表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
数字だらけの数奇な運命  作者: 月影
2/2

話数――02

 朝。


 耳元で目覚ましがけたたましく鳴っている。



 現在時刻――07(時):05(分):26(秒):3645



 未だはっきりとしない頭を振りながら起き上る。


 今日は何曜日だっただろうか。



 日付――2010(年):05(月):28(日):(金)



 ああ、そうだ、今日は金曜日。


 平日だから学校へ行かなければ。



 眠い眼を擦りつつ朝飯の食パンを適当に焼いて食べる。


 一緒に食べる人間はいない。


 両親とは疎遠。一応実家であるこの家に親が返ってくるのは一週間に一度程度。


 三人揃った「家族の団らん」というやつは数年前から見失っている。



「ごちそうさま」


 誰もいないリビングに声が響く。


 けれど、それを寂しいとは思わない。


 他は知らないが少なくとも自分は誰かと触れ合うより一人の方が好きだ。



 鞄に教科書の類を詰め込む。


 いつもより少し多いが大丈夫だろうか。



 容量――16L/21L



 問題無し。


 制服に着替え、家を出る。


 学校へは歩きだが約18分ほどかかる。



 平均通学所要時間――17.4367(分)



 ああ、正確には約17分か。


 とにかく、一番近いという理由で入った高校だから家からかなり近い。


 理由はもちろん、長い間電車やバスなどに大勢の人間と閉じ込められることなどまっぴらだからだ。


 少しばかり「学力」が必要だったが特に苦労することもなく入れた。



 現在学力――3542(Sc)



 最も、授業を真面目に受けていない現在の学力はそこまで良いとは言えないのだが。


 まぁ低学力校のチンピラ等から離れられた事は予想外の利益だった。



 さて、そんな自称先進校は今日も律儀に生徒に授業を受けさせるべく慌ただしい空気に包まれていた。



「よう!」


 後ろから誰かが声をかけてきた。


 声の主を確かめるべく、後ろに振りかえる。



 個人情報――

 坂本(サカモト) 拓武(タクム)

 年齢:16(歳)

 性別:♂(―)

 身長:172(cm)

 体重:60(kg)

 好感度:1852(Fr)

 感情:583(Em)

 学力:2872(Sc)

 :

 :

 :



「おはよう。坂本」


 声をかけてきたのは坂本拓武。


 無駄に輝いている運動系スマイルが人気の男子だ。


「おう! 今日も暗っらい面してんな!」


 それと、この素直で正直な所も。


 時折声が煩いことさえ気にしなければ多くの人に好意的に受け入れられる人物だろう。


「まったく、今日が何の日かわかってるのか?」


「何の日さ?」


「体育があるじゃねーか!」


 満面の笑みで答えを返す。どうやらコレが言いたかったらしい。


 ……まぁ頭の出来がお世辞にも良いとは言えないのが玉にキズではある。


「おい、坂本ー、朝練始まるぞー!」


 グラウンドの方から叫び声と口に手を当てている同級生らしき影が見える。


 どうやら同じ部活の人間らしい。


「おう! 今そっち行くー!」


 その影に叫び返して走り出す。


「んじゃなっ」


 後ろを向いて手を振りつつグランドの方に走っていく。



 まったく、騒がしい奴だ。


 まぁ、嫌いではないが。



「相変わらず煩い奴ねー」


 今度は横から誰か話しかけてきた。



 個人情報――

 柴田(シバタ) 麻衣(マイ)

 年齢:16(歳)

 性別:♀(―)

 身長:160(cm)

 体重:51(kg)

 好感度:1437(Fr)

 感情:725(Em)

 学力:3908(Sc)

 :

 :

 :



「おはよう、柴田さん」


 今度の人は柴田麻衣。現在のクラスメート。特に知り合いではないのだが稀に挨拶してくることがある。


 まぁ挨拶ぐらい何もないが。


「さんは付けなくても良いんだけどなぁ。まぁいっか」


 言いたいことは特にないらしく、そのまま去っていく。



 さて、教室へ向かおうか。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ