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in 城 サラへの興味。

in 城


「と、言うわけで。条件付きだが、此処から通える場所を見つけてきたから。昼前までには準備を整えておいてくれ」


  レオナードは城に着くとすぐにシエナルドのところを訪れ、今朝の出来事を簡単に説明した。


「へー。本当にあのアルメリア家の屋敷に住まわせてくれるんですか?レオナード隊長」

「あぁ。サラの屋敷は今はそこしかないからな」

「だが、俺らみたいな平民と一緒に暮らすなんて嫌だろう」

「条件と言っても無理難題なやつじゃないでしょうね」


 そう次々と質問をしてくるのは、『黒騎士』の隊員で、今回サラの屋敷に住む奴らだ。上からマリック(19歳)オレンジ頭でブラウンの瞳。猫毛で、この中では一番若い。次にフラウ(26歳)こげ茶の髪で、下の奴等をまとめる兄貴分。最後はランドール・ドラ・バルタス(22歳)一応貴族ではあるが、身分が低い為身分関係なしにこの場に馴染んでいる。そんな奴等のそれぞれの質問に俺も丁寧に答えて行く。


「どれも心配ない。サラをそこら辺の貴族のお嬢様と一緒にしてると痛い目見るぞ。アイツは見かけこそ大人しくてお上品に見えるが、実際中身が15歳とは思えないくらいに達観してやがる。しかも、平気で下町に出ておっちゃん等と何やら語り合ってるは、ギルドに行って荒稼ぎしてくるは、果てには副業のモノ書きでそれなりの収入を得てるんだぞ。下手したら俺らの給料くらい軽く稼いでるぞ。あいつ。条件もそう構えずともいいものばかりだ」


 隊員たちはそう話すレオナードの言葉にどれも驚きを隠せず、目を見開いていた。


「えっと、確かアルメリアのお嬢さんは今年15ではなかったですか?」


 そう、困惑気に聞いてくる男はフラウ同様後輩たちに好かれている。カーネル・バンク(26歳)金髪碧眼のさわやか美男子だ。やさしさあふれる笑みで世の女性たちに人気の人物だ。


「そうだが?」

「その、まだ、15歳の少女が働いてるんですか?伯爵家のご令嬢が?」

「そうだ。何か問題でもあるのか?」

「「「「……………」」」」


「(問題もなにも、信じられないと言ったところか)」


 冷静に周りの心境を把握すると、軽くため息を吐いた。


「お前ら、サラの家のことでどの程度知ってるんだ」

「「「……………」」」


 しばらくの沈黙の後、ポツリポツリと話し始めた。


「確か、アルメリア家は先先代での王妃のご実家でしたね」

「それに、アルメリアは代々何かしらの才能に恵まれていて、この国に多くの貢献・功績を残しています」

「現在の屋敷はその功績の証として、先先代の陛下から与えられたものだと」


「そうだ。だが、5年前にアルメリア夫妻は事故で亡くなり、爵位はサラに行くがサラは女だ。爵位を継ぐことはできない。だからサラは爵位を従兄のサイレントに譲り、サラは一人で数人の使用人を抱えて生活している。ほとんどの使用人には高給で実家に帰したり、新しい仕事場探してやったりしたんだと。使っていればそのうち両親が残した財産も無くなる。ならいっそ今から出来る限り稼いで、そのうちのんびり隠居でもするんだとよ」


「……聞けば聞くほど。15歳とは思えない行動ばかりですね」

「しかも、それ実行したの10歳のころだろ?どんだけだよ。俺でも流石に10歳でそんな事出来るかって聞かれたら無理だと答えるね。うーん。俺ちょっとその嬢ちゃんに興味湧いて来たぞ」


「中々面白そうなご令嬢ですね。私もお会いしてみたくなりました」


 そう、楽しそうに話すこの2人はここの副団長のルドルフ・サルタ・セルバーン(25歳)紅茶の髪と瞳のチャライ男。女と酒が趣味な奴だが、その剣の腕は『黒騎士』の中でも2番目に強く、仲間からの信頼も大きい。次にやさしそうな笑顔を浮かべる眼鏡のコイツは同じく副団長のクラウド・バルセロッタ(25歳)茶髪にブラウンの瞳で神父様のように見える顔だが、実際のところこの中で一番侮れない奴でもある。


「隊長。私たちも同行してかまいませんか?」


 今まで、俺達の会話を静かに静観していたシエナルドはクラウドに目を向けると今度は俺に視線を向けた。俺はそれに苦笑しながら頷く。


「いいだろう。では、2時間後にアルメリア家を訪れることにしよう。それまでに各自準備をしておけ」


 シエナルドが静かに指示を出せば、皆がそれの返事を返す。それを眺めていたレオナードだが、そう言えば例の条件の内容を話していなかったと気付き慌てて説明を行った。それに対してのそれぞれの反応に苦笑を禁じ得なかったのもなんだが。


 その後は、それぞれの準備に取り掛かり、また門のところで落ち合うようにした。














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