まともに着地などできるはずもなく、無様に転がったテロリスト達は、次の瞬間、チンッという小気味いい音を耳にして、そのまま意識を闇の中へ落としていった。


「大統領。疑問が溢れているのも、私を胡乱に思う気持ちも重々承知していますが、生きたければ私を信じて下さい。守りますので」

「……」


 非常識が過ぎる。これは現実なのか? 目の前に現れた美しい女は、実は悪魔の化身で、助ける代わりに莫大な対価を要求するのではないか? そんな風に思考がぐるぐると駆け巡る。が、選択肢はない。今、起きた事実だけを見るなら、あり得ない現象はともかく、確かに自分達は救われたのだ。


 ならば、


「分かった。君の言う通りにしよう」

「英断です。では、そちらの方々にこれを――」


 雫が途中で言葉を切る。廊下から大量の足音が聞こえてきたのだ。


「大統領、こちらの薬品を彼等に飲ませてあげてください」


 雫が〝宝物庫〟から取り出した魔法回復薬をアートルドに投げ渡す。アートルドが何かを言おうと口を開きかけたが、その前に、部屋の中に扉をぶち抜いて銃弾が強襲してきた。


 そうして、聞こえてくるのはギンギンギンギンッという硬質な音。アートルド達のアゴが冗談みたいにカクンと落ちている。無理もない。なにせ、宙に無数の、美しい曲線が描かれると同時に、銃弾の残骸が辺りに散らばっていくのだから。


 神速の連続抜刀術。一見すれば、納刀された刀を持って、ただ突っ立っているようにしか見えないが、よく見れば雫の右手は霞んでいる。それこそが、今この瞬間も、音速を超えて襲い来る小さな礫を、尽く斬り裂いている証。


 部屋の中で起きている異常事態を理解しているわけではないだろうが、それでも、標的が健在である気配は感じ取れているらしいテロリスト達が、ドアを蹴破って突入しようとする。


 が、刹那、雫が大きく抜刀した。今までのように直ぐに納刀するわけではなく、きちんと振り抜いた黒刀の刀身が見えている。


 そうすれば、ドアの向こう側から聞こえるのはどさりという倒れる音。


――八重樫流刀術・黒刀の型 奥義 〝至絶・魄崩〟


 途中にある障害の一切を無視して、狙った対象のみを斬る。それも、肉体・意識を問わず。今や雫の剣術に、防御するという選択肢は取りえない。回避できぬ者は尽く、その一撃により、雫の望んだもののみを斬り裂かれるのだ。


 スッと目を閉じた雫は、瞑目しながら気配を探る。捉えた気配は、同じ階層に七つ。


「――〝飛絶・魄崩〟」


 再び鳴り響く鈴鳴る抜刀の音色。縦横無尽に、不可視の剣閃が一切の障害を透過して潜んでいたテロリスト達の意識を切断していく。彼等は感じていたことだろう。意識が途切れる寸前、体の内側を撫でた冷たい刃の感触を。そして、幻視していることだろう。己の体が両断された光景を。


「大統領。この階層の襲撃犯は全て制圧しました。数日は目を覚まさないでしょうから、時間のあるときにでも誰かに逮捕させてください。って、なにをしていらっしゃるんですか! 早く薬を飲ませてあげないと、本当に死んでしまいますよ! さぁ、ぼぅとしてないで動いて、動いて!」

「ア、ハイ」


 大統領にあるまじき間の抜けた返答。アートルドは呆けた表情のまま、機械的な動きで回復薬をキース達に飲ませた。そうすれば、瞬く間に出血が止まり、キース達の顔色が明らかに良くなる。もう、乾いた笑みしか浮かばない。


「それでは、行きましょうか。このまま一階まで誘導します。今、あちこちでこの国に対するテロ行為が行われていますから、はやくホワイトハウスに戻ってあげてください」

「ア、ハイ。ドウモ、アリガトウ」


 かつて、〝終わらせる男〟と呼ばれたり、元コマンドーだったりしたこの国の頂点に立つ男は、ただのイエスマンになったようだ。


 その後、高層ビルを半ば占拠状態で大統領の殺害に動くテロリスト達を、壁を透過する斬撃や、壁を斬り裂いて突撃した雫の峰打ち、飛び蹴り、ビンタ、銃弾斬りによる戦意喪失とビンタなどにより殲滅した雫は、無事にアートルド達をホワイトハウスに送り届けることに成功した。


 アートルドを含め、ジョージ達生き残ったシークレットサービスの面々により、黒髪のサムライガールが、ホワイトハウスのみならず、マスコミを通して全世界で話題になったのは言うまでもない。





 雫が大統領を襲うテロリスト達をサクサクしている同時刻、とある空港にて。


 その空港は、他のいくつかの空港と同じようにテロリストの標的となって爆破され、現場は阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。あちこちで火が爆ぜ、泣き叫ぶ声が響き、瓦礫の下に生き埋めとなった人々を救助隊が死に物狂いで救出しようとしている。


 そこには、絶望しかなかった。救いなど一片もなく、崩壊した空港の内部は悲惨以外の言葉で表現しようのない地獄が広がっていると、誰もが理解していた。


「あぁ、ちくしょう……」


 救助隊の青年が、必死に眼前の重傷を負った幼子の応急手当をしながら、泣きそうな顔で悪態を吐いた。血が止まらないのだ。千切れた腕、深い脇腹の傷……どれだけ止血作業を行っても血は止まってくれない。そして、流れ出していく血は、そのままその幼い子供の命であり、顔に既に死相が浮いていた。


 助けられない。そんな感情が青年を身の内から叩きのめす。この地獄が顕現したかのような悲劇の渦中にあって、青年はあまりに無力だった。自分は何のために救助隊に入ったのか。そんな想いすら脳裏を過る。


「誰でもいいから、誰か、助けてくれ。この子を、助けてくれよ」


 そう独り言ちながら、手だけは訓練した通りに動き続ける。しかし、現実は青年の努力の成果を嘲笑う。今、青年の目の前で、小さな命の灯が消えた。


 手を止めて、悄然と項垂れる青年。そんな場合ではないと頭では分かっている。今散ってしまった命以外にも、助けを待っている者は大勢いるのだ。それでも、四肢に力は入らなかった。


 青年は、天を仰いで、憎しみとも、懇談とも、現実逃避とも、祈りとも思える表情と声音でポツリと、


「……神様……お願いです。この声が聞こえているなら、助けてください……」


 呟いた。


 その瞬間、


 天から純白の光が降り注いだ。閃光のように力強く、しかし、月明かりのように柔らかく優しい。そんな光が、突如、何の前触れもなく、空港全体を覆うように降り注いだのだ。


 そして、誰もが何事かと天を仰いだ直後、


「なっ、く、空港が、消えていくぞ!」

「な、なんだよ、あれ!?」

「なんだ!? なにが起こっているんだ!?」


 人々が口々に叫んだ。指を差し、愕然とした様子で、半ばパニックになりながら視線を向けるその先では、確かに、その言葉通り、崩壊した空港が、まるで急速に風化でもしているかのように上の方からサラサラと消えていくという異常事態が起きていた。


 純白の光に触れた大質量の瓦礫が、周囲の人には何の影響もないのに消えていく。


「お、おい、あれっ!」

「人? いや、でも、浮いて……っていうか、翼?」


 誰かが、上空からゆっくりと降りてくる人影に気が付いた。だが、果たしてそれを人と呼んでいいものか。パラシュートがあるわけでもないのに、上空からゆるりと降りてくること自体、頗るつきの異常だというのに、その人影には純白の翼まで目視できるのだ。


 人々が消えていく瓦礫の山と、天より降りてくる翼を持った人影に呆然自失していると、


「――遍く子等に祝福の風を、災禍を払う救済の光を――〝回天の威吹〟」


 鈴の鳴るような声音で、そんな祝詞が木霊した。直後、一人一人が純白の光に包まれる。理由もなく、人々の心に安堵と歓喜の感情が湧き上がる。理由もなく、分かったのだ。自分達は今、大きな存在に救済されているのだと。


「あぁ、なんてことだ……」


 青年が、涙を流しながら、視線を逝ってしまった子供へと向けた。


 そこには奇跡があった。


 欠損したはずの腕が逆再生でもしているかのように元に戻り、脇腹の傷が瞬く間に治っていく。死相の浮かんでいた表情は、血色のいい穏やかなものに変わっていた。


 今や、完全に消え去った瓦礫の跡地からは、倒れたままの生き埋めになっていた人々が姿を見せ、やはり純白の光に包まれて五体満足へと癒されていく。


 奇跡の光に満たされる空港跡地。人々は、自分でも表現のし難い、抑えることのできない大きな衝動のままに涙を流す。


 やがて、全ての傷ついた人が癒されたころ、上空の人影は、空間を波打たせるとそのままその空間ごとスッと姿を消した。


「天使様……」

「神よ、感謝致します」


 あとに残された人々は、止まることのない涙を流しながら、言葉で、あるいは心の中で、奇跡を起こした天使と、それを遣わしてくれたであろう神へ、感謝の念を捧げるのだった。


 ……実は、その神は、神殺しの魔王などと呼ばれている男で、天使はそんな魔王の愛人などとは……誰も、夢にも思わないだろう。


 その後、天使様たる香織は、テロの標的となった各地を飛び回り、片っ端から人々を癒していった。





 インターネットを通じて、とある映像が全世界にリアルタイム放送されていた。映像に映っている場所は、ペンキで真っ白に塗られた大きな部屋で、部屋の奥に頭から布をかぶせられた小さな子供達が跪かされていた。人数は四十人近くいるだろうか。


 彼の周囲には、覆面にライフルを携えたテロリスト達がいて、怯える子供達に冷酷な目を向けている。


 そんな子供達と武装集団を背景に、カメラの前では一人のテロリストが滑らかな口調で演説を繰り広げていた。内容は聞くに堪えないふざけたものだ。大国の既得権益がどうだとか、信じる神がどうだとか、不当に拘束されている同胞を解放せよだとか、自分達の言い分を認めない制裁として、同時テロを敢行しているだとか、駐屯している軍隊を撤退させろとか、そんな内容だ。


 そして、人々が、「これ、ドッキリじゃ、ないのか?」と不信感を抱き始め、政府関係者が自国の子供達が公開処刑されようとしていることに歯噛みしている前で、テロリストの男は部下に命じて子供の一人をカメラの前に連れてこさせた。


「これから行われる断罪の儀式は、全て、お前達の罪の証だ。胸に刻め。愚かな者共よ」


 テロリストの男が、跪かせた子供の首に、大型のナイフを当てた。一度引かれれば、カメラの前には凄惨という言葉では足りない悲劇が広がるだろう。


 一般の人々が思わず目元を覆い、政府関係者が無意味と分かっていながら「止せっ」と叫ぶ。それを察していて、どうすることもできないことに愉悦を感じているのか、テロリストの男は濁った瞳を暗く輝かせて、ナイフを握る手に力を込め、


「さぁ、断罪のと――」

「ところがぎっちょん、ですぅーー!!」


 男が吹き飛んだ。轟音と共に粉砕された部屋の壁から飛び込んできた淡青白髪の美女の、ジャンピングニーパッドを側頭部に喰らって。錐揉みしながら。


 ドグシャッという生々しい音を立てて、反対側の壁に叩きつけられたテロリストの男は、目と鼻と耳と口からドロリとした血を流しながらビクンッ、ビクンッと痙攣している。


 一般人も、政府関係者達も、気持ちは同じだった。すなわち、「何が起きた!?」だ。


「へいへい、犯罪者共。この素敵なウサミミお姉さんが、一つウッサウサッにしてやります。覚悟のほどはいかがですかぁ!?」


 その瞬間、淡青白色の髪を持つ美女の頭からぴょこんとウサミミが現れ、同時に、虚空に出現した巨大な戦槌が一振りと共に突風を巻き起こす。


 その衝撃で、カメラがパタリと倒れたようで横倒しの不鮮明な映像になってしまったのだが……


「ぎぃやあああっ」

「ぶべらっ」

「ごぼすっ」

「くぺっ」


 と言った悲鳴らしき音と共に衝撃音が鳴り響き、そして、ゴトリッとカメラの前に覆面男が白目を剥いた状態で映り込んだことで、放送を見ていた人達は察した。先程の、ウサミミを生やした美女が、あの巨大なハンマーで、テロリスト達を殴り倒しているのだと。


 やがて、物音が聞こえなくなると、カメラの前を陣取っていた白目のテロリストが物凄い勢いで吹き飛んでいき、代わりに白くしなやかな脚線美が晒された。


「え~、おそらく、これを聞いていると思うんですが、政府関係者の方? 取り敢えず、この拠点にいた犯罪者共は全てぶっ飛ばしたので、早く子供達を保護してあげてください。お願いしますねぇ~」


 そんな言葉を最後に、放送が途切れる。


 放送を見ていた者達は、誰もが呆然としたまま、「なんだったんだ?」と呟きを漏らした。


 その数分後、別の場所から、同じように別のテロリストが人質にした子供達を背景に、「我々は~」と主義主張を唱え出したのだが、「ちぇすとぉーー!!」と、やはりウサミミ美女が飛び込んできてその場を蹂躙した。


 それがあと三回続いたのだが……場所を特定した政府関係者は盛大に首をひねることになった。なにせ、それぞれの拠点は、それぞれ百キロ以上離れた遠方にあり、リアルタイム放送であることを考えると、どう考えても同じ人物が駆けつけられるはずがなかったからだ。


「いったい、彼女は何者なんだ……」


 それが、テロリストの放送を見ていた全ての者達の素直な気持ちだった。






いつも読んで下さり有難うございます。

感想・意見・誤字脱字報告も有難うございます。


本日、18時にも更新します。

蹂躙劇って筆が進んで進んで。気が付けば二万字を軽く超えてしまいそうという……。次か、もし、18時に間に合わなければ、更に分割して20時ないし21時にも更新して、今日中に魔王の娘編を終わらせます。

正月だから、一気に更新してもいいよね。

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― 新着の感想 ―
大統領の名前がスゲェな。マッチョ?とか思ってたら、なんか予想通りの外見だった。 でももう出番はないだろう。
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