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憑依しました。そして面倒事発生です。

 

『キキーッ』ドンッ。


えー。20××年△月○日、23時42分35秒。△△病院にて息を引きとった女性がいた。

彼女の名は福井静香フクイ シズカ27歳。会社員。信号無視のトラックに運悪く突っ込まれた不運な女性。それが私だ。


そして、何故私が自分の死について知っているかというとだ。まぁ、簡単に説明すると。神様だか、管理者だかしらん方々が出てきて、今回の事故は私たちの責任です。なんて言うもんだから。


 ほんで、まだ死ぬ予定ではなかったのに死んでしまった私は、丁度いいタイミングで同じく死んでしまった少女に憑依と云う名の転生をしてほしいと頼まれ。(身体に戻すにしても、私の身体はトラックに轢かれグチャグチャのため戻れず)仕方なしに、ある幾つかの条件と共に少女に憑依をすることと相成ったのである。



 そして、当初私は10歳くらいのとある伯爵家のご令嬢。名をサラサ・セナ・アルメリア。黒に近い濃い藍色のストレートロングの髪に同じく藍色の瞳をもった可愛らしい女の子に憑依することになった。

 すでに両親を亡くしていたものの、残っていた家具やら別荘やらを上手く売りさばき(今までは手入れをしていただけで放置していた)、財産が4・5倍になると雇っていたメイドやら執事やらの使用人等を高給で実家に戻したり、仕事を紹介したりと近辺の整理を行った(私一人しかいないのに、そんな沢山使用人が居てもしょうがないでしょう。)


 城から一番近い場所の街の外れにある森に、それなりの大きさの屋敷1つだけを残し、あれから5年。執事2人とメイド3人、それなりに色々とあったが趣味で小説を書いたり、音楽を楽しんだり、ギルドへ行きちょっと稼いだりと、現在15歳(中身33歳)にして何不自由なく楽しくのんびりと平和に暮らしていた。





……そう。悪友ともいうべき知人。レオナード・オーデンバークが今日という日に訪ねてくるまでは。






「お願いだ、サラ!力を貸してくれないか」


 早朝からうちに訪ねて来て、そう切り出したこの男。この国でも1・2を争うほどの剣の使い手。しかも、あの『紅の騎士』の団長様であらせられる。名をレオナード・オーデンバーク27歳。紅い髪と瞳の身長186㎝もある男である。その団長様が私に何の用かというと。


「この間のボヤ事件で騎士団の寮の一部が半壊しちまってな。昨日遠征から帰ってきた奴等を含めると、どうしてもあと数人分の部屋がないんだよ。自宅から通える奴や近くの宿屋なんかにお願いして通わせたりとなんとかやったんだが、城の近くの宿屋なんて限られてくるからあまり、部屋もなくてな。しかも、騎士団やってんだ。休める時に休ませないと生半可な仕事じゃないからキチンと休める場所がほしいんだ」


 ここまで聞けばこの男が何をいいたいのか聞かなくても(嫌でも)わかる。


「つまり、城に最も近く、尚且つ暖かい寝床を与えられる場所にここを選んだわけですか」

「そうだ。引き受けてくれるか」

「いやです」


 考える間もなく即答した私に、レオナードは呆然としてから、ガタッと勢いよく立ち上がると。理由を問いただした。


「何故だ!」

「面倒だからに決まっているでしょう。何を好き好んで面倒事を引き起こしそうな奴等を家へ入れなければいけないんです。私が面倒事嫌いなことはよくご存じですよね。レオン殿」

「あぁ。だが、お前が心配するような事は起きはしない。だから、よく考えてくれないか。それに、タダでとは言わん。寮費はもちろん飯代も出す。困ったことがあれば俺に言え」


 そこまで言うレオナードは、本当に部下の事を想って言っているのだと思うと、強く言うことが出来なかった。だからだろう。思わず自分の口からでた言葉に自分で驚く羽目になったのは。


「分かりました」

「本当か!?」

「……えぇ。しかし、条件があります。それを守れるのでしたら、ここに住まわせましょう。無理なら他を当たってください」

「あぁ!助かる、サラ。条件はなんだ」


 レオナードは落ち着きを取り戻し、また椅子へ腰掛けると条件を聞き出した。


「難しい事ではありません。条件は4つ。これを守って頂けたら結構です」


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